企業広報として、「タイアップ」という言葉を耳にする機会は少なくありません。
しかし、「純広告やコラボと何が違うのか」「費用対効果はどう考えればいいのか」と迷う方も多いでしょう。
本記事では、タイアップの意味、広告との違い、メリット・デメリット、そして導入のステップまでを整理して解説します。基礎から応用までを押さえ、実務に役立ててください。
タイアップとは?

タイアップとは、企業とメディア、あるいは企業同士が連携し、双方の強みを活かして商品やサービスを訴求する取り組みです。
単なる広告出稿とは異なり、メディア側の編集力やブランドの世界観を取り入れることで、読者に自然に受け入れられる形で情報を伝えられるのが特徴です。
以下では、一般的な意味から具体的な事例まで整理していきます。
「タイアップ」の一般的な使われ方

タイアップは「協力」「連携」といった意味で広く用いられます。
日常的な会話では「このアニメは企業とのタイアップ企画でグッズを販売している」といった形で使われ、ビジネス文脈では「メディアタイアップ広告」や「企業間タイアップキャンペーン」を指すことが多いです。
つまり、単独では成し得ない相乗効果を狙うための施策として位置づけられています。
PR担当者にとっては「広告手法」ではなく、戦略的パートナーシップの一種と捉えることが重要です。
以下に、よく使われる4つの意味の「タイアップ」を整理します。
①タイアップ商品
タイアップ商品とは、企業同士や企業とコンテンツホルダー(アニメ・映画・キャラクターなど)が協力して開発するコラボレーション商品を指します。
飲料メーカーと人気アニメの限定パッケージなどが典型例です。消費者に特別感や話題性を与え、購買意欲を高めやすい点が魅力です。
一方で、ブランド同士の世界観がかけ離れていると違和感を与える恐れがあります。そのため、価値観の整合性を十分に確認することが成功の鍵となります。
②タイアップキャンペーン
タイアップキャンペーンとは、企業とメディア、または企業同士が協力して実施する販促企画のことを指します。単なる広告出稿ではなく、キャンペーンの形を取ることで消費者を巻き込みながらブランドを訴求できる点が特徴です。
具体的には、SNSでのハッシュタグ投稿企画や、購入者限定で特典を提供する施策などがあります。これらは参加型であるため消費者の関心を集めやすく、自然な拡散効果も期待できます。
また、単発の広告と違い「キャンペーン全体のストーリー」が伴うため、消費者がブランド体験を共有しやすくなり、結果として認知拡大と販売促進の両立につながります。
③タイアップ広告
タイアップ広告とは、メディアと企業が連携して作成する記事広告を指します。
純広告と異なり、媒体の編集視点を活かした「記事形式」で提供されるため、読者に自然な文脈で商品やサービスを理解してもらえるのが強みです。
媒体のブランドや編集力を借りることで信頼性を高められる一方、制作には時間とコストがかかる点を理解しておく必要があります。
④企業タイアップ(コラボ)
企業同士のタイアップは、ブランド同士の価値を掛け合わせることで、新しい市場や顧客層にリーチできる手法です。
たとえば、ファッションブランドと飲食チェーンが限定グッズを制作するケースでは、双方のファン層を相互に取り込むことが可能です。
PR担当者にとっては、単なる広告出稿以上に「新しい顧客体験を生むプロジェクト」として設計する姿勢が求められます。
タイアップ広告と純広告・オーガニック記事の違い
広告手法を理解するうえで、タイアップ広告・純広告・オーガニック記事の違いを押さえておくことは不可欠です。
それぞれ目的や効果が異なるため、PR戦略全体のなかでどの位置づけにするかを明確にしましょう。
| 種類 | 目的 | 編集権限 | メリット | デメリット | 
|---|---|---|---|---|
| 純広告 | ブランド認知・露出拡大 | 企業側 | 広範な認知拡大が可能 | 読者の関心を得にくい | 
| タイアップ広告 | ストーリーテリング・理解促進 | 媒体と共同 | 信頼性・説得力が高い | 制作コスト・工数が大きい | 
| オーガニック記事 | 第三者評価・信頼獲得 | メディア側 | 信頼性が高く費用不要 | 記事化のコントロールが難しい | 
純広告とは

純広告とは、媒体の広告枠を買い切って掲載する形式です。テレビCMや新聞広告、Webのバナー広告などが代表例です。
メリットはブランド認知を短期間で広く拡散できる点です。
しかし、読者が「情報を得よう」として見るものではないため、内容に目を留めてもらうためにはキャッチーなデザインやコピーが不可欠です。
費用を投じて露出を得る一方、メッセージが届かなければ成果は限定的になりがちです。
タイアップ広告とは

