TVer広告とは?仕組み・料金・効果をわかりやすく解説

tver 広告

2023年、日本の総広告費は前年比103.0%の7兆3,167億円に達し、戦後推計の開始以来、2年連続で過去最高を更新しました。中でもインターネット広告費は前年比107.8%の3兆3,330億円に到達し、あらゆる業界で「デジタル広告の主戦場化」が進んでいます(株式会社電通「2023年 日本の広告費」より)。

一方で、広告予算や人員に限りがあるマーケティング担当者からは、「広告は出しているけど成果が安定しない」「テレビCMは費用が高くて手が出せない」といった声も少なくありません。

そんな中、テレビの信頼性とデジタルを兼ね備えた「TVer広告」が注目を集めています。

本記事では、TVer広告の仕組みや費用感、他の動画広告との違い、そして中小企業でも実践可能な活用方法まで、PRエージェンシーの視点からわかりやすく解説します。

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はじめに:なぜTVerが注目されているのか

TVer広告_インフォグラフィック
参照:Tver公式サイトより

TVer広告は、近年急速に注目を集めている新しいテレビ広告の形です。背景には、若年層を中心としたテレビ離れと、動画配信サービスの台頭があります。

NHK放送文化研究所の「全国放送サービス接触動向調査2022」によると、Z世代(10〜20代)の約半数が「1週間に一度もテレビを見ない」と回答しています。

こうした中で、地上波テレビ局が共同で展開する「TVer」は、無料で見逃し配信を楽しめる公式サービスとして幅広い層に利用されています。その人気は年々拡大しており、2024年8月には月間動画再生数が初めて4.9億回を突破、月間ユーザー数も4,100万ユニークブラウザ(MUB)に達しました(※)。

今やTVerは、テレビとデジタルの境界を超えた「新しいマスメディア」としての地位を確立しつつあります。

こうした視聴環境の変化を背景に、企業がTVer上で配信できる「TVer広告」は、信頼性の高いテレビ番組枠でデジタル的にターゲティングできる新たな広告手法として注目されています。

(※)https://tver.co.jp/news/20240917.html

TVer広告とは何か?

TVer広告とは_インフォグラフィック

TVer広告とは、民放各局が共同運営する「TVer」アプリやWebサイト上で配信される動画広告を指します。

テレビ番組の見逃し配信を視聴する際に表示される広告で、テレビと同等の信頼性を保ちながら、デジタル広告のターゲティング精度を併せ持つのが特徴です。

まずは基礎的な特徴からみていきましょう。

TVer広告の概要と特徴

TVer広告の概要と特徴_インフォグラフィック
参照:Tver公式サイトより

TVerは日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビなどが参画する見逃し配信プラットフォームで、主要なテレビ番組を放送後に無料で配信しています。
そのため、広告主はテレビ局が提供する「安全性の高いコンテンツ環境」で動画広告を配信できます。

テレビ放送が全国一律で同じCMを流すのに対し、TVerでは端末やユーザー属性に応じて異なる広告を出し分けることが可能です。たとえば、同じ番組を見ていても、視聴者の年齢や地域、興味関心によって表示される広告が変わるため、より精度の高いターゲティング配信が実現します。

広告は6〜60秒の動画で、主に以下のような形式があります。

・インストリーム広告:番組再生前や途中に挿入される動画広告
・コンパニオン広告:画面横に静止画やバナーが表示されるタイプ

特筆すべきは、スキップ不可で最後まで視聴される点です。
SNS広告とは違って「流し見」されにくく、テレビ視聴に近い専念状態で広告が届くため、ブランド認知の向上に強い傾向があります。

TVer広告の種類

TVer広告は、ニーズに応じて「フルマネージド型」「セルフサーブ型」の2つの運用スタイルから選択できます。

「フルマネージド型」とはTVer側に配信から運用まで全てを任せるプランで、詳細なターゲティングが可能です。年齢は1歳刻み、地域は市区町村単位での設定ができ、外部データを使用した高度なターゲティングにも対応しています。
一方で、最低出稿金額が50万円以上に設定されているため、ある程度まとまった予算が必要となります。

