企画が通らない原因は、アイデアの良し悪し以前に、「企画の考え方」が整理されていないことが少なくありません。たとえば、「信頼獲得」のために始めた企画にもかかわらず「リード獲得数」で成果を判断してしまうなど、目的と評価軸がブレていたり、企画全体の目的と個別施策ごとの目的が混同していませんか?
本記事では、クライアントやメディア向けに、社員1人あたり100件以上の企画を提案しているプロのPRエージェンシーの視点から、「通る・刺さる・再現できる企画」を生み出すための考え方を解説します。
この記事の要約
・良い企画とは「評価基準が明確で、成果までの道筋が見える企画」である
・企画は新しさや斬新さではなく、「構造」と「考え方」で決まる
・通る企画には、事前に押さえるべき3条件と再現可能なステップがある
「良い企画」とは何か?

良い企画とは、目的が明確で、どのような成果が出るのかが分かりやすく設計されているものです。
さらに、実行手段が具体的で、「次は何をすればいいのか」が関係者全員に共有できている状態であることも重要です。
企画が評価されない原因としてよくあるのが、SNS施策を行うこと自体やイベント開催そのものがゴールになっているなど、手段と目的が入れ替わってしまっているケースです。
企画の評価基準が曖昧なまま進めても、「良い企画」の判断がつきません。企画の良し悪しを適切に判断するためにも、「何をもって成功とするのか」という基準を、あらかじめ明確にしておく必要があります。
また、そもそも企画とは誰かが判断するもので、人が判断するということはそこに「感情」が影響しています。
いわゆる「影響力のある企画」を生み出すためには、人の感情に触れ、想像を超える「ギャップ」があること、そして「自分も同じことを考えていた」と感じさせるような納得感の2つの要素を持っていることが重要です。
なんとなく考えていた期待感や方向性を、具体化して現実味があるものとして企画に落とし込むことが、いい企画を作るコツと言えるでしょう。
企画を考える前に確認必須の3つの条件

企画を考え始める前に、必ず確認しておくべき条件があります。
この前提が抜けていると、どれだけ時間をかけて企画を練っても、「結局何のための企画なのか」がわからなくなってしまいます。
順番に押さえていきましょう。
1. 誰のどんな課題を解決するのかをチェック
企画の土台は「誰のどんな課題を解決したいのか」を決めることです。
ターゲットが曖昧な企画は、課題設定も曖昧になり、最終的に誰にも刺さらない内容になってしまいます。
このステップで重要なのは、顧客ニーズと社内ニーズを切り分けて考えることです。
社内の活性化につながる企画と、顧客にとって価値のある企画が一致するとは限りません。
ターゲットの立場に立ち、「その人は何に困っているのか」「なぜ今それを必要としているのか」を深く掘り下げることが重要です。
課題設定が正しくできていれば、その後の企画設計の精度は大きく向上します。
2. 相手の期待・関心にどう応えるかをチェック
次に考えるべきことは、「相手の期待や関心にどう応えるか」です。
表層的なニーズだけを捉えてしまうと、「たしかに必要だけど、今じゃなくてもいい企画」になってしまいます。
重要なのは、ターゲットの悩みの原因や「動機」に目を向けることです。
なぜターゲットはそれに困っているのか、なぜ今そのような行動をしているのか。感情や行動の変化にフォーカスして企画を設計することで、相手の心を動かす企画になります。
3. ギャップをどう演出するかをチェック
最後に必要なのが、ギャップの設計です。
想定内の内容だけでは、人の記憶には残りません。アイデアの意外性や、「そう来たか」と思わせる瞬間があることで、印象に残る企画に引き上げられます。
ただし、ギャップを狙いすぎると、現実味のない企画や的外れの企画になってしまいます。企画のストーリーと相性の良い形で、自然なギャップを組み込むことが重要です。
刺さる企画を作る5つのステップ

