テレビ広告とインターネット広告の違いとは?費用・効果・選び方まで徹底比較

テレビ広告 インターネット広告

「広告」と一口に言っても、テレビCMとネット広告では狙うべき目的や得られる成果が大きく異なります。それにもかかわらず、「どちらが効果的か」という二択で考えてはいないでしょうか。

加えて、現代のマーケティングでは、広告単体で成果を追うよりも「PESOモデル(Paid, Earned, Shared, Owned)」を軸に、PRやSNS、SEOなど複数のチャネルを統合的に活用することが主流となっています。

この記事では、テレビ広告とインターネット広告の違いを整理しつつ、自社に合った広告戦略の設計方法を解説します。

テレビ広告・ネット広告、どちらが効果的?

テレビとインターネット広告のどちらが「優れているか」を単純に比較することはできません。
それぞれの特性を理解し、自社の目的に合わせて最適なチャネルを選ぶことが重要です。

広告費の変化とトレンド

株式会社電通「2023年 日本の広告費」をもとに作成した、経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室による資料
参照:株式会社電通「2023年 日本の広告費」をもとに作成した、経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室による資料

ここ数年、国内外でインターネット広告費がテレビ広告費を上回る傾向が続いています。

株式会社電通の「2023年 日本の広告費」によると、日本の総広告費は前年比103.0%の7兆3,167億円で過去最高を更新。そのうちインターネット広告費は3兆3,330億円(前年比107.8%)と全体の約45%を占め、テレビ広告費(1兆7,347億円)を大きく上回りました。

この背景には、スマートフォンの普及とデジタルメディアの多様化があります。
TVerやYouTubeなど、動画プラットフォームを通じてテレビのような視聴体験をオンラインで楽しむ層が増加。結果として、企業がリーチすべき接点もテレビからネットへと広がりました。

一方で、テレビ広告は依然として「信頼性」「ブランド構築力」において圧倒的な優位性を持ちます。全国放送で得られる社会的信用や、世代を超えたリーチ力は、他の媒体では代替できません。

つまり、どちらか一方ではなく、目的によって使い分けることが理想です。

インターネット広告の問題

一般財団法人日本インタラクティブ広告協会の調査によると、回答者の約92.5%がネット広告の存在を許容し、クリックしてサイトを訪問したことがある人の70%以上が「有益だった」と感じた経験があります。

一方で、信頼度ではネット広告22.3%に対し、テレビ広告44.4%と大きな差があります。その理由として、「しつこい・不快」「煩わしい」などの感情的な拒否反応が挙げられます。

近年はステルスマーケティングや誤情報を含む広告も社会問題化しており、消費者の目が厳しくなっています。

インターネット広告を運用する際は、データドリブンで最適化を図るだけでなく、ブランド価値を損なわない「倫理的な広告配信」も重要です。

テレビ広告とインターネット広告の基本

テレビ広告とインターネット広告の基本_インフォグラフィック

テレビ広告とインターネット広告の特徴を正しく理解することで、自社にとってどのチャネルが最適かを見極めやすくなります。

まずは、テレビ広告とインターネット広告の特徴と種類を整理しましょう。

テレビ広告とは

テレビ広告はマス媒体の代表であり、圧倒的なリーチ力と信頼性を誇ります。
特に、全国ネットCMやニュース番組提供枠などは社会的信用を高める手段として有効です。

主な種類は以下のとおりです。
・テレビCM(全国ネットCM・ローカルCM)
・スポンサー提供番組(タイアップ)
・提供クレジット(番組冒頭・終盤の表示)
・インフォマーシャル(長尺PR番組)
・字幕・テロップ広告
・スポットCM(特定地域・時間帯限定)

テレビ広告の最大の魅力は、短期間で広範囲に認知を獲得できることです。ブランドや新商品を一気に浸透させたい場合に効果的です。

インターネット広告とは

一方、インターネット広告はターゲティング精度と即時性が最大の強みです。
SNS広告や検索連動型広告など、消費者の興味関心に合わせて訴求でき、費用対効果を可視化できます。

