オウンドメディア設計完全ガイド 〜構想から設計・導線設計まで徹底解説〜

オウンドメディア 設計

オウンドメディアを始めてみたものの、更新しても成果が見えないと感じたことはありませんか。

実はその原因の多くは「設計段階の抜け漏れ」にあります。
ペルソナ設計やカスタマージャーニー、導線設計といった基盤がないまま進めると、運用を重ねるほど目的がぼやけてしまうのです。

本記事では、成果を出すためのオウンドメディア設計の考え方から、具体的な5つのステップ、運用フェーズへの落とし込み方までを徹底的に解説します。

関連記事:オウンドメディア立ち上げ完全ガイド 〜失敗しない体制構築と運用戦略〜

はじめに:オウンドメディアの設計しないと起こる失敗

オウンドメディアの設計しないと起こる失敗_インフォグラフィック

オウンドメディアの成否は、実は「設計段階」でほぼ決まります。
ここを曖昧にしたまま進めると、数ヶ月後に何のためのメディアなのかが見えなくなってしまいます。

オウンドメディアの重要性

オウンドメディアは、ただの「自社ブログ」ではありません。企業の理念・強み・顧客価値を体系的に発信する「自社ブランドのプラットフォーム」です。

検索やSNSを通じて見込み顧客との初接点を生み出し、信頼を醸成し、最終的には購買や問い合わせといったアクションへと導きます。

特に広告費が高騰する近年、広告やSNSだけに頼らず、中長期的に集客基盤を築く手段としてオウンドメディアの重要性は増しています。

設計段階から目的・ターゲット・導線を明確にしておくことで、ブランディングとマーケティングの両面を支えるメディアに成長させることができるのです。

設計の不備が招くリスク

とりあえず始めたオウンドメディアが失敗する最大の理由は、設計不足にあります。

明確なKPIやターゲット設計がないまま進めると、想定していた読者に届かない、記事テーマがバラバラになりブランドメッセージがぼやける、社内の協力を得られず更新が止まる、など様々な課題に直面するでしょう。

戦略設計においては、ペルソナがどのような購買プロセスを経て行動に至るのかを明確にする必要があります。

カスタマージャーニーマップを用いて、認知→興味→検討→購買→継続の各段階に合わせたコンテンツを設計することで、自然な導線を描けます。

「うまくいっているかどうかがわからない」「方向性を修正できない」といった状況は、設計が曖昧なことの表れです。設計とは、メディア運営の地図そのものなのです。

オウンドメディア設計の5つのステップ

ここでは、オウンドメディアを成功に導くための5つの設計ステップを紹介します。1つでも欠けると長期的な成果が出づらくなってしまうので、着実に行いましょう。

ペルソナ・読者設計

ペルソナ・読者設計 オウンドメディア設計_インフォグラフィック

まず最初に行うべきは、読者の理解です。
想定読者を明確にし、その人がどんな悩みを持ち、どんなキーワードで検索するかを設計します。

たとえば、BtoB企業のWeb担当者なら「リード獲得の仕組みを作りたい」「広告費を抑えて認知を広げたい」など、具体的な課題を想定します。

これに基づき、読者の検索行動(例:「オウンドメディア 立ち上げ」「集客 方法」など)を分析し、購買行動を段階的に整理します。

カスタマージャーニーの段階に合わせて、以下の設計を用意すると、自然な導線が生まれます。

・認知段階  :課題を知る記事
・検討段階  :比較・ノウハウ系記事
・意思決定段階:事例紹介・実績記事

この設計ができているメディアは、記事ごとに「読者の行動目的」が明確で、結果としてCV(問い合わせ・資料DL)も安定します。

②コンセプト設計・テーマ絞り込み

コンセプト設計・テーマ絞り込み オウンドメディア設計_インフォグラフィック

ペルソナが明確になったら、次は「自社がどんな価値を届けるメディアにするのか」を決める段階です。

このフェーズで重要なのは、自社ならではの強みや提供価値を言葉で整理し(=USP/UVPの明確化)、他社との違いをはっきりさせることです。

多くの企業が「なんとなく幅広く記事を書く」ことで失敗します。発信テーマを広げすぎると、SEOの面でもブランディングの面でも焦点がぼやけてしまうからです。

たとえば、採用ブランディングを目的とするなら、「働く人のリアル」や「カルチャー」を中心に、リード獲得を目的とするなら、「課題解決型コンテンツ」や「導入事例」を中心にコンテンツを作ると良いでしょう。

