動画広告を検討し始めたものの、「YouTubeだけでいいのか」「費用相場はどれくらいか」「インストリーム広告やネイティブ広告の違いは何か」まで整理できず、社内説明に悩む方は少なくありません。
動画広告は、種類・媒体・課金方式・効果を正しく理解しないまま進めると、配信しても費用だけがかさんでしまいます。
この記事では、動画広告の基礎から、TVerなど最近注目されているコネクテッドTVや、SNS、Web媒体での動画広告の使い分け、費用、効果、失敗しない設計の考え方までわかりやすく解説します。
動画広告市場が成長している背景とは?

動画広告市場が急速に拡大している最大の理由は、生活者の「情報の受け取り方」が大きく変わったことにあります。
これまで広告の中心であったテレビは、マスに一斉に届ける力を持つ一方で、視聴者の細かな属性や関心に合わせた配信はできませんでした。しかし現在は、SNSや動画配信サービス、コネクテッドTVの普及によって、「誰に届けるか」を精緻に設計できる環境へと変化しています。
特に若年層を中心に、リアルタイムでテレビを見る習慣は確実に減少しています。代わりに、NetflixやAmazon Prime Video、Huluといった動画配信サービスが日常に定着し、自分の好きなタイミングでコンテンツを視聴するスタイルが一般化しました。
さらに、TVerのような見逃し配信サービスは、仕事や子育てなど多様なライフスタイルに対応しながら視聴機会を拡大しており、広告の接触ポイントもテレビからデジタルへとシフトしています。
この変化の中で注目されているのが、TVerのようなコネクテッドTVやSNSを活用した動画広告です。
従来のテレビ広告は「この時間帯はこの層が見ているだろう」という仮説に基づく枠買いが中心でしたが、デジタル動画広告ではユーザーの年齢、興味関心、行動履歴などをもとに、より精度の高いターゲティングが可能です。
SNSにおいても同様に、ユーザーの関心軸に合わせた配信ができるため、「見せたい人にだけ届ける」という設計が現実的になりました。
こうした背景から、動画広告はあらゆる業種・企業規模にとって取り組みやすい施策となり、インターネット広告費の中でも重要な位置を占めるようになっています。
動画広告のメリットとデメリット

動画広告は、他の広告手法と比較して非常に強い訴求力を持つ一方で、設計を誤ると逆効果にもなり得る施策です。特に中小〜中堅企業のマーケティング担当者にとっては、「なぜ動画なのか」「どこにリスクがあるのか」を整理しておくことが、社内提案や意思決定において重要になります。
ここでは、動画広告の本質的なメリットと、見落とされがちなデメリットをPR視点で解説します。
動画広告の主なメリット
動画広告の最大のメリットは、短時間で多くの情報を伝えられる点です。
映像・音声・テロップを組み合わせることで、サービス内容や利用シーン、ブランドの雰囲気まで一度に表現できます。特に無形商材や新しいサービスでは、「理解させる力」が大きく変わります。
また、動画は記憶に残りやすく、後の検索や比較検討につながりやすい特徴があります。さらにストーリーや演出によって感情に訴求できるため、単なる認知ではなく好意形成まで進めやすい点も強みです。
加えて、実際の利用シーンや変化を見せることで、「自分ごと化」しやすくなり、クリックや購入といった行動につなげやすくなります。つまり動画は、認知から行動まで一貫して支えられる施策です。
動画広告の主なメリットまとめ
• 短時間で多くの情報を伝えられる
• 記憶に残りやすく、想起につながる
• 感情に訴求し、好意形成ができる
• 行動(クリック・購入)を促しやすい
動画広告のデメリット・注意点
一方で、動画広告はスキップされやすいという前提があります。特にYouTubeやSNSでは、冒頭数秒で興味を引けなければほとんど見られません。内容以前に「見てもらう設計」が重要になります。
また、制作コストや工数がかかる点も無視できません。企画から編集、改善までを含めると、静止画より負担が大きくなりやすい施策です。
さらに、動画は表現の自由度が高い分、炎上や誤解のリスクも伴います。伝え方を誤ると、ブランドイメージを損なう可能性があります。
そして最も重要なのが、PR視点の欠如です。企業が伝えたい内容だけで作られた動画は「広告感」が強くなり、ユーザーに受け入れられません。「どう見られるか」「どう語られるか」まで設計して初めて、動画広告は効果を発揮します。
動画広告の主なデメリットまとめ
• スキップされやすく、最後まで見られない
• 制作・運用コストが高くなりやすい
• 炎上や誤解によるブランド毀損リスクがある
