テレビ広告とは?費用相場・効果・デジタル広告との違いを徹底解説

テレビ 広告

テレビCMを検討しているものの、費用対効果を不安に感じている方は少なくないでしょう。

かつては莫大な広告費が必要とされ、デジタル広告と比べて効率が悪いとされてきたテレビ広告。しかし今では、データをもとに成果を可視化し、エリアや時間帯を絞って柔軟に出稿できる時代になっています。

本記事では、テレビ広告の費用相場や仕組み、デジタル広告・ラジオ広告との違いを整理し、現状の課題と今後の活用法をわかりやすく解説します。テレビ広告をメディア戦略の一環として見直すヒントをお届けします。

テレビ広告とは?

テレビ広告の種類_インフォグラフィック

テレビ広告とは、テレビ放送を通じて企業や商品・サービスを宣伝するすべての広告手法の総称です。
大きく分けると、「テレビCM」と「インフォマーシャル」の2種類があります。

テレビCMは、さらに「タイムCM」と「スポットCM」に分類、さらにスポットCMは「ST(ステーションブレイク)」と「PT(Participating Commercial)」の2形式に分かれます。

本記事ではまず、それらの定義からしっかり押さえましょう。

タイムCMとは

タイムCMとは_インフォグラフィック

「タイムCM」とは、特定の番組のスポンサーとして提供される30秒単位の広告です。
基本的に2クール(6か月)単位で契約され、その番組中にのみ流れるのが特徴です。

秒数によって、以下のような違いがあります。

秒数主な用途特徴提供アナウンス
30秒標準的な広告尺メッセージを端的に伝えやすく、最も一般的な長さ「ご覧のスポンサーの提供でお送りしました」のアナウンス
60秒情報量を増やす商品説明やストーリーテリングに向く会社名や商材名のアナウンス
90秒ストーリー訴求感情訴求型・ブランドストーリーなどに適しているキャッチフレーズを含む会社名や商材名のアナウンス

タイムCMの主なメリットは、以下の3点です。

・番組視聴者層に合わせた精度の高いターゲティングが可能
・番組と共にブランドイメージを形成しやすい
・企業名やロゴを番組内に表示できる(提供表示)

また、放送エリアによって「ネットタイム(全国放送)」と「ローカルタイム(地域放送)」に分かれます。

初めて出稿する場合は、まずローカルエリアでテスト的に放映し、効果を検証するケースも多く見られます。

この段階的アプローチによって、無駄な広告費を削減しながら最適な放送枠を見極めることができます。

スポットCMとは

「スポットCM」とは、特定の番組に依存せず、テレビ局が設定する時間帯に流れる15秒単位のCMです。

タイムCMに比べ柔軟な運用が可能であり、販促キャンペーンや期間限定商品などにも適しています。

スポットCMはさらに、2種類に分類されます。

・SB(ステーションブレイク):番組と番組の間に放送される
・PT(Participating Commercial):番組の途中に挿入される

スポットCMは、番組を選べない代わりに幅広い層にリーチできるという利点があります。

また、出稿期間を自由に設定できるため、特定のイベントや新商品の発売タイミングに合わせた広告展開も可能です。

エリアを絞れば、比較的少ない予算でテレビCMを試すことができます。

その他のテレビ広告

テレビ広告にはほかにも多様な形態があります。

ミニ番組:企業の提供で短尺の情報番組を制作する形式。ブランディングに有効。
インフォマーシャル:商品説明を中心とした長尺CMで、通販やBtoCサービスに多い。
ペイドパブ:番組内で自然に商品を紹介する形式。信頼感と認知の両立を狙える。

デジタル広告・ラジオ広告などとの比較

テレビ広告の立ち位置を理解するうえで、他媒体との比較は欠かせません。
ここでは、YouTubeやSNSなどのデジタル広告、ラジオ広告と比較し、それぞれの特性を整理します。