「セルフサーブ型」は、2023年4月から開始された比較的新しいプランで、最低出稿金額の制限がなく少額から始められることが最大のメリットです。

項目フルマネージド型セルフサーブ型
最低出稿金額約50万円〜制限なし(10万円前後〜)
ターゲティング精度非常に高い。年齢は1歳刻み、地域は市区町村単位で設定可能。標準的。基本的な年齢・性別・エリア・興味関心などの指定が可能。
運用方法TVer側が管理代理店が運用
CPM単価固定料金でやや高めオークション形式で変動し、比較的安価
配信までの期間申込から1〜2週間前後(審査・設定期間を含む)入稿から3営業日程度
適用場面ブランド認知・信頼構築・大規模キャンペーンなど大型の施策に最適。テスト出稿・限定エリアでのプロモーション・短期的キャンペーンなどに最適。

他の動画広告との比較

Tver広告とよく比較される広告に、YouTube広告とSNS動画広告があります。
ここでは、3者の違いを整理します。

比較項目TVer広告YouTube広告SNS動画広告
スキップ可否不可(最後まで視聴)可(5秒後スキップ)
信頼性高い(テレビ局配信)動画制作者による不明瞭な場合も
ターゲティング高精度(地域・年齢・興味)高精度高精度
視聴態度専念視聴受動・ながら視聴流し見が多い

TVer広告は「どの番組中に配信されるか」は指定できませんが、すべて考査済みのテレビ番組枠に出稿できる点が大きな安心材料です。ブランド毀損リスクを最小限に抑えたい企業にとって、TVer広告は理想的な選択肢といえるでしょう。

TVer広告の特徴とメリット・デメリット

TVer広告には様々なメリットとデメリットがあります。自社に最適な広告出稿を叶えるためにも、必ず押さえておきましょう。

主なメリット

メディアリサーチ会社REVISIOによる調査 TVer広告 完全視聴率
参照:メディアリサーチ会社REVISIO

TVer広告の最大の特徴は、「完全視聴されやすい環境」で配信されることです。

メディアリサーチ会社REVISIOの調査によると、CTV(コネクテッドTV)経由で配信された広告のうち、75%以上が最後まで視聴されており、他の動画媒体と比べても高い注視率を誇ります。

主なメリットは以下の通りです。
・完全視聴率が高く、ブランド認知に直結
・テレビ局が提供する番組枠内での広告配信による信頼性
・性別・年齢・エリアなど柔軟なターゲティング
・テレビを見ない層にもリーチできる

特に若年層では、テレビの代わりにTVerを利用するケースが増加しています。そのため、企業はこれまでリーチしづらかった層に広告を届けることが可能になります。

注意点・デメリット

一方で、TVer広告にはいくつかの注意点も存在します。

・番組指定や配信枠の自由度が低い
・ターゲティングを絞りすぎると配信量が減ることがある
・高単価帯(CPM)で競争が激化する場合がある

つまり、「精度を上げすぎず、リーチを確保するバランス」が重要です。
テレビCMと異なり、ターゲティング設計を誤ると成果が伸びにくいため、データを踏まえた戦略設計が不可欠です。

TVer広告の料金・課金体系

TVer広告は運用形式により費用感が異なりますが、一般的な目安としては50万円前後からが多く、セルフサーブ型では10万円程度からも実施可能です。

課金方式と費用目安

TVer広告の課金方式は、以下の3つの形式があります。

課金方式内容特徴
CPM(固定単価)広告が1,000回表示ごとに固定単価で課金される安定した配信量を確保しやすい
CPM(オークション)広告表示を巡って他社と入札額を競い、最低価格を上回った場合に広告が表示される少額出稿にも対応
CPCV(完全視聴課金)ユーザーが広告を完全視聴したタイミングごとに課金される効果測定しやすい

費用目安は1,000回表示あたり約4,000〜20,000円です。
視聴完了を前提とするため、一般的なYouTube広告より高単価ですが、ブランド価値向上や信頼構築の効果が高いという点で費用対効果は十分と言えるでしょう。

TVer広告の運用フローとポイント

TVer広告の運用フローとポイント_インフォグラフィック

ここでは、TVer広告の運用の流れと各フェーズのポイントについて解説します。

① 問い合わせ

広告出稿はTVer公式サイトまたは代理店経由で行います。

この時点で、広告出稿の目的(認知拡大、販売促進、ブランディング)を明確に伝えることが重要です。
目的やターゲットが曖昧なままでは、最適な配信プランが組めません。

② 見積もり

費用は配信期間・地域・ターゲット・フォーマットにより変動します。
最低出稿金額はおおむね50万円前後で、オプションでブランドリフト調査や追加ターゲティングが可能です。

