テレビパブリシティとは?信頼と拡散を両立するPR手法を徹底解説

テレビ パブリシティ

SNSやネット広告で話題をつくることは容易になりましたが、「信頼」を得ることは難しくなっています。どんなに良いサービスでも、ユーザーに「信用できる情報」として届かなければ認知は広がりません。

そんな中で改めて注目されているのが、テレビパブリシティです。番組での紹介は、取材・報道という第三者の視点を通すことで高い信頼を獲得でき、放映直後には検索・問い合わせが急増するなど即効性もあります。

本記事では、テレビパブリシティの仕組みや効果、成功のポイント、導入プロセスまでを、PRエージェンシーの視点からわかりやすく解説します。

テレビパブリシティとは何か?簡単に表で解説!

「テレビパブリシティ」とは、企業や商品・サービスがニュース番組や情報番組などで「取材される」形で紹介される、広告費を支払わないPR手法です。

広告(ペイドメディア)と異なり、報道・取材という第三者視点で発信されるため、高い信頼性と拡散力を持ちます。
一方で、メディア側の判断に委ねられるため、掲載可否や内容を完全にコントロールすることはできません。

手法特徴費用コントロール容易性信頼性
パブリシティ取材・ニュース報道による露出なし低い高い
ペイドパブリシティ有料タイアップ(インフォマーシャル含む)あり中程度中〜高
タイアップ広告明確な広告枠として放映高額高い中程度

ちなみに、パブリシティは「Publicity」という英単語に由来しますが、日本で使われる意味はやや独自的です(いわゆる和製英語)。

本来の英語では「注目・話題化」全般を指すのに対し、日本では特に「報道・取材による露出」を意味する言葉として定着しています。

参照元:笑える国語辞典
https://www.waraerujd.com/%E3%83%91%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3

パブリシティの種類

パブリシティの手法は、テレビ以外にもさまざまな媒体で活用されています。

テレビ(ニュース・情報番組・バラエティ特集)
・ラジオ(番組コーナー・インタビュー枠)
新聞(記事・取材コラム)
・雑誌(特集・ランキング企画)
・ウェブメディア(ニュースサイト・業界特化型ポータル)

中でもテレビパブリシティは、放映直後の検索流入・問い合わせ増加など瞬発的な反応が得られる点が特徴です。
一方で、企画提案・撮影・放映までのプロセスが複雑なため、準備に時間がかかり、PRの専門知識も求められます。

なぜ今、テレビパブリシティが注目されるのか?

デジタル広告やSNSが発達した現在でも、テレビの影響力は根強く残っています。

総務省の調査によると、「最も信頼できる情報源」は依然として新聞が1位、テレビが2位。ネット情報が氾濫する中で、編集・取材を経た情報の信頼性が再評価されているのです。

また、テレビは放映の「同時性」が特徴です。SNSでの拡散は時間差がありますが、テレビは全国で一斉に放送されるため、瞬間的に話題化する力が圧倒的です。

さらに、テレビでの露出はBtoCだけでなく、卸業者・販売代理店・自治体関係者など、中間層への信頼構築にもつながります。

特に「テレビで取り上げられた企業=信頼できる」という印象は依然として強く、営業面や採用活動にも好影響をもたらします。

テレビパブリシティ活動の例3選

テレビパブリシティ活動の例3選_インフォグラフィック

テレビでの露出を実現するには、番組のタイプや目的に合わせたアプローチをすることが重要です。ここでは、代表的な3つのテレビパブリシティ手法を紹介します。

①番組企画提案・番組ネタ提供型

最も代表的なのが、番組制作担当者への企画提案です。

報道番組・情報番組では、常に「話題のネタ」や「社会性のある企画」が求められています。
企業側がプレスリリースや企画書を通じてストーリー性のある提案を行い、「ニュースとして取り上げる価値」を提示することで採用されるケースが多いです。

たとえば、新サービスや地域創生の取り組みなど、「社会課題の解決」や「新しい価値創出」を切り口にするとテレビ局の関心を得やすくなります。

ニュースが多い時期は放映タイミングがずれたり流れたりすることもあるため、継続的な情報提供が重要です。

②ロケ取材・密着企画型

「現場」や「人」を中心にした密着ドキュメンタリー型のパブリシティも注目されています。

代表例は『ガイアの夜明け』や『カネオくん』などの特集番組です。
長期にわたる取材を通じ、企業の理念・開発過程・代表者の想いなどを深く掘り下げる手法で、ブランドストーリーの構築に非常に効果的です。

一方で、撮影期間が数ヶ月〜1年に及ぶこともあり、社内体制の整備(スケジュール管理・法務確認など)が不可欠となります。

③インフォマーシャル型

インフォマーシャルは、有料での放映を前提とする「ペイドパブリシティ」の一種です。
テレビ番組風の構成で、商品やサービスを自然に紹介できるのが特徴です。

純粋な広告よりも信頼感を持って受け取られやすい反面、放映枠購入や制作費用が発生します。

企業の目的や予算に応じて、「取材型」か「広告型」かのバランスを設計することがポイントです。

テレビパブリシティの導入プロセス

テレビパブリシティの導入プロセス_インフォグラフィック

テレビでの露出を実現するには、戦略的な準備が欠かせません。
以下に、一般的な導入ステップと各段階での注意点をまとめていきます。

①企画設計

最初のステップは、「何を・どのように・誰に伝えるか」を明確にすることです。
ニュース性・社会性・ストーリー性のいずれかを持たないと、番組側の興味を引くことはできません。