項目テレビ広告YouTube・SNS広告ラジオ広告
リーチ全国規模・年齢層幅広い特定セグメント中心地域密着・ドライバー層中心
費用高額(数百万円〜)少額から出稿可能比較的低額(数万円〜)
信頼性高い(CM考査あり)比較的低い(出稿容易)中程度(放送局の信用に依存)
ブランディング効果非常に高い限定的中程度(親近感の醸成に強い)

YouTube・SNS広告との比較

デジタル広告は精密なターゲティングが可能で、低コスト・短期間でPDCAを回せるのが特徴です。一方で、テレビ広告はリーチの広さと信頼性で優位に立ちます。

デジタル広告が「行動喚起」を狙うのに対し、テレビ広告は「印象形成」や「認知の定着」に長けています。
そのため、両者を組み合わせるクロスメディア戦略が近年注目されています。

SNS広告運用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【完全ガイド】SNS広告運用を徹底解説!利益を出すための広告運用方法は?

ラジオ広告との比較

ラジオ広告は、音声中心の訴求で地域密着型・低コストが魅力です。
ただし、映像による印象づけやブランド体験を作るのは難しいという課題もあります。

ブランド力を築きたい場合はテレビ広告、地域密着型プロモーションにはラジオ広告といった使い分けが有効です。

テレビ広告のメリット・デメリット

テレビ広告のメリット・デメリット_インフォグラフィック

テレビ広告の価値は、単なる「露出」ではなく「信頼の獲得」にあります。
ここでは、効果的に活用するためのメリットと注意すべきデメリットを整理します。

テレビ広告のメリット

①圧倒的なマスリーチ
テレビは依然として全国で数千万人が視聴する最大のマスメディアです。
認知拡大やブランド浸透を一気に進めたい場合には最適です。

②ブランド価値の向上
「テレビCMを出している企業=信頼できる企業」という印象を持たれやすく、BtoBの取引先や採用活動にも好影響を与えます。

③厳格なCM考査による信頼性
テレビ広告を出すまでには、業態考査・素材考査など、出稿までに厳しい審査があるため、一度放映されるだけで社会的な信頼度が高まります。
たとえば、オンラインカジノなどは審査でNGになる一方、ゲームや教育系は放映可能など、公共性の高さが前提です。

④中間顧客への説得材料になる
卸や小売業などの流通が関わるビジネスでは、「テレビCMを出している」という事実そのものが、強力な説得材料になります。

バイヤーは常に売れる商品を求めているため、認知が広がりやすいテレビCMの実施は「この商品は市場で話題になり始めている」「売上が見込める」と判断するための大きな根拠になります。その結果、新規の販路を開拓しやすくなったり、棚の確保や陳列の優先度が上がるなど、取引条件の改善につながることも少なくありません。

テレビ広告のデメリット

①高コスト
東京キー局の15秒スポットで数十万円〜、全国ネットでは数百万円規模になることも珍しくありません。
効果を得るためには、最低でも数千万円〜億単位の予算を想定すると良いでしょう。

②効果測定の難しさ
広告認知・購買への貢献をデータで捉えるのは容易ではありません。
しかし、最近ではTVer連携やリーチ効率(GRP)の分析により、定量的な可視化が進んでいます。

③柔軟性の欠如
出稿までに数週間〜数か月を要し、即時性は低いため、キャンペーン型の短期施策には不向きです。

テレビ広告の現状と活用方法

テレビ広告は「衰退メディア」と思われがちですが、実際には構造変化を経て新たな価値を生み出しています。

今後の成長見込み

電通グループの調査「世界の広告費成長率予測(2021〜2024)」
参照:電通グループの調査「世界の広告費成長率予測(2021〜2024)」

若年層のテレビ離れが課題視されながらも、コロナ禍の落ち込みから2021年に17.0%、2022年には9.2%と回復傾向を見せています(電通グループの調査「世界の広告費成長率予測(2021〜2024)より)。
デジタル広告が拡大する中でも、テレビ広告は依然としてシェア全体の約2-3割を占めています。