タイアップ広告とは、媒体の編集力や読者との信頼関係を借りながら、ストーリー仕立てでブランドや商品を紹介する広告です。
企業の一方的なメッセージではなく、読者が記事を読む自然な流れの中でブランド理解を深めてもらえる点が最大の特徴です。
媒体の特性を活かせるため説得力は高まりますが、制作には時間とコストがかかり、発注側が言いたいことばかりを押し通すと読者に響かなくなるリスクもあります。
オーガニック記事とは

オーガニック記事とは、広告費をかけずにメディアが自主的に取り上げた記事を指します。
第三者による評価であるため信頼性が高く、消費者に強い影響を与える可能性があります。
しかし、企業が掲載内容をコントロールできないため、必ずしも自社に有利な内容になるとは限りません。さらに、記者や編集者にとってニュースバリューがある情報でなければ取り上げてもらえない点も課題です。
ニュースバリューの高め方については、こちらの記事で解説しています。
メディアに刺さるニュースバリュー:ニュースバリューの高め方を解説
タイアップ広告の掲載を狙うには

タイアップ広告は、企業とメディアの協業で実現するため、掲載先や企画内容によって効果が大きく異なります。
ここでは、狙ったメディアでタイアップ広告の掲載を実現する2つの戦略を紹介します。
①メディアの特集企画に合わせる

メディアが用意する特集企画やテーマ別コンテンツに合わせて掲載する方法です。
たとえば東洋経済オンラインなどのビジネスメディアでは「業界特集」や「季節企画」といった枠が設けられています。
既に読者の関心が高いテーマに沿った記事となるため、自然に読んでもらえる確率が高まります。さらに、単独で企画を立てるよりも費用が抑えられることが多い点も魅力です。
②イベントのタイミングに合わせる

展示会や周年イベント、季節の催事などと組み合わせて展開するタイアップ広告も効果的です。
イベント自体がニュース性や話題性を持つため、読者の興味を引きやすいのが特徴です。
また、イベント会場での体験と記事での紹介が連動することで、ブランドのリアルな印象を強化できます。メディアの広告ページや媒体資料を調べることで、こうした機会を計画的に活用できます。
イベントを自ら開催する際のポイントは、こちらの記事で紹介しています。
広報イベントをどうPRに繋げる?失敗しない開催方法
タイアップ導入のステップ

実際にタイアップを導入する際には、以下のプロセスを踏むことが重要です。計画的に進めることで、成果を最大化できます。
①ターゲットと媒体選定
まず、自社の商品やサービスが届けたいターゲットを明確にし、そのターゲットに強いメディアを選びます。
媒体の読者属性や過去のタイアップ事例を調べることで、適切なパートナーを見つけやすくなります。無理に大手媒体に出稿するよりも、ターゲットに合致した業界専門メディアの方が効果的なケースもあります。
②企画提案と媒体交渉
次に、企業側からの企画提案を用意し、媒体と交渉します。
この段階では「読者にとっての価値」を意識した企画を提示することが重要です。
媒体の編集方針に合った提案であれば、協力を得やすく、より説得力のある記事に仕上げられます。
③効果測定
最後に、出稿後の効果測定を設計します。PV数や滞在時間といったWeb指標に加え、ブランドリフト調査やSNSでの反応も確認すると、定量・定性の両面から成果を把握できます。
次回以降の施策改善につなげるために、効果測定の仕組みを最初から組み込むことが肝心です。
関連記事:広報活動の効果測定はどうやる?見るべきKPIや方法を解説
まとめ:タイアップは認知拡大と共感を同時に叶える手法

タイアップとは、単なる広告の枠を超えて「媒体や他社と協働しながらストーリーでブランドを伝える」手法です。
純広告のように即効性のある認知拡大を狙う施策や、オーガニック記事のように第三者の評価を得る方法と比べても、その位置づけや目的は異なります。信頼性を高めながら読者に自然に受け入れてもらえる点が最大の強みです。
しかし同時に、制作には時間やコストがかかり、媒体ごとの企画やイベントといった掲載先の特性を理解しないまま取り組むと、成果につながりにくいのも現実です。
企業の限られたリソースで成果を最大化するには、SNSやSEO、マーケティングと組み合わせた総合的な戦略が欠かせません。
シェイプウィンは、タイアップを含むPR全体を視野に入れた支援を提供していますので、まずはお気軽にご相談ください。

 