③ 企画

ターゲット層と目的に応じてフォーマットを選定します。

テレビ番組の内容と親和性があるような訴求を設計し、「誰に・何を・どう伝えるか」を明確にしましょう。
ブランドトーンを崩さず、ストーリー性を持たせることが鍵です。

④ 素材準備・審査

TVer広告はテレビと同様に厳格な審査が行われます。

不適切な表現や著作権侵害がないかを事前確認し、早めの入稿スケジュールを意識しましょう。既存のテレビCM素材を活用することも可能ですが、TVer視聴環境に合わせた編集が望ましいです。

⑤ 配信

審査通過後、設定に基づいて配信を開始します。

配信期間中もターゲットへの到達状況や視聴完了率を随時確認し、年齢・地域・属性・配信頻度など細かく制御しましょう。効果改善のため、クリエイティブの差し替えを行うこともできます。

「認知目的なら広く配信」「行動喚起なら頻度重視」といった、目的に沿った調整がポイントです。

⑥ レポート確認

配信終了後は、視聴完了率・到達率・ブランドリフト結果などを確認します。

ウェブアクセス解析とも組み合わせると、効果測定がより正確になるでしょう。また、ある程度の予算規模(50万円以上)であれば、ブランドリフト調査を無料で実施してもらえるケースもあり、検証の精度が高まります。

結果をもとに、次回のターゲティングやクリエイティブ改善を行うことで広告ROIを最大化できます。

PR会社がTVerを運用するポイント

PR会社がTVerを運用するポイント_インフォグラフィック

PR会社がTVer広告を扱う際の最大の強みは、「認知」だけでなく「信頼」を設計できることです。
TVer広告はクリックや購入を直接促すよりも、「ブランドの好感度・共感」を高めることに特化しています。

したがって、SNS広告や検索広告と組み合わせた、「メディアミックス戦略」が効果的です。以下にメディアミックスのフローをまとめています。

①SNSで関心を醸成
②TVerで信頼を形成
③Webサイトで行動に繋げる

単発で実施するより、PR・SEO・SNSを横断的に運用することで効果を最大化できます。

TVer広告の成功事例

TVer広告 事例

ここでは、TVer広告の成功事例を紹介します。

認知度が2倍以上に向上:子ども向けオンライン英会話Novakid

子ども向けオンライン英会話を展開する「Novakid」では、認知獲得と興味喚起を目的にTVer広告を導入しました。

シェイプウィンがCM制作から運用までを担当し、ブランドリフト調査では認知度が2倍以上に向上。検索経由の体験レッスン申込数も大幅に増加しました。

特に、テレビ×デジタルのハイブリッド訴求が功を奏し、「信頼性の高いオンライン教育ブランド」という印象形成に成功しました。

※具体的な数字については機密保持の観点から公表を控えております。

よくある質問(FAQ)

最後に、シェイプウィンがTVer広告運用を支援する中で、実際によく受ける質問とその回答をまとめました。最初の段階で押さえておきましょう。

TVerの広告はスキップできますか?

できません。最後まで視聴される仕様です。

広告なしプランはありますか?

ありません。すべて無料提供のため広告付きです。

費用の目安は?

セルフサーブ型なら10万円〜、フルマネージド型なら50万円〜が目安です。

配信先は指定できますか?

番組単位の指定は不可ですが、ジャンルや時間帯指定は可能です。

他の広告と併用できますか?

はい。SNSやYouTube広告と併用すると相乗効果が高まります。

まとめ:TVer広告は信頼確保とターゲティングを両立する広告手法!

PR会社

TVer広告は、単なる動画広告ではなく「信頼されるブランドを作る」ためのメディアです。
スキップが不可・視聴完了率が高いという特性から、企業のメッセージが確実に届く一方で、戦略設計を誤ると効果が薄くなります。
認知・信頼・共感を獲得するためには、SNSやSEOと連携し、継続的な情報発信が欠かせません。

中小企業が限られたリソースで最適な成果を出すには、PRと広告の両面に精通したパートナー選びが重要です。

シェイプウィンでは、TVer広告の企画・出稿・レポート分析をワンストップで支援し、企業の目的に合わせたブランド戦略を設計しています。
まずは無料相談から、お気軽にお問い合わせください。

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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。