日本企業が海外市場で成果を出すためには、「翻訳」ではなく「検索意図のローカライズ」が欠かせません。
どんなに優れた製品やサービスでも、現地のユーザーが検索するキーワードや期待する情報構造に合っていなければ、Google検索で見つけてもらうことは難しいのです。
シェイプウィンは、クライアントのSEO支援だけでなく、自社でもSEOを徹底的に活用し、集客の約90%を検索から生み出しています。
本記事ではそのノウハウをもとに、英語SEOの基本と日本語SEOとの違い、実践的な施策、そして海外市場で成果を上げるためのポイントを解説します。
英語SEOとは?日本語SEOとの違い

英語SEOとは、英語圏の検索エンジンユーザーに向けて最適化を行う手法です。
基本原則は日本語SEOと同じですが、「検索行動」「言語構造」「文化的背景」が異なるため、単純な翻訳では効果を発揮しません。英語SEOの本質は「英語話者の検索意図に合わせること」にあります。
たとえば日本人は「カメラ おすすめ」「SEO 対策 方法」といった単語検索を好みますが、英語圏では「what is the best camera for beginners?」のように自然文で質問形式の検索をする傾向があります。
つまり、キーワードだけでなく「文脈の最適化」が求められるのです。
また、イギリスではブリティッシュ・スペルが使われ、アメリカとは表記もニュアンスも変わります。さらに、同じ英語圏でも「soda」「pop」「soft drink」のように地域差が存在します。
これらを理解せずに日本語の直訳でページを作ると、検索意図とのズレが生まれ、上位表示されにくくなります。
海外マーケティングの難しさは、習慣や文化を理解した上で、訴求メッセージやカスタマージャーニーに合わせて施策をローカライズしていくことです。ローカライズに失敗すると、マーケティングの効果が薄れるだけでなく、良かれと思って発信した情報を競合に模倣されるリスクもあります。
こうした違いを日本の常識と対比しながら理解することが、英語SEO成功の第一歩といえるでしょう。
なぜ英語SEOが重要なのか
英語SEOは、単なる翻訳作業ではなく、グローバルブランディングの基盤を築くための重要な戦略です。特に、4つの観点からその重要性が高まっています。
・世界で最も使われている検索エンジンはGoogle
英語圏を中心に、世界の検索エンジン利用の90%以上をGoogleが占めています。英語SEOを強化することは、世界最大の検索市場に参入することを意味します。
・越境ECやSaaS企業にとっての重要チャネル
広告に頼らずに英語圏から自然流入を獲得できれば、コストを抑えつつグローバル規模での顧客獲得が可能になります。英語SEOは、長期的な集客基盤を作る投資です。
・検索上位はブランドの信頼証明になる
英語圏での上位表示は、単なるアクセス獲得にとどまらず、「国際的に信頼されるブランド」であることの証になります。これはグローバルブランディングの第一歩です。
・英語圏市場は多様でチャンスが広い
アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなど、英語圏は消費文化や検索行動が異なります。それぞれの市場特性に合わせた戦略を取ることで、複数の国で成果を出す可能性を高められます。
英語圏のSEO市場は難しい?
アメリカやイギリスなどの英語圏は市場規模が大きく、その分競争も激しいフィールドです。
特にGoogle USの上位は、SEO専業企業や海外メディアが多数参入しており、日本語市場の何倍ものコンテンツ量と競合性があります。
しかし、その中にもチャンスがあります。英語SEOでは「現地ニッチ」を狙うことが可能です。たとえば「Japanese skincare」「Japanese productivity method」など、日本ブランドや日本文化を切り口にしたテーマは高い需要があります。
実際、アメリカでは「ikigai」「kaizen」といった日本語そのものがキーワードとして検索されています。
つまり、「英語で発信しつつ日本らしさを活かす」という視点こそ、差別化の鍵となります。
英語SEOの具体的な施策