• PR視点がないと広告色が強くなり逆効果になる
動画広告の主な種類

動画広告は「どこで・どの文脈で・どう見られるか」によって大きく種類が異なります。重要なのは、フォーマットごとの特性を理解し、目的に応じて使い分けることです。
ここでは代表的な動画広告の種類を体系的に整理します。
| 種類 | 主な掲載場所 | 特徴 | 向いている目的 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| インストリーム広告 | YouTubeなど動画再生前・途中・後 | 強制的に視聴される可能性が高い/スキップ可・不可あり | 認知拡大・リーチ獲得 | 冒頭数秒で離脱されやすい/広告感が強い |
| アウトストリーム広告 | Webメディア記事内・バナー枠 | コンテンツ閲覧中に自然に表示/自発的に再生 | 認知・興味喚起 | 再生されないと意味がない/音なし前提 |
| SNS動画広告 | Instagram・TikTok・LINE・Xなど | フィード・ストーリーズ・縦型動画で配信/自然な投稿に近い | 興味関心の醸成・拡散 | 広告感が強いと離脱される/文脈設計が重要 |
| ネイティブ動画広告 | 記事・タイアップコンテンツ内 | コンテンツと一体化/違和感が少ない | ブランド理解・PR・信頼形成 | 即効性は低い/コンテンツ品質が重要 |
インストリーム広告
インストリーム広告は、YouTubeなどの動画コンテンツの再生前・途中・後に挿入される広告です。最も一般的な動画広告形式であり、多くの企業が最初に検討する領域です。
プレロール(再生前)、ミッドロール(途中)、ポストロール(終了後)といった種類があり、視聴タイミングによってユーザーの集中度が異なります。特にプレロールは最初に接触するため重要ですが、スキップされやすいため冒頭数秒の設計が成果を左右します。
TrueView広告は、一定時間視聴された場合のみ課金される仕組みで、効率的に興味関心の高いユーザーへ届けやすい形式です。一方、バンパー広告は6秒程度のスキップ不可広告で、短時間で印象を残す認知施策に適しています。
インストリーム広告は「確実に視聴される可能性がある」一方で、広告として認識されやすいため、いかに離脱されずに見てもらうかが設計のポイントになります。
アウトストリーム広告
アウトストリーム広告は、動画コンテンツの外側、つまりWebメディアの記事やバナー枠などに表示される動画広告です。代表的なものにインバナー広告やインリード広告があります。
ユーザーが記事を読んでいる途中に自然に表示されるため、インストリーム広告のような「強制的な視聴」ではなく、興味があれば再生されるという特性があります。そのため、押し付け感が少ない一方で、そもそも再生されなければ意味がないという課題もあります。
また、多くの場合は音声オフで始まるため、テロップやビジュアルだけでも内容が伝わる設計が重要です。アウトストリーム広告は、情報接触の流れを邪魔しない形で接点をつくる施策として活用されます。
SNS動画広告
SNS動画広告は、Instagram、Facebook、LINE、X、TikTokなどのフィードやストーリーズ、リールといった面に配信される動画広告です。
特徴は、「広告を見に来ていないユーザー」に対して配信される点です。そのため、企業が一方的に伝える広告は受け入れられにくく、ユーザーの興味関心やコンテンツの文脈に馴染ませることが重要になります。
たとえばフィード広告は通常の投稿に近い形で表示され、ストーリーズ広告は短尺でテンポよく訴求する必要があります。近年は縦型動画(ショート動画)が主流となっており、TikTokやInstagramリール、YouTubeショートなど、モバイル視聴を前提とした設計が求められます。
SNS動画広告では、「広告らしさを消す」ことが成果に直結します。インフルエンサー投稿のような自然な表現や、ユーザーにとって有益な情報として成立するかが重要なポイントです。
ネイティブ動画広告
ネイティブ動画広告は、記事やコンテンツと一体化する形で表示される動画広告です。メディア記事やタイアップコンテンツの中で自然に組み込まれるため、広告としての違和感が少なく、理解や共感を得やすい特徴があります。
特にPRやブランディング施策との相性が高く、単なる商品訴求ではなく、「なぜこの企業が存在するのか」「どんな価値を提供しているのか」といった背景まで伝えやすい形式です。
一方で、短期的なクリックやCVを狙うというよりは、中長期的な信頼形成やブランド理解を目的とした活用が中心になります。情報として受け入れられるかどうかが成果を左右するため、コンテンツとしての質が非常に重要です。
