デジタルメディアが主流となった今も、新聞は依然として高い信頼性と影響力を誇っています。総務省の調査では、新聞を「信頼できる」と答える人は6割を超え、テレビやWebを上回ります。(※)
企業広報において、この「第三者評価」の価値は計り知れません。しかし、新聞掲載は容易ではなく、媒体特性や記者の関心領域、紙面の制約などを理解した上での戦略が必要です。
本記事では、新聞の特徴やメリット・デメリット、効果的な活用シーン、そして掲載を実現するためのPRのコツまでを体系的に解説します。
(※)総務省「令和3年版 情報通信白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd125220.html
メディアとしての新聞の特徴

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd125220.html
新聞は、他のメディアにはない信頼性や情報網羅性を持つ一方で、掲載にあたっては一定の条件や特性の理解が必要です。
まずは、新聞ならではの6つの特性と、それが広報活動にどのような意味を持つかを整理します。
①国民から高い信頼性を得ている
総務省の調査(※)によると、新聞は、テレビやラジオ、Webメディアを抑えて、61.2%の人が「信頼できる」と回答しています。これは、新聞が長年培ってきた編集体制、取材網、事実確認の徹底が背景にあります。
(引用元:総務省「令和3年版 情報通信白書」)
広報・PR担当者にとって、この信頼性は非常に重要です。
記事化されることで、単なる情報発信ではなく「第三者による評価」が付加され、企業やサービスへの信用が高まります。
特に、金融や医療、行政関連など、正確性が求められる分野では新聞掲載の効果は絶大です。
②ファクトが重要視される
新聞記事は紙面スペースが限られているため、結論から入り、事実のみを簡潔に伝える構成が基本です。
憶測や主観的な表現は避けられ、ファクトに基づいた情報が掲載されます。
そのため、取材時には、数値データや実績、公式発表など裏付けとなる資料の提供が不可欠です。
広報担当者は「事実をいかに簡潔に伝えるか」を意識し、見出しや本文で編集部が使いやすい形にまとめることが求められます。
③情報の詳しさと解説性が高い
新聞は購読料(サブスクリプション)を収入源とするため、クリック数に依存せず、多様なテーマを扱うことができます。これにより、社会的意義のある話題や専門性の高い内容も取り上げられやすくなります。
テレビやWebメディアは視聴数・PVを意識して人気テーマに集中しがちですが、新聞は幅広い読者層に対応するため、網羅的な報道姿勢を保っています。
結果として、ニッチな業界やテーマでも取り上げられる可能性が高く、BtoB企業の広報にも適しています。
④専門誌が多く存在する
全国紙や地方紙に加え、産業新聞や業界紙など、特定分野に特化した新聞も多数存在します。これらは業界関係者や企業内での回覧を通じて、高いリーチ力を持ちます。
たとえば建設業界、流通業界、医療業界などでは、専門紙に掲載されることが業界内での知名度向上や信頼獲得につながります。広報戦略では、自社業界に関連する専門紙のリストアップと記者との関係構築が重要です。
⑤情報の公平性・中立性が高い
新聞社は報道機関として、公平性と中立性を掲げています。
論調や社説に差はあるものの、事実報道部分では偏りを避け、読者が判断できる材料を提供することが基本姿勢です。
この特性は、企業広報にとって「恣意的な宣伝ではない」という印象を与えるため、記事化された情報の説得力を高めます。
⑥「戸別配達制度」がある
新聞は日々の宅配制度によって、読者の生活動線に直接届きます。このように、継続的に新聞を目にする機会があることを前提に、続報やシリーズ企画では読者が前提知識を持った状態で記事を読めるため、深い情報提供が可能です。
ただし、この前提を理解せず単発で記事を見た読者には内容が伝わりにくい場合もあるため、プレスリリースや自社サイトで補足情報を発信する工夫が必要です。
新聞と他メディアとの違い
新聞と他メディアを比較すると、信頼性や詳報性では新聞が優れていますが、速報性や若年層へのリーチではWebやSNSが有利です。
各メディアの特性を理解し、目的に応じた使い分けを行うことが、広報活動の成果を最大化する鍵となります。
特徴 | 新聞 | テレビ | Webメディア |
---|---|---|---|
信頼性 | 高い | 高い(速報性重視) | 玉石混交 |
情報量 | 詳細 | 時間制限あり | 制限なし |
即時性 | 朝刊・夕刊単位 | 数分〜数時間 | 即時更新 |
ターゲット | 幅広い年齢層 | 大衆 | SNS利用層中心 |
ニッチ分野対応 | 得意 | 限定的 | 得意 |
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新聞掲載のメリットとデメリット
新聞掲載には大きなメリットがある一方で、特有の制約もあります。これらを理解したうえで、広報戦略を立てることが成功の鍵となります。
新聞掲載のメリット

・企業やサービスの信頼性向上:第三者視点が入る新聞記事は、営業やIR活動でも客観的な資料として活用することができます。
・詳細な情報提供:紙面での解説や統計データの掲載により、複雑な内容も正確に伝わります。
・影響力の大きさ:業界紙から全国紙まで幅広い読者にリーチでき、他メディアへの波及効果も期待できます。
新聞掲載のデメリット

