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広告換算値とは?意味・計算方法・注意点を解説

広告 換算 値

メディア露出は広報活動の大きな成果ですが、その価値を社内に理解してもらうのは簡単ではありません。そこで用いられるのが「広告換算値」です。

記事や番組で得た露出を広告費に換算し、もし同じ効果を広告で得たらいくら必要かを示すこの指標は、広報の成果を数値化する手段として、現在も多くの企業で重要なKPIに位置づけられています。

さらに、外部のツールや会社に依頼すれば、一律の基準で換算してもらえるため、外注によって効率的に成果を可視化することも可能です。

本記事では、広告換算値の意味やメリット、具体的な算出方法、注意点までを詳しく解説します。

広告換算値とは?

広告換算値とは?_インフォグラフィック

広告換算値とは、メディアに記事やニュースとして掲載された内容を、同等の広告出稿を行った場合の金額に換算した数値のことです。

たとえば新聞に1/4ページの記事が掲載された場合、その紙面に広告を出した際の料金を参考に「広告換算値」として算出します。

この数値を使うことで、広報活動を広告と同じ尺度で比較・評価でき、経営層や他部署にも説明しやすくなるため、多くの広報現場で重宝されています。

まずは、広告換算値を算出する目的からみていきましょう。

広告換算値の目的・意味

広告換算値の最大の目的は、広報活動の成果を「お金」という共通言語に変換し、社内外のステークホルダーに伝えることです。

企業活動においては、売上や利益といった金額ベースの指標が重視されるため、広告換算値を用いると広報活動の意義を数値で補足できます。

さらに、広報は「どれだけ露出したか」という可視化が難しい分野でもあります。
広告換算値を使うことで「広告ならこれだけコストがかかった」という対比ができ、広報活動の存在意義を認識してもらいやすくなります。

関連記事:広告と広報PRの違い

広告換算値は今も使われている?

現在でも広告換算値は多くの企業で使われています。
特にプレスリリースの効果測定やメディア露出の社内報告においては定番のKPIです。

一方で「意味がないのでは」と批判されることも少なくありません。

理由は、広告換算値が必ずしも実際の購買やブランド認知度の向上を直接的に示す指標ではないからです。ただし、定量的な成果を示すための「入口の指標」としては依然有効であり、他の指標と併用することで広報活動の説得力を高められます。

広告換算値のメリット

広告換算値のメリット_インフォグラフィック

広告換算値は批判もありますが、広報現場で長く利用されているのは確かな利点があるからです。ここでは代表的なメリットを4つ紹介します。

①社内やステークホルダーに数値で説明できる

経営層や営業部門など、広報に詳しくない相手に成果を説明する場合、広告換算値は非常に有効です。数百万円規模の広告費に相当する露出を獲得した、と数値で表現すれば一目で価値が伝わります。

「取材記事が掲載された」だけでは伝わりづらい成果も、金額に直せば社内の理解を得やすく、広報の評価につながるでしょう。

②基準が明確で計算が簡単

広告換算値は「広告料金表」を基準にするため、算出ルールがシンプルです。

・新聞:紙面の段数や行数
・テレビ:視聴率や放送枠の広告料金
・雑誌:ページや広告面積
・Web:PV数やバナー広告費

といった形で客観的な料金を参照すれば、誰でも計算可能です。明確でシンプルなため、KPIとして活用しやすいのが強みです。

③ツール・クリッピング会社などに外注できる

広告換算値の算出は自社で行わなくても、クリッピング会社やPR分析ツールに依頼できます。

外部サービスを使えば一律の基準で算出してもらえるため、社内リソースを使わず効率的に管理可能です。

また、外部が算出した客観的な数値を提示することで、社内での説得力が増す点も大きな利点です。

④広報の成果を定量的に評価できる

広報は「定性的な価値」が重視されやすい分野ですが、広告換算値を活用すれば「数字」で示せます。

たとえば「累計露出1,000万円相当」といった形で社内共有することで、他部門と並べて比較できるようになり、広報の重要性を理解してもらいやすくなります。

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今すぐ使える!プレスリリースKPI管理テンプレート

広告換算値の計算方法と具体例

広告換算値の計算方法と具体例_インフォグラフィック

広告換算値の算出は媒体ごとに異なります。ここでは主要なメディアの算出方法を紹介します。なお、広告換算値はあくまで「物差しの一つ」である点に注意が必要です。

テレビの算出方法

テレビの広告換算値は、番組の視聴率や放送枠に基づいて計算されます。

たとえば、関東地区の視聴率データ(ビデオリサーチなど)をもとに、CM料金に換算します。広告業界では「GRP(延べ視聴率)」を活用し、CMと同等の効果として数値化するのが一般的です。

新聞の算出方法

新聞の場合は、記事が占める面積を基準にします。
具体的には「何段×何行」という記事スペースを広告料金に置き換える方式です。

全国紙で1段広告が50万円であれば、記事が3段分なら150万円相当という計算になります。

雑誌の算出方法

雑誌は広告ページの料金表を基準にします。
記事が1/2ページ分の面積であれば、1ページ広告料金の半額が広告換算値になります。

ファッション誌や業界誌など、媒体ごとに広告単価が異なるため、掲載先ごとに確認する必要があります。

Webメディアの算出方法

Webメディアでは、PV数や記事広告(タイアップ記事)の料金を基準にします。

などを参考に広告換算値を算出します。

一般的に記事広告よりも通常の記事の方が読まれやすいため、PR業界では「記事広告の料金×3倍」といった係数を使う場合もあります。
これは、SEO上位の記事が広告より3倍クリックされやすいことに基づいています。