動画広告は種類ごとに役割が異なります。単にフォーマットを選ぶのではなく、「どの接点で、どの目的を果たすか」という視点で組み合わせることが、成果を最大化する鍵になります。
動画広告が出稿できる主な媒体

次に、動画広告が出稿できる主な媒体について解説します。
テレビ広告
テレビ広告は、依然として広範囲にリーチできるマスメディアです。一度に多くの人に認知を届けられる点が最大の強みであり、ブランドの存在を広く知らせる用途に適しています。
ただし、配信はあくまで「枠単位」であり、「この時間帯はこの層が見ているだろう」という前提での出稿になります。つまり、ターゲティングの精度には限界があります。また、費用も高額になりやすく、短期的なコンバージョンを狙う施策には向きません。
そのためテレビ広告は、「まず知ってもらう」ための起点として活用し、その後のデジタル施策と組み合わせて初めて成果につながる媒体です。
Tver
TVerは、テレビ番組の見逃し配信を中心とした動画プラットフォームで、テレビとデジタルの中間に位置する媒体です。基本的にはテレビに近い文脈で視聴されるため、マス寄りの内容で認知拡大を狙う用途に適しています。
一方で、デジタル広告としての側面も持っており、ある程度のターゲティングが可能です。これにより、従来のテレビCMよりも効率的に特定の層へリーチできる点が特徴です。
ただし、ユーザーは「番組を見に来ている」ため、広告はあくまでその合間に流れるものです。ストーリー性のある動画や、ブランド理解を促す内容が受け入れられやすく、短期的な獲得よりも認知や印象形成を目的に設計することが重要です。
SNS
SNS動画広告は、Instagram、Facebook、LINE、X、YouTube、TikTokなど、日常の中で自然に接触される媒体です。ユーザーは広告を見るために利用しているわけではないため、企業は「見てもらう」のではなく「違和感なく受け入れてもらう」前提で設計する必要があります。
そのため、テレビCMのような広告色の強い動画は嫌われやすく、コンテンツとして成立していることが重要です。インフルエンサーの投稿のような自然な表現や、役立つ情報として見られる動画の方が視聴されやすくなります。
また、現在は縦型の短尺動画が主流であり、冒頭で興味を引くテンポの良さが求められます。SNSでは「売る」のではなく「共感させる」ことが成果につながる媒体です。
Webメディア・アドネットワーク
GoogleやYahoo!などのアドネットワークは、さまざまなWebサイトやアプリに動画広告を配信できる媒体です。インストリーム広告やアウトストリーム広告を組み合わせながら、広範囲にリーチできるのが特徴です。
ターゲティングの精度が高く、ユーザーの検索行動や閲覧履歴に基づいて配信できるため、興味関心が高い層に効率よくアプローチできます。また、比較的少額から始められるため、テスト運用にも適しています。
一方で、広告枠によって視聴環境が異なるため、「音なしでも伝わるか」「短時間で理解できるか」といった設計が重要になります。配信面が広い分、クリエイティブの汎用性も求められる媒体です。
その他の媒体
動画広告はオンラインだけでなく、オフラインやリアル空間にも広がっています。代表的なものとしては、アプリ広告、デジタルサイネージ、タクシー広告などがあります。
これらの媒体は、特定のシチュエーションで接触できる点が強みです。たとえばタクシー広告であればビジネス層に、サイネージであれば特定のエリアや施設利用者にアプローチできます。
ただし、基本的には認知向けの施策であり、その場でのコンバージョンは期待しにくいのが特徴です。他のデジタル施策と組み合わせて、接触機会を増やす役割として活用するのが効果的です。
動画広告の課金方式と費用相場

動画広告の費用は「1回いくら」といった固定ではなく、課金方式や媒体、目的によって大きく変わります。
そのため、まずは基本となる課金の仕組みを理解し、自社の目的に合った選び方をすることが重要です。
主な課金方式
動画広告の費用は「1回いくら」といった固定ではなく、課金方式や媒体、目的によって大きく変わります。そのため、まずは基本となる課金の仕組みを理解し、自社の目的に合った選び方をすることが重要です。
動画広告で使われる代表的な課金方式は以下の3つです。
| 課金方式 | 内容 | 向いている目的 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| CPV(再生課金) | 動画が一定時間再生されたら課金 | 認知・興味関心 | 実際に見られた分だけ費用が発生 |