特に「TVer」などの配信型テレビサービスが登場したことで、テレビの価値が再定義されています。

スポットCMとタイムCMの使い分け

活用するCMは、放映の目的によって使い分けることが重要です。

・認知目的:全国ネットのタイムCM
・地域限定・販促目的:ローカルスポットCM
・ブランディング・継続露出:長期タイム提供

企業規模や商材特性によって最適解は異なるため、初期段階では小規模テスト出稿が有効です。

クロスメディア活用

「続きはWebで」という言葉があるように、テレビとデジタルの連携は今や当たり前となっています。テレビCMで興味を持った視聴者を、TVerやYouTube広告で再接触させることで、放映後の行動を促すことができます。

TVerではリアルタイムで見逃した人にもリーチでき、視聴履歴に基づく配信最適化も可能です。

テレビで広く認知を取り、Webで興味関心を深めるという「クロスメディア設計」こそ、現代広告の鍵となっています。

エリアや放送枠の工夫・クリエイティブの最適化

テレビ広告の成果を最大化するには、放送条件と内容の最適化が欠かせません。

・放送エリア:全国展開よりもまずは関東・関西・九州など主要ブロックで検証
・放送枠:深夜帯よりも朝・ゴールデンの方が認知率が高い
・クリエイティブ:冒頭3秒で印象を残す構成が必須

テレビ広告は単なる露出ではなく、ターゲットと目的を明確にした設計が重要です。

テレビ広告をPRに活用する

CMを出稿したという事実自体が、企業PRや採用ブランディングに活用できます。

ニュースリリースやコーポレートサイトで「CM放映のお知らせ」を掲載すれば、信頼性・認知拡大の両面で効果的です。

たとえば、村田製作所のように企業キャラクターを前面に出したキャンペーンは、社会的ブランド価値の形成にもつながります。

広告に限らずテレビを活用したPR手法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
テレビの特徴とPR活用術!テレビ掲載のメリットは?

よくある質問

ここでは、PRエージェンシーが企業の支援を行う中で日々受ける質問と回答を紹介します。

テレビの広告費は15秒でいくらですか?

放送エリア・時間帯によりますが、全国ネットでは1本あたり100〜300万円、ローカル局では10〜50万円程度が目安です。

CMを1回流すのにいくらかかりますか?

制作費を含めると、1本あたり数百万円〜数千万円規模になります。
ただし、短期キャンペーンや地域限定であれば100万円台から始めることも可能です。

広告が多すぎると逆効果になる?

頻度が高すぎると視聴者が飽きてしまい、逆効果になります。
適度な放映頻度とクリエイティブの変化を組み合わせることが大切です。

テレビを見る人が減った理由は何ですか?

スマートフォンの普及と動画配信サービス(Netflix、YouTubeなど)の台頭が主な要因です。
ただし、テレビは「威厳性が高いメディア」として依然高い信頼を維持しています。

どのくらいで効果が出ますか?

商品認知・ブランド想起の効果は、放映から2〜3週間で現れることが多いです。
GRP(延べ視聴率)を基準に、ターゲットへの到達率を可視化しながら運用、改善します。

まとめ:テレビ広告は依然として有効な手段

PR会社

テレビ広告は高額な投資を要する一方で、得られる信頼とブランド価値は他媒体には代えがたいものです。

TVerやデジタル連携が進む今、テレビは「古い手法」ではなく「データで最適化できるメディア」へと進化しています。

ただし、テレビ広告単独で成果を求めても限界があるのも現実です。幅広い認知をテレビで獲得し、WebやSNSで購買につなげるクロスメディア戦略こそが、現代の最適解と言えるでしょう。

とはいえ、テレビ・SNS・SEO・PRをすべて自社で管理するのは困難です。
シェイプウィンでは、テレビ広告を中心としたクロスメディア戦略の立案から運用までを包括的にサポートしています。まずは自社の現状をもとに、最適な広告戦略を考えてみませんか。

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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。