・テレビ初出のテーマであること
・社会課題やトレンドとの関連があること
・視聴者(特に女性30〜50代)に共感されやすい内容であること

これらを整理し、番組視点で魅力的な提案を作ることが成功の鍵です。

②番組担当アプローチの選定

テレビ局内では、複数の担当者が番組制作に関わっています。
誰に・どのようにアプローチするかで結果が変わると言っても過言ではありません。

プロデューサー:番組制作の責任者であり、企画・構成・予算・キャスティング・外注・労務などの総合管理を担うため、ここへの直接アプローチが効果的。

デスク:コーナーごとの編成を管理。

ディレクター:実務レベルで番組構成を担い、最も接点が多い。

AD(アシスタントディレクター):ディレクターの補佐としての役割を持ち、番組制作にかかわる様々な業務を担う。比較的アポが取りやすく、関係者に資料を届ける入口になりやすい。

リサーチャー:番組ネタ探しを専門に行う外部協力会社。

このように複数のレイヤーを意識し、適切な人に適切な資料を届けることが大切です。

③企画書・プレスリリース等の配信

番組担当者は、1日に数百件もの情報を受け取ります。
その中で採用されるためには、「視聴者の関心を引くタイトル」と「短時間で理解できる構成」が必須です。

プレスリリース配信時には、

・タイトルで「社会性・意外性・具体性」を表現する
・リード文で結論を簡潔に書く
・ビジュアル資料を添付する
など、編集部の目線に立った設計が重要です。

より詳しくデザインなどを知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
【画像付き】記者が好むプレスリリースのデザインとは?10個のポイントと嫌われるデザインも解説!

④取材実施

取材が決定したら、スケジュール調整・出演者手配・現場整備を徹底します。

放送内容は事前に完全に把握できないため、思いがけない質問や撮影構成の変更にも柔軟に対応できる準備が必要です。

現場では「一方的な宣伝ではなく、社会的意義を持つ発信」であることを意識しましょう。

⑤放送後フォロー

放映後は、SNS・ウェブ・営業活動に積極的に活用します。

テレビ露出は短期的なピークを生みますが、それを継続的な成果につなげるためには、自社サイト・SNS・プレスリリースでの再発信が効果的です。

ニュースリリースとは?メディアに取り上げられる3つのポイントと書き方

二次活用の手法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
メディア掲載とは?4つの手法と掲載実績の活用法を解説

また、関係構築したメディアへの定期的なアプローチも忘れずに行うようにしましょう。

テレビパブリシティ活用の4つのポイント

テレビパブリシティ活用の4つのポイント

では次に、テレビパブリシティを活用するポイントを4つ解説します。

①記者がバリューを感じる企画設計

成功する企画には、以下の4要素が共通しています。

・ニュース性:今まさに社会で注目されているテーマか
・人の物語:人の想い・挑戦が背景にあるか
・専門性:信頼できる根拠(データ・専門家コメント)があるか
・公的評価:第三者機関や自治体の認定など

また、他メディアで掲載されており注目されているネタでも、「テレビ初」であれば採用率が高まります。

ニュース性など、記者がバリューを感じるためのニュースバリューはこちら
メディアに刺さるニュースバリュー:ニュースバリューの高め方を解説

②メディアとの関係構築・リレーション戦略

テレビ局との関係構築は、単発の売り込みではなく継続的な信頼関係が鍵です。
ディレクターやリサーチャーと丁寧なコミュニケーションを重ねることで、次の企画でも声をかけてもらえる関係が生まれます。

