自社をマーケットで競争優位に立たせるためには、商品の良し悪しだけではなく、社内のリソース最適化、体制づくり、社外とのコミュニケーション、そして経営層とのビジョン共有が欠かせません。
それら全ての中心にあるのが、「ブランド」をどう確立し、どう運用していくかという視点です。
しかし、多くの中小企業では「ブランディング担当者を置くべきか」「どの部署で進めるべきか」が曖昧なまま、施策だけが単発で行われがちです。
本記事では、ブランディング担当者の明確化から、体制づくりの方法、社内外との連携方法まで、すぐに実務に活かせる形で解説します。
<この記事の要約>
・ブランド戦略は「誰が旗を振るか」を決めない限り成果が出ない
・中小企業でも専任または責任者を立てることで、ブランドの軸がブレなくなる
・外部パートナーを適切に活用することで、スピードと精度が飛躍的に上がる
ブランディングに担当者の明確化が欠かせない理由

ブランディングがうまくいっていない企業の多くでは、施策の良し悪し以前に「誰が旗振り役なのか」が決まっていません。
ブランディングとは、デザインや広告だけで作られるものではなく、経営戦略と事業戦略の橋渡しを行い、組織全体に浸透させていく活動です。
だからこそ、ブランドの方針・判断を統一し、責任を持って推進する「担当者の明確化」が必須です。
ここでは、その担当者が担うべき役割を具体的に解説していきます。
ブランディング担当者の基本的な役割
ブランディング担当者の役割は、ロゴやデザインを整えることだけではなく、ブランド戦略の企画から実行、社内外への浸透、そして改善まで、ブランディングに関わる一連の業務を管理することも含まれます。
そこで、まずはじめに行うべき作業は、自社の存在価値・強み・顧客価値を整理することです。
これらが定まると、広告・SNS・営業資料・採用広報などあらゆるチャネルの情報が一本化され、企業の印象が整っていきます。
次は、ブランドの浸透の段階です。
ブランドは作って終わりではなく、社員がその価値観を理解し、日々の業務で体現していくことで定着していきます。そのため、社内での共有会、ガイドライン作成、社内コミュニケーションの設計などが欠かせません。
そして、顧客の声やデータをもとにした改善も重要な役割です。
市場は変化し続けるため、ブランドも育て続ける必要があります。担当者が継続的に情報収集し、必要に応じて新たな施策や修正を提案することで、ブランドは強固になり競争優位を強めていきます。
中小企業でも専任や責任者が必要なのか?

中小企業であっても「ブランディングを担う旗振り役」は必要です。
むしろ人数が限られている企業ほど、ブランドの判断軸がバラバラになりやすく、顧客に伝わるメッセージを統一しづらい傾向があります。その結果、プロモーションや営業資料、SNS、採用、商品説明がそれぞれ違う方向を向き、競争力を失うケースも珍しくありません。
広報会議の調査でも「企業が注力したい広報活動」の4位が「ブランド管理」であり、多くの企業がブランドの重要性を認識していることがわかります。
専任の担当者を置く余裕がない場合は、広報・マーケティング・経営企画などの担当者が「ブランド責任者」を兼ねる形で十分機能するでしょう。重要なのは「誰が最終決定をするか」を明確にし、統一することです。
ブランディングはどの部署が行うべき?