このように、目的と一貫性のあるテーマに絞り込むことが重要です。
コンセプトを明確にすることで、「どんな企業なのか」「何を得られるのか」が伝わるメディアになります。

③サイト構造の設計

サイト構造の設計 オウンドメディア設計_インフォグラフィック

設計ができたら、それをサイトの構造に落とし込みます。カテゴリ・階層構成・パンくず設計を整えることで、SEOとUXの両立が可能になります。

構造設計で意識すべきことは、「読者が3クリックで目的記事にたどり着けるか」。あくまでも目安ですが、カテゴリを細かく分けすぎると迷わせますし、逆に少なすぎると整理できません。

理想的な構成は以下のようなイメージです。
・TOP(ブランド・理念)
・カテゴリ(サービス別/課題別)
・記事詳細
・CTA(資料DL・問い合わせ)

また、カテゴリの設計段階から内部リンクの導線も想定しておくことがポイントです。検索順位の底上げにもつながります。

④流入ルート設計・導線設計

流入ルート設計・導線設計 オウンドメディア設計_インフォグラフィック

どれだけ良い記事を作っても、読者が来なければ意味がありません。
SEO・SNS・広告といった外部流入の設計と、サイト内での導線設計の両方を意識しましょう。

<外部流入の設計>
SEO:検索意図に沿ったタイトル・メタ設計、内部リンク構造の最適化
SNS:X(旧Twitter)・LinkedIn・noteなど、自社と親和性の高い配信チャネルを設定
広告:記事広告やリターゲティング広告を活用し、潜在層への接点を拡大
メール/プレスリリース:ニュースレターやメディア露出からの流入も効果的

<内部導線の設計>
・記事→関連コンテンツ→CTAの流れを意識し、自然にコンバージョンへ誘導
・カテゴリやタグ設計を工夫し、読者が求める情報にすぐアクセスできる構造にする
・CTA(行動喚起)の位置・文言・デザインを設計段階で決定し、運用時のブレを防ぐ
・関連記事の表示や人気記事ランキングなど、滞在時間を延ばす仕掛けを組み込む

外部からの流入を設計し、内部で離脱させず次のアクションにつなげることで、メディア全体の成果を最大化できます。

⑤機能設計・CMS/拡張要件

機能設計・CMS/拡張要件 オウンドメディア設計_インフォグラフィック

メディアの運用基盤となるのがCMS(コンテンツ管理システム)です。
WordPress・microCMS・HubSpotなど、更新性・拡張性・セキュリティを踏まえて選定します。

タグ設計やフィルタ機能を導入することで、ユーザーが求める情報にスムーズにアクセスできるようになります。
また、今後の拡張を見据えて「検索機能」や「カテゴリ別一覧」などを設計段階で定義しておくと、リニューアルコストを抑えられます。

⑥評価指標とKPI 設定

評価指標とKPI 設定オウンドメディア設計_インフォグラフィック

最後に、成果を可視化するためのKPI設定を行います。
オウンドメディアは短期的な施策ではないため、定量と定性の両面から評価を設定することが重要です。

例:
・KGI(最終目標):問い合わせ数、資料請求数
・KPI(中間指標):PV、CVR、平均滞在時間、SNS拡散数など

設計フェーズでは「方向性が合っているか」を確認し、運用フェーズでは「改善ポイントはどこか」を判断します。
単発ではなく積み上げ型の指標を持つことで、運用チームもモチベーションを保ちやすくなります。

KPIの具体的な設定方法は、こちらの記事で解説しています。
どうしてる?オウンドメディアのKPIを徹底解説

プロのPR会社が語る、設計から実装する際のポイント

プロのPR会社が語る、設計から実装する際のポイント

多くのオウンドメディア代理店では、設計段階で決めた内容をそのまま終わり、という進め方が一般的です。

しかし正直なところ、実際の現場では設計通りに進まないことのほうが多く、実装してみて初めて分かる改善点や追加調整が必ず発生するものです。

そのため、設計だけに重きを置くのではなく、実装段階での検証やコミュニケーションを前提に進めることが大切です。

ここでは、プロのPR会社が設計を形にしながら失敗を防ぐための実践的なポイントを紹介します。

①設計書・要件定義書を作成し、スモールスタートで試す

アジャイル開発のように、スモールスタートで試すことが成功の近道です。
いきなり大規模な構築を目指すより、まずはブログレベルから始め、フィードバックを得ながら改良していくのが現実的です。