関連記事:広報が知っておくべき「SEO×PR戦略」とは?メディア露出への連携方法も解説

広告換算値の注意点

広告換算値の注意点

広告換算値は便利な指標ですが、過信は禁物です。「広告換算値には意味がない」と言われる理由も理解し、正しく使うことが大切です。

ここでは、広告換算値をKPIにする時の注意点を3つ紹介します。

①プラットフォームにより換算基準が異なる

広告換算値は、依頼先のクリッピング会社や利用する基準によって数値が変わります。

同じ記事でも算出方法が違えば金額が異なるため、正解はひとつではありません。数値の正しさに過度にこだわることよりも、社内で一貫性のある基準を設定して運用することが重要です。

②媒体の影響力を考慮していない

広告換算値は「面積」や「時間」で計算されるため、媒体の影響力が正確に反映されないことがあります。
BtoB企業の場合、一般紙よりも専門メディアの露出が重要ですが、広告換算値では逆に低く算出されてしまうケースもあります。

また、特集記事で詳しく紹介された場合と、媒体の最後のページに小さくある情報欄などに載った場合でも、同じ数値になってしまうことも頭に入れておく必要があります。

③記事の「質」を評価することはできない

広告換算値は露出の「量」を測るものであり、記事の内容や評価(ポジティブ・ネガティブ・ニュートラル)は反映されません。

同じ分量の記事でも、特集での深掘りと、プレゼント欄での掲載では影響度が大きく異なります。

つまり、広告換算値だけでは広報活動の本質的な成果を評価するのが難しいのです。

プロのPRエージェンシーが受ける、よくある質問

プロのPRエージェンシーが受ける、よくある質問_インフォグラフィック

広告換算値の算出においては、KPI設定やテレビ出演の評価方法、転載記事の扱いなど、現場ごとに判断が分かれるケースも少なくありません。

ここでは、多数の企業広報を支援してきたシェイプウィンが、よくある質問とその考え方をまとめました。

広報のKPIはどのように設定していますか?

広告換算値をKPIにする場合、他の指標と併用するのが理想です。

・広告換算値(量の指標)
・記事の質的評価(トーン分析)
・SNS拡散数やWeb流入数

これらを組み合わせることで、広報の成果を立体的に評価できます。

テレビ出演の広告換算値はいくらですか?

テレビ出演の広告換算値は、番組の視聴率や放送時間帯、放送枠料金を基準に算出されます。
たとえば、全国ネットのゴールデンタイムに放送された場合は、1本のCM出稿で数百万円から数千万円規模になることが一般的です。出演時間が長く、番組内での扱いが大きいほど金額も高く算出されます。

ただし、同じ視聴率でも番組内容や文脈によって視聴者の反応は異なることに注意が必要です。専門的な番組での紹介と短いコメント出演では、影響度が大きく異なります。
そのため、「番組の視聴層と自社のターゲットが合致しているか」をあわせて考える必要があります。

会社によって広告換算値が異なるのはなぜですか?

広告換算値が会社ごとに異なるのは、依頼するクリッピング会社や利用する基準が違うためです。新聞やテレビの広告料金表を基準にする場合もあれば、Web記事のPVや想定クリック率を重視する場合もあり、数値は大きく変動します。

そのため「どの会社が正しい」ということはなく、重要なのは社内で一貫した基準を持つことです。毎回算出方法が変わると比較ができず、広報成果の推移を評価できません。

実務的には、あらかじめ社内で「どの媒体はどの基準で評価するか」を決め、外部サービスを活用する場合もその方針に沿うよう統一することが望まれます。

Webメディアの転載記事は広告換算値に含めますか

Webメディアでの転載記事を広告換算値に含めるかどうかは、運用方針によって判断が分かれます。

含めれば、同じ内容が多くのサイトで取り上げられたことを「露出の広がり」として示せる一方、同一記事を繰り返しカウントすることになり、実態以上に大きな数値が算出されるリスクもあります。

含めない場合は重複計上を避け、純粋な掲載件数や媒体ごとのインパクトに集中できますが、二次拡散の効果を過小評価する可能性もあります。どちらが正しいということではなく、あくまで一長一短です。

重要なのは、社内で一度ルールを決めたら継続的に同じ基準で評価し続けることです。これにより比較可能性が担保され、成果を正しく報告できるようになります。

まとめ:広告換算値で広報の成果を「見える化」する

PR会社

広告換算値は、広報活動を「お金」という共通の尺度で示す便利な指標です。

特に経営層や社内への説明においては、広告に換算した数字を提示することで、広報の存在意義を理解してもらいやすくなります。

しかし同時に、媒体や算出方法によって数値が変わる、質的評価が含まれないといった限界も抱えています。そのため、広告換算値だけを成果指標とするのは不十分であり、Web流入数やSNSでの反応、ブランド評価といった多角的なKPIを組み合わせてこそ、広報の真価が見えてきます。

シェイプウィンでは、広告換算値の設定はもちろん、SNS、SEO、PRを包括的に支援する体制を整えています。成果を見える化しつつ本質的な広報戦略を進めたい方は、ぜひご相談ください。


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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。