英語SEOを成功させるには、以下の4ステップで体系的に進めることが重要です。
①英語ネイティブ視点のキーワードリサーチ
まずは「英語話者がどのように検索するか」を理解することから始まります。
Google Keyword PlannerやAhrefs、Semrushなどを使い、US、UK、AUなど地域別の検索トレンドを分析しましょう。
同じ単語でも国によって意味が変わることがあります。たとえば「pants」はアメリカではズボンを指しますが、イギリスでは下着の意味になります。このような言語ギャップを見落とすと、検索意図を外したコンテンツを作ってしまうリスクがあります。
さらに、検索ボリュームだけでなく「検索意図(Informational/Commercial/Transactional)」の把握も大切です。英語圏では質問型の検索が多く、「how」「why」「what」を含むキーワードが上位に来やすい傾向があります。
キーワード選定については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
海外SEO対策に必須のツール!現地向けのキーワード選定、検索順位を上げるコツとは?
②英語ライティングとコンテンツ最適化
英語SEOで最も多い失敗は、「翻訳しただけのコンテンツ」です。
日本語の思考構造のまま英訳すると、主語や論理の展開が不自然になり、英語話者には伝わりません。
たとえば日本では「ノウハウ記事」が好まれますが、欧米では「Why it matters(なぜ重要か)」を説明する記事が評価されます。
検索キーワードも「how to use SaaS」ではなく「why SaaS business is the best?」といった形が主流です。
そのため、英語ライティングでは以下を意識しましょう。
・理由と結論の明確さ
・長文よりもシンプルでリズムのある文章
・箇条書きや見出しを構造化
・E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を満たす構成
また、トーンや言葉選びも文化に合わせる必要があります。
アメリカでは「confidence(自信)」や「benefit(利益)」を前面に出す表現が好まれ、曖昧な言い回しは避けられる傾向があります。
ネイティブチェックを行い、言葉のトーンを自然に調整することが成功への近道です。
③技術的SEO対策
英語サイトでは、テクニカルSEOの設計も極めて重要です。
代表的なポイントは以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| hreflang設定 | 各国向けページをGoogleに正しく認識させる(例:en-us, en-gb) |
| URL構造 | 国別ディレクトリを使用(/en/, /us/など) |
| サイトスピード | 英語圏では特にモバイル速度が重視される |
| 構造化データ | FAQ、Product、How-toなどのスキーマを設定 |
さらに、英語圏ではサーバー位置(US/EU)も検索順位に影響するため、現地CDNの利用が推奨されます。
技術面の最適化は、単なるSEO対策にとどまらず、ユーザー体験(UX)を高める基盤でもあります。
④外部リンクとオーソリティ構築
英語SEOでは、信頼性の高い外部リンク(被リンク)が評価に直結します。
海外メディアや業界ブログへの寄稿(Guest Post)、PR記事配信(PRWeb、HAROなど)、現地ニュースサイトへの露出を積極的に行いましょう。
特に「現地メディアと連動したPR戦略」は、日本企業にとって有効なアプローチです。
たとえばシェイプウィンでは、海外向けプレスリリースやSNSキャンペーンを組み合わせ、SEOとブランディングを同時に強化しています。
被リンクの質を高めるには、「英語でのブランドストーリー」を語ることが不可欠です。
単にリンクを獲得するのではなく、文化・感情に訴えるコピーライティングで共感を生むことが、長期的なSEO成果に繋がります。
被リンク獲得についてはこちらの記事で解説しています。
海外被リンク獲得の決定版! 5つの方法とSEO効果を徹底解説
英語SEOでよくある失敗と回避策