一方的なPRではなく、「視聴者に有益な情報を提供するパートナー」としての姿勢が重要です。

メディアとの関係構築方法についてはこちらの記事を参照ください。
メディアリレーションズとは?広報担当者のための用語解説

③事前の社内調整

取材対応には、ガバナンスやコンプライアンスの確認も欠かせません。

・社外秘情報・顧客情報の扱い
・法務チェック
・社内承認フローの整備

これらを怠ると、放送直前で出演中止になるケースもあります。
現場が混乱しないよう、事前の体制づくりを行いましょう。

④テレビのメイン視聴層をターゲットにする

テレビの主な視聴層はF2・F3層(30〜50代女性)です。
ビジネスやテクノロジー分野でも、この層の興味を引く切り口を設計することが欠かせません。

「家庭」「教育」「健康」「地域貢献」などのテーマを織り込むと、よりテレビ局の編成方針にフィットしやすくなります。

テレビパブリシティのデメリット

テレビパブリシティのデメリット

テレビパブリシティには多くのメリットがある一方で、デメリットもしっかり把握しておくことが重要です。

意図しない編集・露出になることもある

テレビは報道性が高い分、編集の自由度は番組側にあります。

事前に伝えた意図が必ずしもそのまま放送されるわけではなく、社会的ニュースが優先される場合は放映自体が延期・中止になることもあります。

せっかく取材を受けても「オンエアされなかった」というケースは珍しくありません。

効果測定が難しい

テレビのPR効果は「視聴率」「検索トラフィック」「問い合わせ数」などで測定しますが、デジタル広告のように明確なROI算出は困難です。

また、番組の内容や放送時間帯によって結果が左右されるため、再現性の低さが課題です。

そのため、テレビパブリシティは「単発露出で終わらせず、他チャネルと組み合わせて成果を最大化する」戦略が求められます。

テレビ放映後は他媒体の掲載が取れなくなる

テレビ出演は、他メディア掲載の「集大成」として設計するのが理想です。

新聞・ウェブ→雑誌→テレビという順で露出を積み重ねると、番組側も「既に話題になっているテーマ」として興味を持ちやすくなります。

その他、テレビPRの特徴はこちらの記事で解説しています。
テレビの特徴とPR活用術!テレビ掲載のメリットは?

テレビパブリシティ事例紹介

ここでは、テレビパブリシティの成功事例を3つ紹介します。

キー局全局を含む40社以上のメディア誘致:一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会

テレビパブリシティ事例 一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会

日本初のサブスクリプション業界団体である「一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会」は、サブスクリプション型ビジネスの認知拡大を目的に、2019年に活動を開始しました。

設立時には『記者発表会』を実施し、キー局全局を含む40社以上のメディアが出席。大手ビジネスメディアや情報番組を中心に多くの露出を獲得しました。

結果として、メディア露出が新規会員獲得にもつながり、団体としての発信力と信頼性を一気に高める成果を収めています。

700以上のメディア誘致:一般社団法人日本能率協会 産業振興センター

テレビパブリシティ事例 一般社団法人日本能率協会 産業振興センター

日本能率協会が主催する国際展示会「FOODEX JAPAN」では、過去最大となる700以上のメディア誘致を実現しました。

女性誌などこれまで来場の少なかった媒体からも注目を集め、展示会全体の話題性が飛躍的に拡大。展示会のPR戦略として「出展者と運営双方のメリット」を意識し、ニュース性と業界トレンドを組み合わせた広報設計が功を奏しました。

結果として、国内外のバイヤーへの認知拡大や取引機会の創出にもつながりました。

ワールドビジネスサテライト特集や、夕刊一面インタビュー掲載:スマレジ

テレビパブリシティ事例 タブレットPOS『スマレジ』のマーケ・広報チームを3年間で構築

株式会社スマレジが提供するタブレットPOS『スマレジ』は、わずか3年で導入店舗数を400店から25,000店へ拡大しました。

広報・マーケティング部門をゼロから構築し、テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」での特集や、夕刊フジ一面でのインタビュー掲載を実現。メディアインサイトを的確に捉え、「攻めの広報」を主観ではなく戦略的に展開した結果、ブランドの社会的信頼と知名度を大きく高めました。

よくある質問(FAQ)

最後に、シェイプウィンが広告・PR支援を行う中で、企業担当者から最初によく寄せられる質問をまとめました。

なぜテレビを見る人が減ったのか?

スマートフォンや動画配信サービスの普及により、視聴者が「好きな時間に好きなコンテンツを見る」スタイルへ移行したためです。特に若年層ではSNSやYouTubeへの時間が増え、テレビ離れが進んでいます。

PRとパブリシティの違いは?

PRは企業や社会との関係構築を目的とした広報活動全般を指します。
その中でパブリシティは、メディアに取材・報道される形で露出する活動を意味します。

パブリシティ活動の具体例は?

テレビの情報番組での特集や、新聞・雑誌での取材記事、Webニュースでの掲載などが代表的です。広告費を払わず、報道として扱われる点が特徴です。

パブリシティのデメリット・リスクは?

報道の自由度が高いため、企業側の意図と異なる内容で放送される場合があります。また、社会的ニュースが優先され、放映が中止・延期になることもあります。

ステマ・倫理リスクとは?

ペイドパブリシティやタイアップで広告表記を怠ると、ステルスマーケティングと見なされるリスクがあります。
景品表示法の改正により、近年は「広告であることの明示」がより厳しく求められています。

まとめ:テレビパブリシティを成功させるために

PR会社

テレビパブリシティは、デジタル全盛期の今だからこそ「信頼」を生み出す重要な一手です。

SNSやWeb広告のように即効性がある一方で情報が氾濫する時代において、テレビでの露出は「第三者が認めた証」としてブランドの信用力を大きく高めます。

一方で、番組構成・社内調整・関係構築など多くの工程を要し、自社だけで完結させるのは現実的ではありません。企画書の作成から番組担当者へのアプローチ、放映後のフォローまでを一貫して設計するには、専門的なノウハウと継続的な関係構築が欠かせません。

シェイプウィンでは、PR・SNS・SEOを包括的に設計し、テレビ露出までを戦略的に支援しています。「どの段階から始めればいいかわからない」という方も、まずは企画の壁打ちからお気軽にご相談ください。

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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。