| CPM(表示課金) | 1,000回表示ごとに課金 | 認知拡大 | 幅広くリーチしやすい |
| CPC(クリック課金) | クリックごとに課金 | CV・サイト誘導 | 行動ベースで費用が発生 |
このように、同じ動画広告でも「認知を取りたいのか」「クリックを増やしたいのか」で最適な課金方式は変わります。費用だけで判断するのではなく、目的に応じて選ぶことが重要です。
媒体別の費用感の目安
動画広告の費用は媒体ごとにも大きく異なります。代表的な媒体の特徴と費用感を整理すると以下の通りです。
| 媒体 | 費用感の目安 | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| YouTube広告 | 数万円〜数百万円/月 | フォーマットが豊富/幅広い層にリーチ | 認知〜比較検討 |
| SNS動画広告 | 数万円〜運用可能 | ターゲティング精度が高い/拡散力あり | 興味関心・CV |
| Web動画広告(GDNなど) | 数万円〜 | 幅広い媒体に配信可能/効率的なリーチ | 認知・リマーケティング |
動画広告は少額からでも始められる一方で、制作費や運用費を含めると総コストは大きく変わります。そのため、「広告費」だけでなく「設計と運用まで含めた投資」として考えることが重要です。
動画広告の費用でよくある誤解
動画広告で成果が出るかどうかは、費用の高さではなく、設計の精度で決まります。実際に多い失敗は、十分な予算をかけているにもかかわらず、ターゲットや目的が曖昧なまま配信してしまうケースです。
たとえば、認知を取りたい施策であればリーチ重視の設計が必要ですが、CVを目的とする場合はターゲットを絞り、行動を促す導線設計が不可欠です。この整理がないまま動画を制作・配信すると、「再生されたが成果につながらない」という状態になります。
また、媒体ごとの特性を無視した設計もよくある失敗です。YouTubeとSNSでは視聴態度が異なり、同じ動画でも結果は変わります。媒体に合わせた構成やメッセージ設計ができているかどうかが、成果を分けるポイントになります。
結局のところ、動画広告は「いくらかけたか」ではなく、「誰に・何を・どの文脈で届けたか」で結果が決まります。費用の議論だけでなく、設計の質に目を向けることが、失敗しないための前提です。
目的別|動画広告の使い分け戦略

動画広告は「出せば売れる施策」ではありません。特に多い誤解が、テレビや動画広告で認知を取ればそのまま売上につながるという考え方です。実際には、認知だけでは購買は起きず、その後の比較検討や後押しの設計があって初めて成果につながります。
たとえば、テレビCMでよく見かける商品でも、実際に購入に至るのは店頭での販促や、SNSでの口コミ、インフルエンサーの紹介など複数の接点を経た後です。マクドナルドのハッピーセットのように、すでに販促設計が強く「認知されれば売れる状態」ができているケースは例外です。多くの企業にとっては、動画広告単体ではなく、複数の接点を組み合わせた設計が必要になります。
現在の購買行動は、AISAS(Attention→Interest→Search→Action→Share)のように、複数のタッチポイントを経て進みます。たとえば、TVerで動画広告を見て認知し、その後SNSで関連情報に触れ、さらにインフルエンサーの投稿で信頼を得て、最終的に購入する、といった流れです。このように、1つの媒体だけで完結するのではなく、マルチチャネルで設計することが前提になります。
そのため、動画制作会社が「動画を作る」、広告代理店が「配信する」だけでは不十分であり、その上流で「どの目的に対して、どの順番で接点を設計するか」を考える視点が不可欠です。
ここでは、目的別に適した動画広告を紹介します。
認知を目的とした動画広告
認知フェーズでは、「広く届けること」と「印象に残すこと」が最優先です。TVerやYouTube、テレビなどのリーチ力の高い媒体を活用し、短時間でブランド名や特徴が記憶に残る設計が重要になります。
この段階では詳細な説明は不要で、「何のサービスか」「どんな価値があるのか」が直感的に伝わることが求められます。特にスキップされにくい環境では、ストーリー性を持たせて最後まで見てもらう設計が有効です。
主な媒体(認知)
• テレビ広告
• TVer
• YouTube(インストリーム広告など)
興味・関心を高める動画広告
認知の次は、「自分に関係があるか」を判断してもらうフェーズです。この段階では、SNSやYouTubeを中心に、接触回数を増やしながら理解を深めていきます。
ここで重要なのは、広告として押し付けるのではなく、自然なコンテンツとして受け入れられることです。利用シーンやメリットを具体的に見せることで、ユーザーの中で「気になる存在」に変わります。