ブランディングは「経営戦略の実行」と密接に関わっているため、広報・マーケティング・経営企画など複数の部署が候補となります。それぞれの部署に特徴があるため、自社の状況や強化したい領域によって最適な配置は変わるでしょう。
まずは、ブランディング担当者に必要なスキルから整理していきます。
ブランディング担当者に求められるスキル
ブランディング担当者に求められるスキルは多岐にわたりますが、最も重要なのは「経営者の考えを言語化し、現場レベルで実行できる形に落とし込む力」です。
経営者のビジョンを理解しても、具体的な業務に落とし込めなければブランドは機能しませんし、逆に現場の声だけでは戦略性が失われます。この両面を理解し、言語化できることが求められます。
また、ブランドは「見せ方」が重要です。顧客にどう見せるか、どのように発信すれば伝わるか、どのチャネルが最適かなどを見極める、広報・マーケティングの知識も欠かせません。
さらに、ブランドを継続的に維持するためには、KPI管理・データ分析・施策の見直しも必要です。ブランド認知、好意度、問い合わせ率、SNS反応などを定点で観測し、改善を繰り返すことでブランドは育ちます。
以上をまとめると、ブランド担当に向いているのは「戦略思考」「社内外とのコミュニケーション力」「情報収集・編集力」「発信力」「継続性」を兼ね備えた人材といえるでしょう。
ブランディングの実行に必要な役割
ブランディングの実行には、一人だけの力では不十分です。
責任者が司令塔となり、複数の専門スキルを持つメンバーが連携することで、ブランドは初めて立体的に機能します。
必要な役割には、主に以下のようなものがあります。
・ブランドマネージャー:責任者。全体の戦略設計を担当
・デザイナー:ビジュアル表現を統一し、ブランドの世界観を形にする
・マーケター:市場分析・顧客理解を担当
・コミュニケーション担当:外部への発信を行う(PR・SNS・広告)
・プロダクトマネージャー:商品・サービスとブランドと整合させる
・広報:外部への情報発信を通じて信頼を構築する
中小企業の場合、これらの担当者をすべて揃えることは難しいため、1名が複数の役割を兼任するケースが一般的です。役割の境界線が曖昧でも「ブランドの判断軸」さえ明確であれば、小規模の組織でも十分実行できます。
どの部署がブランディングを担うべき?
ブランディング担当は、マーケティング部、広報部、経営直下の組織が行うことが一般的です。
ここでは、それぞれの組織にブランディング担当を置くメリット・デメリットを見ていきます。
①マーケティング部
メリット:
・顧客理解や市場分析が得意で、競争優位性の視点を持ちやすい
・広告・SNSなど外部接点を最適化しやすい
デメリット:
・経営戦略との連携が弱いと、一貫した戦略設計が難しくなることがある
②広報部
メリット:
・社外に発信するストーリーを作るのが得意
・経営メッセージとの整合性を取りやすい
デメリット:
・マーケティング的な視点(顧客分析など)が弱いケースがある
③経営企画室・社長直轄
メリット:
・経営戦略とブランド戦略を直結できる
・企業全体の方向性を統一しやすい
デメリット:
・現場との距離が遠くなると、社内への浸透が難しい
ブランディング専門の部門を置く余裕がない企業では、広報部またはマーケティング部に担当者が置かれるケースが多く、特に広報担当者がキーマンになる傾向があります。
広報とブランディングの違いについても確認しておきましょう。
広報とブランディングの違いとは?それぞれの役割や目的、PR方法について解説
ブランドを構築する4つのステップ

ブランド構築では、「現状分析→方針決定→設計→運用・改善」というサイクルを繰り返すことが重要です。
ここでは、その4つのステップを順番に解説します。
ステップ1:現状のブランド整理と資産の棚卸し
ブランド構築の第一歩は、「自社のブランドが現在どう見られているか」を客観的に整理することです。
そのために、ロゴ、スローガン、パンフレット、SNS投稿、営業資料、顧客イメージ、口コミなど、既存の資産を棚卸しします。
資産を並べてみると、トーン&マナーがバラバラだったり、言葉遣いが統一されていなかったり、訴求ポイントが違っていることに気づくでしょう。これでは顧客に正しくイメージが伝わらず、ブランドが育ちません。
棚卸しを行うことで、今抱えている課題が明確になり、ステップ2以降の言語化・戦略化の精度が上がっていきます。
ステップ2:ブランド方針の言語化と社内共有
ブランドの根幹は「企業が顧客にどんな価値を約束するのか」を言語化することです。
ここでは、以下のような要素を明確にしましょう。
・ブランドの理念・存在理由
・重視する価値観や指針
・ターゲット
・社会に提供する価値
・トーン&マナー
・差別化のポイント
言語化ができたら、社員全員が理解し共有できるように資料や動画などを使って浸透させていきます。社内報などの活用も検討しましょう。
社内が同じ方向を向いて初めて、顧客への一貫した発信が実現します。
関連記事:社内報ネタ40選!読まれる記事を作るポイントとは?
ステップ3:実行体制と運用方法の設計
ブランドを実行するには「仕組み」が必要です。
属人的なセンスに頼るのではなく、以下のようなガイドラインや運用フローを整備し、誰が業務を行ってもブランド品質が担保される状態をつくります。
・ブランドガイドライン
・クリエイティブ指針
・発信ルール(SNS・PR・広告)
・営業・採用資料のテンプレート
・経営層や各部署との連携フロー
これらを整備することで、担当者が変わってもブランドがブレない組織になります。
ステップ4:運用・改善サイクルの構築
ブランドは「一度作って終わり」ではありません。顧客の声、社員の声、市場の変化をもとに定期的に見直すことで、ブランドは強くなっていきます。
運用フェーズでは、ブランド認知、好意度、SNS反応、問い合わせ内容などのKPIを設定し、改善のサイクルを回していきます。改善のたびに方針がブレないよう、ステップ2で言語化した「ブランドの軸」に照らし合わせて判断することが重要です。
継続的に改善されるブランドほど、市場での存在感が高まり、競争優位性が強化されていきます。
さらに詳しいブランディングの方法については、こちらの記事で解説しています。
ブランディングのやり方は?手順と注意点を解説
ブランディングでよくある失敗