・即時性の欠如:朝刊・夕刊の発行サイクルに依存するため、速報性はWebに劣ります。
・若年層へのリーチが困難:新聞購読率の低下により、10〜30代への接触は限定的です。
・紙面の制約:取材時間が長くても、掲載は数行のケースも少なくありません。結論から入り、事実を淡々と伝える書き方を採用するため、感情的表現も排除されます。
広報担当者は、これらのデメリットを補うためにSNSやWebメディアと組み合わせた多層的な発信を行うべきです。
新聞の活用が効果的なケースは?
新聞は情報発信の上流に位置し、高い信頼性と影響力を持つメディアです。掲載実績はそのまま情報の信用度を高め、テレビやWebニュースなど他メディアでの取り上げにつながる呼び水となります。
さらに、紙面掲載がWeb版の記事として配信されれば、検索経由やSNS拡散による二次的な露出効果も期待できます。
こうした特性から、新聞は情報の単なる露出先ではなく、後続のメディア展開を見据えた起点として活用する価値があります。
新聞に取り上げられるには?PRの視点から解説
新聞掲載を実現するためには、ニュースバリューのあるテーマ設定と記者との信頼関係構築が不可欠です。
ここでは、新聞に取り上げられるために実施するべき4つの方法を解説します。
①プレスリリースの配信

新聞記者が求めるのは「公共性」「新規性」「社会性」を備えた情報です。こうした情報を効率的かつ確実に届ける方法がプレスリリースです。
限られた時間で多くのネタに触れる記者にとって、プレスリリースはニュースの概要を瞬時に把握できる重要な資料となります。
単なる企業発表ではなく、社会的背景や課題解決の文脈を添えることで記事化の確度が上がります。
見出しは数字や固有名詞を盛り込み、端的かつ印象的にしましょう。配信は関連ニュースや記念日に合わせると効果的です。
関連記事:【無料】代表的なプレスリリースのテンプレート10選!今すぐダウンロードできる雛形と解説付き
②記者クラブへの投げ込み

記者クラブとは複数メディアが情報収集する拠点で、投げ込んだ資料は複数社に一斉配布されます。
持ち込みの際はA4用紙2〜3枚に要点をまとめ、連絡先や背景資料を添付します。事前にルールを確認し、現地で記者に直接説明できると効果的です。
一次報道の起点になりやすく、他メディアへの露出にもつながります。
関連記事:【電話番号一覧】記者クラブとは?メリット・デメリットや投げ込み方法も解説!
③メディアリレーションズ

新聞社は経済部・社会部・文化部などに分かれ、さらに企業や業界ごとに担当記者がいます。PR業務で関わるのは経済部や社会部、エンタメ部が中心で、IR案件では証券部とやり取りするケースもあります。
自社の情報に最適な部署・記者を特定し、関心を持ちやすい切り口で提供することが重要です。定期的な情報共有や背景説明を行うことで信頼関係が築かれ、掲載の可能性が高まります。
関連記事:メディアリレーションズとは?広報担当者のための用語解説
④PR会社を使う

社内のリソースやネットワークだけでは新聞掲載を実現するのが難しい場合、PR会社の活用は有効な選択肢です。
PR会社は媒体ごとの特性や記者の関心ポイントに精通しており、ニュースバリューの評価からプレスリリース作成、記者へのアプローチまでを一貫してサポートします。
さらに、過去の取材実績や信頼関係を活かし、掲載確度を高められる点も大きな強みです。
発表後もフォローや追加提案を行うため、単発ではなく継続的な露出戦略を組み立てられます。特に重要発表や大型キャンペーン時には、戦略的投資として検討する価値があるでしょう。
シェイプウィンでは、新聞掲載を含むPR設計から、SNS・SEO・Web活用まで一括したPRサポートしています。無料相談から行っておりますので、お気軽にご相談ください。
関連記事:どのPRエージェンシーに依頼すべき?広告代理店との比較も含めて解説!
新聞掲載を実現するコツ

新聞に記事として取り上げられるためには、単に情報を発信するだけでなく、媒体の特性や記者の視点を踏まえた戦略が必要です。
ここでは、そのための具体的なポイントを紹介します。
紙面とWeb媒体のどちらに掲載されてもいいよう準備する
新聞社は紙面だけでなく、自社のWeb媒体やニュースサイトにも記事を掲載します。
掲載媒体によって文章量や見出しの作り方が異なるため、両方に対応できる素材準備が必要です。
写真は解像度の高いものとWeb向け軽量データの両方を用意し、本文は短縮版と詳細版を作成しておくとスムーズです。
また、Web掲載ではSNSでの拡散も狙えるため、検索キーワードやタグを意識した構成にしておくと効果的です。
部署の特徴を理解し担当者と繋がる
新聞社は経済部、社会部、文化部など複数の部署で構成され、部署ごとにテーマや記事の切り口が異なります。さらに部署内でも企業や業界ごとに担当記者が決まっている場合が多く、誰に情報を届けるかで掲載の可能性が変わります。
広報担当者は自社のニュースに最も関連する部署と担当者を把握し、日頃から情報提供や背景説明を行うことで信頼関係を構築しましょう。顔を覚えてもらうことも、取材や記事化の近道になります。
まとめ:新聞の持つ高い信頼性と影響力を活用する

新聞は今なお高い信頼性と影響力を持ち、企業広報において大きな武器となります。事実に基づいた報道姿勢や豊富な取材網は、他メディアにはない説得力を生みます。その分、掲載を実現するには、媒体特性や記者の関心領域を理解し、タイミングを見極めた情報発信が不可欠です。
一方で、新聞だけに注力しても、若年層やデジタルメディア利用者へのリーチは限られます。現代の広報では、新聞を軸に据えつつSNSやWebメディア、SEOと連動させた戦略が求められます。
こうしたマルチチャネル設計は、自社だけで完結させるには負担が大きく、専門的な知見も必要です。
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