企画は感覚やセンスだけで生まれるものではありません。再現性のあるステップを踏むことで、誰でも一定水準以上の企画を作ることができます。
ここでは、その5つのステップを見ていきます。
ステップ1:課題を正しく捉える
まずは表面的な課題ではなく、その奥にある「真因」を見極めることから始めます。
「売上が伸びない」「認知が低い」といった状態だけを課題と捉えてしまうと、根本的な解決にはつながりません。
課題に対して「なぜ?」を5回繰り返し問う「5Why」などを使いながら、「なぜそれが起きているのか」を深堀りすることで、本質的な課題が見えてきます。
ステップ2:目的を言語化する
次に、企画の目的を明確に言語化します。
このとき重要なのは、評価軸と成功の定義をセットで決めることです。
「何をもって成功とするのか」が明確であれば、達成するべき数値やそのためのアクションが見えやすくなり、企画の方向性がぶれにくくなります。
ステップ3:アイデアを出す
アイデア出しの段階では、質より量を重視します。
SCAMPERやマンダラート、KJ法などのフレームワークを活用し、とにかく数を出すことが重要です。
・SCAMPER:既存の企画やアイデアに対して「代替できないか」「組み合わせられないか」などの視点で問いを立て、発想を広げるフレームワーク。
・マンダラート:中心にテーマを置き、周囲に関連要素を書き出していくことで、思考を強制的に拡散させる発想法。
・KJ法:アイデアを一度バラバラに書き出し、意味の近いもの同士をまとめることで、思考の構造を可視化する手法。
この段階で完璧なアイデアを狙う必要はありません。
アイデア出しに詰まったら、こちらの記事もご参照ください。
広報のネタ切れを防ぐアイデア発想法|PRのプロが実践する工夫
ステップ4:アイデアを絞り込む
アイデア出しの段階で十分な数を出した後は、それらを冷静に整理し、企画として成立するものに絞り込んでいく工程が必要です。
ここで重要なのは、「面白いかどうか」だけで判断しないことです。
具体的には、実現性・インパクト・コストの3つの観点から評価します。
・実現性:現在の体制やリソースで実行可能か、スケジュールに無理がないかを確認します。
・インパクト:企画がどの程度の成果や影響を生み出すかを見極めます。評価軸としっかり結びついているかも確認しましょう。
・コスト:金銭的な負担だけでなく、人的リソースや運用負荷も含めて判断します。
この段階では、「やりたい企画」ではなく「やるべき企画」を選ぶ視点が求められます。
感情や勢いだけで決めてしまうと、後工程で無理が生じ、結果的に企画自体が頓挫してしまうことも少なくありません。
ステップ5:企画を構造化する
アイデアを絞り込んだら、最後に行うべきは企画の構造化です。
どれだけ良い内容であっても、頭の中にある状態では企画として評価されません。企画書の形に落とし込み、第三者が読んでも理解できる状態にすることで、初めて「通る企画」になります。
構造化のポイントは、企画の背景、目的、課題、施策内容、期待される成果、評価方法が一貫したストーリーとして整理されていることです。
特に意思決定者は、細部よりもまず「なぜこの企画をやるのか」「何がどう変わるのか」を重視します。そのため、論点がズレておらず、判断しやすい構成になっているかが重要です。
企画書は、説明資料であると同時に、意思決定を助けるためのツールです。構造化を丁寧に行うことで、企画の説得力と再現性は大きく高まります。
以下の記事では、特に、広報に関する企画全般に関して解説しています。広報PRの担当者は、ぜひこちらもご覧ください。
広報企画の立て方・企画書の作り方を1から解説!
企画力が高い人の特徴とは?

企画力が高い人には、共通した思考の特徴があります。これらはセンスではなく考え方や習慣をに身につけることで差がつく能力です。
抽象と具体を柔軟に行き来できる
企画力が高い人は、全体像を俯瞰する抽象的な視点と、施策レベルまで落とし込む具体的な視点を柔軟に行き来できます。
「なぜこの企画が必要なのか」という抽象的な問いと、「何を、いつ、どうやってやるのか」という具体的な問いの両方に答えられることが、企画の完成度を高めます。
どちらか一方に偏ると、企画は机上の空論になったり、単なる作業計画になったりしてしまいます。両者を往復できる思考力が、企画力の土台になるのです。
相手視点を常に持っている
自分のアイデアにこだわりを持つこと自体は悪いことではありませんが、企画は「相手がどう受け取るか」が最優先です。
上司、クライアント、メディア、ユーザーなど、誰に評価される企画なのかを常に意識している人ほど、企画が通りやすくなります。
「自分がやりたいか」ではなく、「相手にとって意味があるか」という視点を持てるかどうかが、企画力の差として表れます。
思考の「クセ」がある
「仮説思考」や「編集思考」といった思考のクセがある人は、最初から正解を出そうとせず、試行錯誤する中で企画の精度を高めていけるという強みを持っています。
そういった能力を磨くためにも、シェイプウィンでは「まずは数を出すこと」を重視しています。最初から完成度の高いアイデアを狙うのではなく、小さなアイデアでも口に出し続けることで思考が整理されていきます。
一見つまらないと思える案や、自分では当たらないと感じる案が、他者からは評価されることも少なくありません。つまらないことをひたすらアイデアとして口に出す。一朝一夕に企画力は上がらないので、このプロセスをひたすら繰り返す癖をつけることで、仮説を立てる力や、情報を編集する力が自然と鍛えられていきます。
ショットガンのように広く打ち出し、その中からスナイパーのように当てにいく。この思考方法が、企画の瞬発力と精度を大きく引き上げます。
企画をより良くするための考え方のコツ