主な種類は以下の通りです。
・ディスプレイ広告
・リスティング広告(Google・Yahoo!)
・動画広告(YouTube・TVerなど)
SNS広告(Instagram・X・TikTokなど)
・ネイティブ広告(記事風広告)
・アフィリエイト広告
・リターゲティング広告
・CTV/OTT広告(コネクテッドTV)

インターネット広告は、PDCAを高速で回せるため、限られた予算でも効率的な改善が可能です。

テレビ広告とインターネット広告の違い

両者の特徴を表で整理します。

項目テレビ広告インターネット広告
ターゲティング地域・時間帯での大まかな設定年齢・性別・興味など詳細設定可能
伝達手段映像・音声による一方向発信双方向のコミュニケーションが可能
コスト制作費・放映費が高い少額から出稿可能で運用型
効果測定認知率や想起調査など間接指標CTR・CVRなど定量的データで可視化
即時性低い(企画〜放送まで時間が必要)高い(即日配信可能)
信頼性高い(社会的信用を得やすい)低め(広告の質にばらつきあり)

情報伝達の違い

テレビ広告は「マスへの一斉発信」、インターネット広告は「ターゲットごとの最適発信」が基本構造です。

前者は広範囲の認知形成に適し、後者は興味層への精密な訴求に強みがあります。

コストの違い

テレビCMは制作費・放映費を含めると数百万円〜数千万円規模になります。一方、インターネット広告は10万円程度からテスト出稿が可能です。

ただし、ネット広告は運用型であるため、効果を維持するには継続的な投資が必要です。

特徴の違い

テレビは「ブランドの信頼醸成」、ネットは「購買行動の促進」。

このように目的が異なるため、「どちらが上か」ではなく「どちらをいつ使うか」という戦略設計が重要です。

期待できる効果の違い

テレビは社会的信用・ブランド資産の形成に寄与し、ネットは短期的なリード獲得や販売促進に効果を発揮します。

企業の成長段階や目的に応じて、バランスを取ることが成功の鍵です。

広告手法の選び方とメディアミックス戦略の考え方

広告手法の選び方_インフォグラフィック

目的・予算・ターゲット層に応じて、最適なチャネルを選定することが重要です。それぞれ選び方をみていきましょう。

目的別の最適な手法

・認知向上・ブランド構築 → テレビ広告
・顧客獲得・販売促進   → インターネット広告
・継続的な関係構築    → SNS広告・メール広告

たとえば、新ブランドを立ち上げる際にはテレビで広く認知を取り、その後SNSやYouTubeでエンゲージメントを深める方法が有効です。

予算・ターゲット別の選び方

広告の効果は、単に予算の大小ではなく「誰に・どの規模で届けたいか」によって最適な媒体が変わります。以下は、予算とターゲットに応じたおおまかな目安です。

予算規模向いている媒体主なターゲット層
〜100万円ネット広告(SNS・動画・リスティング)若年層・地域限定の見込み顧客・デジタル接触の多い層
100〜1000万円ネット広告+地域TVスポット地域住民・ファミリー層・購買意欲の高い生活者
1000万円以上全国テレビCM+デジタル広告併用全国規模の認知拡大を狙う企業・マス向けブランド

メディアミックス戦略のポイント

テレビ広告とインターネット広告は、対立ではなく「相互補完の関係」として設計するのが理想です。TVerやYouTube広告など、テレビ的な動画体験を提供するデジタル媒体を組み合わせることで、リーチの広さと精度の高さを両立できます。

まずはネット広告でメッセージの反応をテストし、成果が見えた段階でテレビ広告へ拡張するのが現実的です。ネット広告はA/Bテストにより短期間で訴求軸を検証でき、特に中小企業にとって効果的です。

一方、テレビ広告は反復露出による記憶定着(ザイアンス効果)でブランド認知を一気に高められます。インターネット広告はターゲティング精度に優れるものの、露出量には限界があるため、短期間で広く訴求したい場合はテレビの方が有効です。