ここでは特に中小企業で起こりやすい4つの失敗と、その回避策を解説します。
失敗例①:責任者が不明確で方向性が定まらない
責任者が不明確なままブランディングを進めると、最終的な判断基準が曖昧になり、メッセージやデザインがバラバラになるおそれがあります。
ブランドとは「全員の意見をまとめるもの」ではありません。むしろ、経営層が「何を突き詰めるか」を決め、その方針に振り切る姿勢が必要です。
ブランド構築には覚悟が必要で、曖昧な判断はブランドを弱くします。責任者を最初に決めることで、ブランドの方向性が安定し、担当者も迷わずに動けるようになります。
失敗例②:現場の理解・共感が得られず定着しない
ブランドは経営層や担当者だけが理解していても意味がありません。顧客に接する現場の社員が理念を理解していなければ、ブランドは形だけのスローガンになってしまいます。
ブランドが定着しない企業は、共有方法に不備があるケースが多いです。
「資料を配っただけ」「社長が話しただけ」では、人は動きません。ワークショップ、事例共有、成功例の紹介など、現場が自分の業務に紐づけられる仕掛けが必要です。
失敗例③:作って終わりになってしまう
ブランドは、作った時が「始まり」であり、ゴールではありません。
「ブランドブックを作っただけ」「ロゴを刷新しただけ」で満足してしまうと、そのブランドは育ちません。改善サイクルを回し続けることで、ブランドは顧客に共感され、価値を感じてもらえるように成長していきます。
ブランドをつくって終わりにしないためには、KPI設定とレビュー体制が必須です。定期的に顧客の反応を見ながら、微調整を続ける企業ほどブランドが長期的な資産になります。
失敗例④:メッセージを詰め込みすぎる
ブランドにメッセージを詰め込みすぎると、「結局何の会社なのか」が伝わらなくなります。
事業が多角化するタイミングは特に危険で、ブランドが統一されないまま収益のために事業を展開した結果、企業の印象が薄れたケースはよく見られます。
一方で、NVIDIAのようにAI領域の一点突破でブランドを確立し、その後に事業を広げていく戦略は成功しやすい例です。
スラックも「ビジネスコラボレーションハブ」という軸に価値を統一したことで、サービスの指針がユーザーに伝わり、大きく発展しました。
このように、最初のブランドイメージを守りつつ、戦略的に拡張していく姿勢が重要です。
回避策:外部の専門家・パートナーの力を借りる
ブランディングは専門性が高く、外部の視点なしに完結させるのは難しい領域です。
外部パートナーを活用することで、第三者視点・専門知識・実行力を補完でき、プロジェクトの進行スピードが飛躍的に向上します。
外部パートナーは、経営者の意図を客観的に読み取り、市場で通用するブランドとして体系化することに長けています。また、社内調整が難しい場面でも、中立な立場から合意形成を促すことで、施策が前に進みやすくなります。
ブランド構築において「外部サポートを活用するかどうか」は、成果を左右する重要なポイントといえるでしょう。
ブランディングで外部支援を有効に活用するには

