「海外向けのウェブサイトを作ったのに問い合わせが来ない」「日本のページと同様にSEO対策をしたのに効果が出ない」海外向けウェブサイトの運営において、このような悩みを抱えていませんか?
海外SEO対策においては、単なる翻訳や、日本市場で有効なSEO手法をそのまま適用することによる効果は期待できません。ユーザーの検索方法やコンテンツのトレンドが日本と根本的に異なるため、言語や文化の違いを理解した戦略的なアプローチが必要です。
本記事では、海外SEO対策の基本から具体的な施策まで、実践的なノウハウをご紹介します。キーワード選定のポイント、ネイティブ視点を取り入れたコンテンツ作成方法から技術的な対応まで、検索上位表示を実現するための全プロセスを解説します。
海外SEO対策とは?

海外SEO対策とは、自社のウェブサイトが海外でも検索エンジンの上位に表示されるよう最適化するための戦略です。
まずはじめに、海外SEOの目的や対策が必須のケース、国内SEOとの違いについて見ていきます。
海外SEO対策の目的
海外SEO最大の目的は、ターゲット市場において自社サイトの可視性と集客力を高め、現地の潜在顧客から見つけられやすくすることです。
特に北米市場では、英語圏のコンテンツが非常に多く、インターネット上の英語コンテンツは日本語の約16倍(※)にものぼるとされています。そのため、検索上位に表示されなければ存在すら認知されないのが現実です。海外SEO対策は、企業のグローバル展開における必須戦略といえるでしょう。
(※)W3Techs – Usage of content languages for websites
海外市場向けSEOが必要なケース
その中でも特に、海外市場向けSEO対策が必須といえるケースを紹介します。
・ECサイトの展開を目指している場合
ECサイト運営において、検索流入は売上に直結します。eコマース市場は年々拡大しており、適切なSEO対策なしでは膨大な競合の中で埋もれてしまいます。
・ビジネスパートナーや調達先・輸出先を探しているBtoB企業
特に製造業やIT分野の企業の多くは、新しいビジネスパートナーや調達先、輸出先を探す際にGoogle検索から調査を始めるため、SEO対策が新規顧客開拓の鍵となります。
実際に当社シェイプウィンも、SEOによる集客強化で北米からの問い合わせが増加し、海外クライアントを獲得しています。適切なSEO対策により、海外バイヤーやパートナー候補に自社の専門性や強みを効果的にアピールできるのです。
海外SEOと日本SEOの違い
海外と日本では、トレンドや言語、文化的背景などはもちろん、検索の仕方にも大きな違いがあります。
日本では単語の羅列による検索が一般的ですが、英語圏では「What is the best marketing tool for small business?」といった文章形式の検索が増えています。
また、音声検索の普及に伴い、より自然な言葉での検索が急増しています。
そのため、単語ベースのキーワード最適化だけでなく、質問形式や文章ベースで、検索意図に応えるコンテンツ設計が必須となります。
関連記事:海外SEOと日本SEOの違い:成功のための完全ガイド
コンテンツのトレンド
北米市場のSEOにおいて特筆すべきは、比較コンテンツの効果の高さです。
「Best software for 〜〜」「〇〇 vs △△」といった比較を前面に出したコンテンツが高い検索流入を獲得しています。
日本では景品表示法により、他社製品と直接比較するようなコンテンツは制限されていますが、北米では消費者の意思決定を助けるコンテンツとして評価されているのです。
こうした市場特性を理解し、ユーザーが求める比較情報を提供することで、検索上位に表示される機会が拡大します。
現地向けSEO対策のポイント