シェイプウィンでは、クライアントやメディア向けに、社員1人あたり100件以上の企画を生み出してきました。その観点から、企画をより良くするために重要だと考えていることは、意思決定者のこれまでの経験や価値観に寄り添っているかどうかです。
そこで重視しているのが、「納得感8割、ギャップ2割」というバランス。
どれほど斬新な企画であっても、ギャップが強すぎて相手がイメージできない内容や、過去の成功体験と大きく乖離している施策は、現実には通りにくくなります。たとえば、テレビコマーシャルをしたことがない会社にとっては、大金を使って大きな施策をしたことがないので、「テレビコマーシャルで認知度を拡大しましょう」と企画を出しても、ギャップが大きすぎてイメージがつかず、実行するという決断をしづらいでしょう。
逆に、納得感しかない企画は、相手も自分で認識している範囲内の内容なので、斬新さや面白みが欠けてしまい画期的な企画と捉えられません。
意思決定者が安心して決断できる土台(=納得感8割)を作りつつ、最後に少しだけ斬新な工夫(=ギャップ2割)を加える。この塩梅が企画を通りやすくし、かつ成果にもつながります。
よくある質問(FAQ)

最後に、数々の企画立案からPR支援してきたシェイプウィンが、企画についてよく受ける質問をまとめました。
企画を考える流れは?
基本的な流れは、まず「どんな課題があるのか」を明確にし、その課題を解決する「目的」を定めます。その上で、目的達成のためのアイデアを出し、それらを現実性や効果の観点から絞り込み、最後に企画書として構造化する、というプロセスです。
企画が評価される場面では「なぜこの企画なのか」「なぜ今やるのか」といった背景や意図が必ず問われます。そのため、流れを無視してアイデアだけを出してしまうと、企画の妥当性や優先度が伝わらず、結果として通りにくい企画になってしまいます。
再現性のある企画づくりを行うためにも、この流れを押さえておくことが欠かせません。
企画力がある人にはどんな特徴がありますか?
企画力がある人の特徴としてまず挙げられるのは、常に相手視点で物事を考えていることです。
自分がやりたい企画や思いついたアイデアを起点にするのではなく、「この企画は誰にどう評価されるのか」「相手にとってどんな意味があるのか」を基準に思考しています。
また、企画力が高い人ほど、最初から完成度の高い企画を出そうとしません。数多くのアイデアを出し、その中から磨いていくという思考のクセがあります。
企画力は才能ではなく、考え方の積み重ねによって磨かれていくものです。
相手視点を持ち続け、仮説を立て、数を出し、検証する。このサイクルを回し続けられる人が、結果的に企画力の高い人だと言えるでしょう。
企画書に書くべき要素は?
企画書は、企画内容を説明する資料であると同時に、意思決定を促すためのツールです。そのためには、読む側が短時間で全体像を理解できる構成になっていることが重要です。
押さえるべき要素は、「目的」「背景」「課題」「ターゲット」「施策内容」「スケジュール」「評価指標」の7つです。
「目的」では、何を達成したい企画なのかを明確にし、「背景」や「課題」では、なぜこの企画が必要なのかを整理します。
「ターゲット」では、誰に向けた企画なのかを示し、「施策内容」と「スケジュール」で実行イメージを具体化します。
そして最後に、「評価指標」を設定することで、成果の判断基準を明確にします。
これらの要素が揃っている企画書は、企画の意図と実行後の姿がイメージしやすく、判断する側にとっても評価しやすい資料になります。
まとめ|企画力は“考え方”で差がつく

企画は、単発の施策を考えるためだけのものではありません。
マーケティングや商品開発、営業戦略、広告戦略、さらには広報活動に至るまで、企業活動のあらゆる場面で企画力が求められます。どの領域においても、「誰に」「何を」「なぜ」「どう伝えるか」を整理し、行動につなげる力がなければ、成果は生まれません。
一方で、企画そのものに時間をかけているだけでは、必ずしも成果につながらないことも事実です。また、日々の業務に追われる中で、企画立案から実行、効果検証、改善までをすべて自社で実行することも、決して簡単ではありません。
シェイプウィンでは、企画立案だけでなく、SNS、マーケティング、SEO、PRを横断した総合的なサポートを行っています。
企画の重要性を理解しているからこそ、「自社だけで抱え込まない」という選択肢を視野に入れてみるのはいかがでしょうか。まずは無料相談から、お気軽にお問い合わせください。