そのため、「初期:ネットで検証」→「拡張:テレビで認知拡大」→「定着:SNSやSEOで維持」という流れを描くことが理想です。

単に広告併用するのではなく、消費者心理の変化に沿った接点設計こそが、限られた予算でも成果を最大化するポイントになります。

広告の注意点

広告に頼りすぎてしまうパターンはよくある失敗です。
広告だけに頼っていると、広告キャンペーン終了と同時に顧客流入が止まってしまい、常に広告を回していないといけない状態になってしまいます。

また、テレビ広告は一定の知名度や信頼がないと逆効果になる場合もあるでしょう。

広告で獲得した認知を「定着」させるには、PR・SNS・SEOといったオウンドメディア運用が不可欠です。

広告代理店に運用を委託するのも有効ですが、PR会社であれば、ペイドメディアだけでなくEarned(メディア露出)やShared(SNS拡散)も組み合わせ、ブランドの総合価値を高められます。

テレビ広告とネット広告の成功事例

ここでは、テレビ広告とネット広告を組み合わせて成功した企業の事例を紹介します。

①サントリー「角ハイボール」

テレビ広告とインターネット広告 事例 角ハイボール


昭和30年代に人気だったウイスキーを、再び若い世代へ浸透させたサントリーの「角ハイボール」は、テレビとデジタルを組み合わせた成功事例です。

2008年から飲食店に「ジョッキで飲むハイボール」を提案し、2009年には女優・小雪さんを起用した「ウイスキーはお好きでしょ」でお馴染みのTVCMを放映。YouTubeでは「小雪のハイボールの作り方動画」を公開し、SNSを通じて話題が拡散しました。

テレビによる信頼性とデジタル・店舗体験による拡散を連動させることで、ウイスキー市場全体を再活性化させた象徴的なプロモーションです。

②ドモホルンリンクル

テレビ広告とインターネット広告 事例 ドモホルンリンクル


「ドモホルンリンクル」は、テレビCMで無料お試しセットの申し込みを促す導線を設け、そこで商品体験と商品理解を深めるカタログ送付を併用することで、「体験を通じたブランド接点の構築」を実現しました。

テレビで広く認知を獲得した後、Webサイトや申込フォームでお試しセットへの誘導を行い、そこから実際の購入・継続利用へとつなぐ流れを明確に設計しています。このように、認知形成から購買までをマーケティングの視点でカスタマージャーニーに合わせた、横断的なメディア活用戦略が不可欠です。

よくある質問(FAQ)

最後に、シェイプウィンが広告・PR支援を行うなかで、企業担当者から最初によく寄せられる質問をまとめました。

テレビCMとネットCMの違いは?

テレビCMは放送枠を買い、放送局を通して一斉配信する仕組みです。ネットCMはYouTubeやTVerなどで配信し、年齢や興味でターゲティング可能です。

ネット広告が「気持ち悪い」と言われるのはなぜ?

行動履歴を基に配信されるため、ユーザーが「監視されている」と感じやすい点が原因です。頻度制御やクリエイティブ最適化が重要です。

広告効果が出ない場合の改善策は?

クリエイティブのA/Bテスト、配信ターゲットの再設定、コンバージョン経路の分析が有効です。

テレビ広告の費用感は?

ローカルCMは100〜300万円、全国ネットは数千万円規模が一般的です。

まとめ:自社に合う広告戦略を設計するために

PR会社

多くの企業にとって、テレビ広告はハードルの高い投資かもしれません。
一方で、インターネット広告は少額から始められるとはいえ、運用ノウハウや継続分析が必要で、決して簡単ではありません。

つまり、「どちらが良いか」ではなく「限られた予算でどう組み合わせるか」が鍵となります。
テレビCMをTVerやYouTube広告で代替する、SNS広告でエリアターゲティングを行うなど、工夫次第でリーチの質を高めることもできます。

しかし、実際に広告・SNS・PRを包括的に運用するのは容易ではありません。限られたリソースの中で成果を最大化するには、統合的なマーケティング設計が欠かせません。

シェイプウィンでは、PR×デジタルの知見を活かし、戦略から実行まで一貫して支援しています。まずはお気軽にご相談ください。

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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。