中小企業がブランドを短期間で立ち上げるためには、外部支援の活用は非常に効果的です。
ブランド支援の市場価格としては、最低でも500万円規模が一般的ですが、その投資によって得られる効果は長期的な資産価値に直結します。
以下では、外部パートナーを活用するメリットを整理します。
外部パートナーを活用する3つのメリット
ブランディングで外部パートナーを活用するメリットとしては、主に以下のような点が挙げられます。
①ブランド戦略の言語化・体系化をサポートしてもらえる
外部の専門家は、企業が抱える強み・弱みを客観的に整理し、ブランドの「軸」を言語化します。社内だけでは気づけない視点を補完し、戦略全体の一貫性を高めることができます。
②社内調整において第三者視点を入れることができる
ブランド構築で最も難しいのは「社内の合意形成」です。外部パートナーは利害関係のない立場から調整役を担うため、プロジェクトが停滞しにくくなります。
③専門ノウハウによって実行力・推進力を補完できる
ブランド運用には、デザイン、コピーライティング、PR、マーケティングなどの専門技術が必要です。外部チームと連携することで、社内に足りないスキルをスピーディーに補完でき、戦略を高速で実現できます。
では、広告代理店とブランディング専門家のどちらに任せるべきなのでしょうか。
広告代理店に任せるメリット
広告代理店は、ブランド認知拡大や広告戦略に強みを持つパートナーです。
大手媒体とのネットワークや広告デザイン力を活かし、ブランドの世界観を大規模に発信することができます。
一方で、ブランドの根幹部分の設計が弱いケースもあるため、ブランド戦略と広告戦略をどう結びつけるかは慎重に検討する必要があります。
ブランディング専門家に任せるメリット
ブランディングの専門家は、ブランドの価値を1から設計し、言語化・ビジュアル化・戦略化まで一貫して支援します。ブランド理念、ポジショニング、CI/VI、ガイドライン策定など、企業の軸となる部分に深く関わるのが特徴です。
シェイプウィンでも、マーケティングとPRの双方の視点を活かし、ブランドの構築から実行の伴走までをワンストップで支援しています。単なるデザイン制作ではなく、戦略性と実行性を軸に企業のブランド価値を高めることができる点が強みです。
よくある質問

最後に、シェイプウィンが日々ブランディング支援を行う中で、最初に寄せられることの多い質問をまとめました。
ブランディングとはどういう仕事ですか?
ブランディングとは、企業が提供する価値を明確にし、一貫した印象として顧客に伝えていく仕事です。
これは単なるデザインや広告ではなく、「存在理由」「提供価値」「差別化ポイント」を整理し、顧客に選ばれる理由を作り続けるための活動といえます。
社内の浸透や運用改善も含め、長期的に企業の財産となるブランドを育てていくことがブランディングの本質です。
PRとブランディングの違いは何ですか?
PRは「企業の情報を世の中に伝え、信頼を獲得する活動」であり、ブランディングは「企業の価値を定義する活動」です。
PRが「伝え方」に強い領域なのに対し、ブランディングは「価値そのものの設計」に強い領域といえます。両者が密接に連携することで、それぞれの効果を最大化することができます。
まとめ:ブランディングは競争優位に立つための鍵

ブランディングは、企業が競争優位に立つための最も重要な施策の一つです。
単にロゴを作ったり、キャッチコピーを整えたりするだけではなく、企業の軸を定め、その軸に沿って社内外へ価値を伝え、日々の業務の中で体現していくことが必要となります。
一方で、ブランディングは専門性も高く、担当者の配置、体制構築、ガイドライン整備、社内浸透、運用改善など、多岐にわたる要素が絡み合います。企業にとって、これらすべてを限られた人員で実行することは決して容易ではありません。
また、忙しい日々の業務の中ですべてのタスクを管理するのは難しく、施策が単発で終わってしまうことが多いのが現状です。
だからこそ、外部の視点を取り入れることが有効です。
第三者の専門家が入ることで、客観的に情報を整理することができ、意思決定や社内調整がスムーズに進みます。さらに、PRやマーケティング、SEO、SNSなどの発信領域とブランド戦略が一体化することで、企業全体の発信戦略も強化されるでしょう。
シェイプウィンでは、PRとマーケティングの双方の視点を掛け合わせ、ブランド戦略の設計から実行支援までワンストップでサポートしています。
無料相談も実施していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