主な媒体(興味・関心)
• Instagram(リール・フィード)
• TikTok
• YouTube(ショート動画)
• X(旧Twitter)
獲得・CVを目的とした動画広告
コンバージョンを狙うフェーズでは、すでに興味を持っているユーザーに対して「行動の後押し」を行います。ターゲットを絞り込み、具体的なメリットや導入後の変化を伝えることが重要です。
この段階では、リターゲティングやSNS広告、YouTube広告などを活用し、複数回の接触を通じて意思決定を促します。認知動画とは異なり、「なぜ今行動すべきか」を明確にする必要があります。
主な媒体(獲得・CV)
• SNS広告(Instagram・Facebook・LINEなど)
• YouTube広告(リターゲティング)
• Web広告(Google・Yahoo!)
成果が出る動画広告の共通点

動画広告で成果が出るかどうかは、「動画の出来」ではなく「設計の精度」で決まると言っても過言ではありません。特に重要なのは、プラットフォームごとの特性とユーザー属性を理解し、それに合わせて最適化できているかどうかです。
実際に成果が出ている動画広告には、このような共通点があります。
ターゲットに合わせたプラットフォーム選定
成果が出ている動画広告に共通しているのは、ターゲットに対して適切なプラットフォームが選ばれている点です。媒体ごとにユーザー属性や視聴態度が異なるため、どこに配信するかで結果は大きく変わります。
よくある失敗は、X、YouTube、Instagram、TikTokなど複数の媒体に同時に配信しているものの、「誰に届けるのか」が曖昧なケースです。この状態では、どの媒体でも中途半端な成果になります。
重要なのは「どこで伸ばしたいか」ではなく、「ターゲットがどこにいるか」です。目的とターゲットに応じて媒体を選定できているかどうかが、成果が出る動画広告の共通点の一つです。
冒頭3〜5秒で惹きつける設計
成果が出ている動画広告は、例外なく冒頭数秒の設計が作り込まれています。特にYouTubeやSNSではスキップが前提のため、最初の3〜5秒で興味を引けなければ視聴されません。
一方で、TVerやテレビのようにスキップされない媒体では、必ず最後まで見られる前提になるため、冒頭で強いインパクトを出すよりも、ストーリー全体で印象を残す設計が有効です。
つまり、「スキップされるかどうか」という視聴環境に応じて、冒頭の役割を変えている点が共通しています。
マルチチャネル前提での設計
成果が出ている動画広告は、1つの媒体だけで完結していません。現在のユーザーは、1回の接触で意思決定することはなく、複数のチャネルを行き来しながら判断します。
たとえば、動画広告で認知した後にSNSで別のコンテンツに触れ、さらに口コミやレビューを見てから購入に至る、といった流れです。このように、接点が分散している前提で設計されているかどうかが重要になります。
そのため、動画広告は単体の施策として考えるのではなく、「どの順番で接触させるか」「次にどこへ遷移するか」まで設計されていることが、成果が出る動画広告の共通点です。
「動画を作れば成果が出る」と考えない
動画広告は、クリエイティブの力が強いため「良い動画を作れば成果が出る」と思われがちですが、実際は逆です。成果を決めるのは動画そのものではなく、「誰に・どの文脈で届けるか」という配信設計です。
たとえば、どれだけクオリティの高い動画でも、ターゲットとズレていれば見られませんし、刺さりません。逆に、スマホで撮影したシンプルな動画でも、ターゲットと文脈が合っていれば成果が出るケースは多くあります。
動画広告の制作フロー5ステップ

ここでは、実務で押さえるべき基本的な制作フローを整理します。
1. 目的・KPI設計
最初に行うべきは、「何のために動画広告を行うのか」を明確にすることです。認知拡大なのか、興味関心の醸成なのか、コンバージョン獲得なのかによって、動画の内容も配信方法も大きく変わります。
また、目的に応じたKPI設定も不可欠です。再生数や視聴率、クリック率、CV数など、何を成果とするのかを定義しておくことで、後の改善につなげやすくなります。この設計が曖昧なまま進めると、動画の良し悪しを正しく判断できなくなります。
2. ターゲット・文脈整理
次に重要なのが、「誰に、どのような状況で見られるのか」を整理することです。同じ動画でも、見る人や見る場所によって受け取られ方は変わります。