英語SEOでは、多くの企業が4つの落とし穴に陥ります。
どれも、日本での常識をそのまま海外に持ち込んでしまうことで起こるものです。事前にしっかり確認しておきましょう。
現地の法律を確認していなかった
国や地域によって広告・データの取り扱いルールは大きく異なります。
たとえばヨーロッパでは、個人情報を厳しく保護する「GDPR(EU一般データ保護規則)」が適用され、Googleアナリティクスの利用にも制限がある場合があります。
また、特に医療・金融など「消費者保護」が強く求められる分野では、専門機関による厳格なガイドラインが設けられている国もあります。事前に法令を確認し、リスクを理解した上で施策を設計することが大切です。
日本語をそのまま英訳して検索順位が上がらない
日本語ページをそのまま翻訳しただけでは、英語圏では検索上位に表示されにくい傾向があります。
理由は、英語話者が検索するキーワードや質問形式が根本的に異なるためです。
たとえば「おすすめ」は英語では“best”や“top-rated”に言い換える必要があります。直訳ではなく、現地ユーザーの検索意図に合わせた自然な英語に置き換えましょう。
現地の検索意図を無視したキーワード選定
同じ英単語でも、国によって意味や使われ方が異なります。
前述したように、「pants」はアメリカではズボンを指し、イギリスでは下着を指すといった違いを把握しないままキーワードを設定すると、まったく違うユーザー層に届いてしまうこともあります。
キーワード選定では、Google US/UKなど地域別のトレンドを確認することが欠かせません。
現地の文化を理解していない
文化背景や生活習慣への理解不足は、意図せず誤解を招く表現につながります。
たとえば宗教・人種・ジェンダーに関する話題は非常にセンシティブで、軽い表現でも批判を受ける可能性があります。
逆に、文化的な共感を意識したコピーやビジュアルは大きな信頼につながります。単なる「翻訳」ではなく、共感を設計するローカライズを意識しましょう。
英語SEOを成功させる3つのポイント

英語SEOの成果を左右するのは、単なる翻訳精度ではなく「現地視点の戦略設計」です。
ここでは、競争の激しい英語圏で成果を上げるための3つの重要ポイントを解説します。
①現地に住んでいる人の行動理解
英語SEOの成功は「ペルソナ設定の精度」で決まります。
アメリカやイギリスなどの多民族国家では、宗教・文化・生活スタイルが多様であり、ひとつのメッセージでは響きません。
歴史的背景や社会的価値観を踏まえ、「どの層に・どんな文脈で伝えるか」を設計しましょう。
②ネイティブ視点でのコンテンツ制作
AI翻訳の精度が上がっても、ネイティブの心に響く英語は人間の感性に依存します。
たとえば、日本語では主語を省く傾向がありますが、英語では明確な主語がなければ意図が伝わりません。
そのため、英語コンテンツは必ずネイティブライターと協業することをおすすめします。
また、日本ブランドを英語で発信する際は「日本らしさ」を無理に薄める必要はありません。
むしろ、「Japanese Quality」「Craftsmanship」「Omotenashi」といったキーワードを軸に、日本らしさを前面に出す方が現地では評価されます。
③現地リンク・パートナーシップ構築
成功する企業の共通点は、「現地の信頼ネットワーク」を活用していることです。
現地のPR会社やメディアと提携し、イベント・記事連携・SNS施策を組み合わせることで、SEOとブランド露出の両輪を回すことができます。
シェイプウィンでも、ネイティブスタッフと連携したパートナーシップ戦略により、海外SEOとデジタルPRを統合的に支援しています。
外注の検討にあたっては、こちらの記事もご覧ください。
SEO外注すべき?SEO施策でよくある失敗と事前に知っておきたい注意点
まとめ:英語SEOは翻訳ではなく「現地戦略」

英語SEOは、単なる翻訳やキーワード対策ではなく、「現地の検索意図を理解し、文化に合わせて最適化する」総合的な戦略です。
しかし、キーワードリサーチ、技術的SEO、ライティング、リンク構築、法規制対応など、必要な領域は多岐にわたります。
限られたリソースの中でこれらすべてを社内で完結させるのは容易ではありません。
だからこそ、SEOだけでなくSNS・PRを含めた統合的なマーケティング視点が求められます。
シェイプウィンでは、日本語×英語SEOを両軸で最適化し、ネイティブライターや海外SEO専門家との協業体制のもと実践的なサポートを提供しています。
専門家と共に取り組むことで、現地の文化や検索習慣を踏まえた確かな成果を生み出すことができます。まずは無料相談から、お気軽にお問い合せください。