結果が出るのにも時間がかかるので、小さく始めることで、社内の理解も得やすくなるでしょう。

②人員を確保し、運用体制を整える

社内全員が最初から協力してくれるとは限りません。そのため、まずは自分たちだけでも発信できる体制を構築することが重要です。

営業資料の活用や、既存顧客の声を記事化するなど、無理のない範囲で成果を出すことが信頼獲得の第一歩です。

シェイプウィンのあるクライアント様の例を紹介します。ある企業様は、オウンドメディアを運用することに対して社会からの協力を得ることが難しく、オウンドメディアに掲載する社内取材に非協力的でした。

しかし、オウンドメディアのコンテンツの中でも営業活動に関連する記事を社内で共有したところ、顧客からの反応が予想以上に良く、営業部門が自分たちの発信が成果につながることを実感。結果的に、リッチコンテンツ制作への協力を得られるようになりました。

社外向けの発信であっても、社内とのリレーション構築を意識することが、長期的なメディア運営の鍵です。まずは小さく成功体験を積み上げ、周囲の信頼を得ながら体制を強化していきましょう。

③効果測定と改善を行う

画像参照元:株式会社ベーシックの調査

オウンドメディアの成果は、最低でも半年〜1年かけて現れます。
短期で結果を求めすぎず、データを基に改善を重ねる姿勢が大切です。

複雑な指標を設定しすぎると動きが鈍るため、「平均PV」「CTR」「滞在時間」などシンプルなKPIを中心に見直していくと良いでしょう。
小さな改善の積み重ねこそが、メディアの成長を支えます。

オウンドメディア設計でよくある質問

ここでは、日々様々な企業のメディア構築を支援しているPRエージェンシーの立場から、現場で特によく寄せられる質問をピックアップし、プロの視点でわかりやすく解説します。

オウンドメディアを構築するにはいくら費用がかかる?

初期構築は、規模にもよりますが100〜300万円が目安です。CMS構築・デザイン・記事制作・運用体制をすべて含めると数百万円規模になることもあります。

自社内で制作を進めればコストを抑えることも可能です。ただし、専門的な設計やSEO・導線構築を十分に考慮しないまま始めてしまうと、後からやり直しが発生し、結果的に時間も費用もかかってしまうことがあります。
まずは見積もりを取ったうえで、必要な範囲と優先順位を明確にして検討すると良いでしょう。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。
オウンドメディアの費用 立ち上げから運用までのかかる費用を解説

オウンドメディアの立ち上げ手順は?

企画→設計→構築→運用の4段階で進めます。

本記事では「設計」部分に焦点を当てましたが、詳細な立ち上げ方法は「オウンドメディア立ち上げ完全ガイド」で解説しています。
必要な役割からロードマップ、外注と内製の判断軸までまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

オウンドメディアとLPの違いは何ですか?

LP(ランディングページ)は「今すぐ成果を出す」ための1ページの設計です。
一方、オウンドメディアは「長期的にブランドを育てる」ための情報基盤です。目的と運用期間が異なります。

オウンドメディアの具体例は?

BtoB企業ではEightの「eight career design」、BtoCでは無印良品の「くらしの良品研究所」などが代表例です。

いずれも、企業の世界観とユーザーの課題解決を両立させています。

まとめ:戦略的な設計が成果を左右する

PR会社

オウンドメディアの成否を分けるのは、「設計の精度」です。誰に・何を・どのように届けるのかを設計段階で定義しておかないと、せっかく良い記事を書いても誰にも見られないサイトになってしまいます。

しかし、設計にはマーケティング・SEO・PRなど複数の専門知識が求められ、日常業務の中で全てを把握しながら進めるのは容易ではありません。
特に中小企業や担当者が数名体制の現場では、「やるべきことの多さ」に圧倒され、設計を形にできないケースも多いでしょう。
だからこそ、外部の知見を戦略設計段階から取り入れることが重要です。

シェイプウィンでは、PR・SEO・SNS・コンテンツ制作を一貫して支援し、企業の課題に合わせた最適なメディア設計をサポートしています。設計から運用までを戦略的に整理したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。