たとえば、SNSで流れる動画とTVerで流れる動画では、ユーザーの視聴態度が異なります。SNSでは流し見される前提のためテンポやフックが重要ですが、TVerではストーリー性が求められます。このように、ターゲットと文脈をセットで考えることが、効果的な設計につながります。
3. 企画・構成
目的とターゲットが定まったら、動画の企画と構成を設計します。この段階では、「何をどの順番で伝えるか」を整理することが重要です。
特に動画広告では、冒頭数秒で興味を引き、その後にメリットやストーリーを展開し、最後に行動を促すという流れが基本になります。ここでの設計が曖昧だと、視聴されても伝わらない動画になってしまいます。
また、媒体ごとの特性もこの段階で考慮し、尺やテンポ、表現方法を最適化することが重要です。
4. 動画制作
企画が固まったら、実際の撮影・編集に入ります。ここではクオリティも重要ですが、それ以上に「設計通りに表現できているか」がポイントになります。
見た目の美しさだけでなく、伝えたいメッセージが正しく伝わる構成になっているか、冒頭で興味を引けているか、最後まで見てもらえるテンポになっているかを確認する必要があります。
また、複数パターンを制作しておくことで、後の検証や改善がしやすくなります。
5. 配信・改善
動画広告は配信して終わりではなく、ここからが本番です。実際の配信データをもとに、視聴率やクリック率、CV率などを分析し、改善を繰り返していきます。
たとえば、冒頭のフックを変えるだけで視聴率が大きく変わることもありますし、ターゲティングの調整によって成果が改善することもあります。このように、PDCAを回しながら最適化していくことが、動画広告の成果を最大化するポイントです。
内製と外注の判断基準
動画広告を実施する際に必ず検討すべきなのが、「内製するか」「外注するか」という判断です。どちらが良いという話ではなく、自社の目的・リソース・求める成果によって最適な選択は変わります。特に動画広告は制作だけでなく、設計や運用も含めた施策のため、どこまで自社で担うのかを明確にすることが重要です。
内製が向いているケース
内製が向いているのは、スピードや改善頻度を重視する場合です。SNS動画広告や短尺動画など、継続的に発信・改善を行う必要がある施策では、社内で制作・運用できる体制があると柔軟に対応できます。
また、商品理解や顧客理解が深い状態でコンテンツを作れる点も強みです。日常的な発信やノウハウ共有、軽い検証用の動画などは、内製の方がコスト効率も良くなります。
ただし、戦略設計やクリエイティブの質が属人化しやすく、客観的な視点が不足しやすい点には注意が必要です。
内製が向いているケース
• SNSや短尺動画を継続的に発信・改善したい
• スピード感を重視したい
• 自社である程度の制作・運用リソースがある
• 小規模なテストや検証を繰り返したい
外注が向いているケース
外注が向いているのは、クオリティや専門性を重視する場合です。ブランドイメージを大きく左右する動画や、認知拡大を目的とした施策では、プロの制作会社や代理店に依頼することで、完成度の高いクリエイティブを制作できます。
また、自社にノウハウやリソースがない場合でも、外部の知見を活用することで、効率的に施策を進めることが可能です。
一方で、制作だけを外注すると「良い動画はできたが成果が出ない」という状態になりやすいため、設計や運用まで含めて依頼できるかどうかが重要になります。
外注が向いているケース
• ブランドイメージを重視した動画を制作したい
• 社内に制作・運用のノウハウがない
• 短期間で一定のクオリティを担保したい
• 認知施策など大きなインパクトを出したい
PR会社に依頼するメリット
動画広告で成果が出ないケースの多くは、「制作」と「配信」が分断されていることにあります。動画制作会社は動画を作ること、広告代理店は配信することに強みがありますが、その上流である「設計」が抜けていることが少なくありません。
PR会社に依頼するメリットは、この上流設計から一貫して関与できる点にあります。単に動画を作るのではなく、「誰にどう伝えるべきか」「どの文脈で見られるべきか」といったコミュニケーション設計から支援できるため、施策全体の整合性が取れます。
また、広告だけでなく、メディア露出やインフルエンサー施策などと組み合わせることで、動画広告を単発で終わらせず、複数の接点で効果を高めることが可能です。
PR会社に依頼するメリット
• 上流の戦略設計から一貫して支援できる
• 動画広告を他施策と連携させられる
• 「どう伝えるか」だけでなく「どう受け取られるか」まで設計できる
• 単発ではなく中長期的なブランド視点で施策を設計できる
動画広告に関するよくある質問(FAQ)

動画広告は1回いくらかかりますか?
動画広告は「1回いくら」といった固定費ではなく、課金方式や配信設計によって費用が変わります。CPV(再生課金)、CPM(表示課金)、CPC(クリック課金)などの仕組みによって、同じ動画でもコストは大きく異なります。
また、広告費だけでなく、制作費や運用費も含めて考える必要があります。重要なのは単価ではなく、「どの目的に対して、どの設計で投資するか」です。費用対効果は設計によって大きく変わるため、まずは目的を明確にすることが優先です。
YouTube以外に動画広告を出せる媒体はありますか?
動画広告はYouTube以外にも多くの媒体で配信可能です。代表的なものとしては、TVer、Instagram、TikTok、Facebook、LINE、XなどのSNS、さらにGoogleやYahoo!のアドネットワーク、Webメディア、アプリ広告などがあります。
それぞれユーザーの視聴態度や目的が異なるため、媒体ごとに役割を分けることが重要です。認知であればTVerやYouTube、興味関心であればSNS、獲得であればリターゲティング広告など、目的に応じた使い分けが必要になります。
動画再生で広告収入は得られますか?
広告収入は、動画広告を出稿する側ではなく、動画を配信する側(クリエイターやメディア)に発生します。たとえばYouTubeでは、一定の条件(チャンネル登録者数や視聴時間など)を満たすことで、動画に広告が表示され、その収益の一部を受け取ることができます。
企業が動画広告を活用する場合は、収益を得る目的ではなく、自社の商品やサービスの認知・理解・購買を促すための投資として捉える必要があります。
まとめ|動画広告は「設計」で成果が決まる

動画広告は、単に「動画を作って配信する施策」ではありません。どの媒体で、誰に、どの順番で接触させ、最終的にどの行動につなげるかまで設計できているかが成果を左右します。
特に近年は、TVerやSNSなど複数チャネルを横断した接触が前提となっており、単発の広告ではなく「マルチチャネルでの体験設計」が不可欠です。実際に、TVer広告は月間4,000万以上のユーザー規模を持ち、広告売上も前年比221%と急成長しており、企業の活用が一気に進んでいます。(※)
このような環境において重要なのは、「動画をどう作るか」ではなく、「どの文脈で、どのように見られ、その後どう行動されるか」までを設計する視点です。シェイプウィンでは、プロのPR会社として、動画制作や広告配信にとどまらず、この上流設計から支援しています。
たとえば、オンライン英会話サービスの事例では、TVer広告を起点にSNSや検索との接点を設計することで、認知度が2倍以上に向上し、検索経由の体験申込数も大きく伸長しました。単発の広告ではなく、複数チャネルを前提とした設計によって、成果につなげています。
動画広告で成果が出ない多くの理由は、「作って終わり」「配信して終わり」になっていることです。もし、動画広告を活用したいが社内で説明が難しい、あるいは配信しているものの成果につながっていない場合は、設計そのものを見直す必要があります。
動画広告を“施策”ではなく“戦略”として活用したい場合は、無料相談からぜひお問い合わせください。
(※)https://www.dempa-times.co.jp/press-release/24654/?utm_source=chatgpt.com