海外SEOの成功には、言語や文化の違いを考慮したコンテンツ戦略と技術面の最適化がポイントとなります。特に重要な3つのポイントを解説します。
効果的なキーワード選定
キーワード選定はコンテンツ作成の基盤となるため、SEOに大きく影響します。
効果的なキーワードとは、日本語の直訳ではなく、現地ユーザーが実際に使用している言葉です。
たとえば、日本では「健康食品」と検索されるものが、北米では「organic supplements」や「natural health products」と検索されるなど、単純な翻訳では捉えられない違いがあります。
キーワードの選定には、現地の検索トレンドを把握するツールの活用が欠かせません。
代表的なツールは以下の3つです。
・Google Trends:無料で利用でき、地域別の検索傾向や時期による変動を確認できます。
・SEMrush:競合サイト分析や地域別のキーワード調査に優れています。
・Ahrefs:検索ボリュームやキーワード使用の難易度を詳細に分析できます。
ターゲット市場を理解したコンテンツ作成
SEOで最も重要なのは、ターゲット市場の文化や価値観を理解した質の高いコンテンツ作成です。現地ユーザーの関心や課題に焦点を当て、検索意図に応える内容が求められます。
ただし、英語を理解できる日本人スタッフだけでは、微妙なニュアンスや文化的文脈を捉えきれないことが多いのが現実です。コスト削減のために途上国などの格安ライターを利用するケースもありますが、品質面や情報管理の点で問題が生じることがあります。
また、近年は生成AIを活用した翻訳も増えていますが、AIだけでは高品質で自然なコピーライティングの判断は難しいでしょう。
適切な専門用語と自然な表現の使用には、現地市場を熟知したプロフェッショナルによる執筆・監修が不可欠です。
技術面の最適化
さらに、コンテンツ面だけでなく、以下のような技術面の最適化も欠かせません。
・hreflangタグによる多言語対応
多言語サイトを運営する際は、「hreflangタグ」の正しい実装が極めて重要です。
このタグは、ウェブサイトのコードに追加する特別な指示文で、検索エンジンに「このページはどの言語・どの国向けのコンテンツなのか」を正確に伝えるためのものです。
特定の地域に合わせたページを作成しても、hreflangタグによる地域ターゲティングを行わない限り、その地域でのページランクを上昇させることは難しくなります。
・サーバーのロケーションとページ速度の最適化
ターゲット地域に近いサーバーの使用と、ページ速度の最適化も重要な要素です。
特に北米市場では、ページの読み込み速度がSEOランキングに大きく影響します。
画像の最適化やコードの最小化のほか、CDN(Content Delivery Network)の導入も、世界各地からのアクセス速度を向上させる効果的な方法です。
CloudflareやAmazon CloudFrontなどの主要なCDNサービスを利用することで、北米ユーザーへのコンテンツ配信速度を大幅に改善できます。
海外SEOの具体的な施策と手順

海外SEO対策を成功させるには、ターゲット市場の選定から、競合分析、キーワード調査、コンテンツ作成、被リンク獲得まで、一貫した戦略を立てて実行することが重要です。
さらに、定期的な効果測定と改善サイクルを確立することで、長期的な成果につなげることができます。
①ターゲット市場の選定
まず、最も優先する市場を明確にします。すべての海外市場に同時にアプローチするのではなく、リソースを集中させる市場を戦略的に選定しましょう。
市場選定の際は、自社サービスの市場ニーズと規模、現地の競合状況と参入障壁、言語対応のしやすさ、物流や法規制などのビジネス環境、将来的な事業展開の可能性など、さまざまな要素を検討します。
一つの市場でSEO対策を成功させてから、次の市場へ展開するステップバイステップのアプローチが効果的です。
②競合サイトの分析
選定した市場で成功している競合サイトを分析することで、効果的なSEO戦略の洞察が得られます。
分析は以下の順序で行います。
⑴主要キーワードで検索し、上位表示されているサイトをリストアップ
⑵SEMrushやAhrefsで、各サイトのキーワード戦略を分析
競合がどのようなキーワードで上位表示されているかを確認しましょう。
⑶サイト構造や主要コンテンツの共通点を抽出
ページの構成、情報の深さ、更新頻度、被リンク状況はどうなっているでしょうか。
サイト構造やUX(ナビゲーション、内部リンク、モバイル対応など、ユーザー体験に関わる要素)、SNSとの連携状況についても確認しておきましょう。
競合分析は定期的に実施することで、市場の変化やトレンドの把握も可能となります。
他社の成功事例の背景にある戦略を理解し、自社の強みを活かして差別化を図りましょう。
③キーワードリサーチと選定
続いて、キーワードリサーチを行います。
効果的なキーワードを見つけるには、上で解説したGoogle Trends、SEMrush、Ahrefsなどのツールの使用が効果的です。
主に4種類のキーワードをリサーチします。
・メインキーワード
業界やサービスを代表する主要キーワードです。競争が激しいことが多いですが、コンテンツの基盤となります(例:「Japanese food」「sushi restaurant」)
・ロングテールキーワード
より具体的で長い語句のキーワードです。競争が少なく、明確な意図を持ったユーザーにリーチできます(例:「best family-friendly sushi places with private rooms」)
・疑問形キーワード
「How to」「What is」「Why」などで始まる疑問文の検索クエリです。情報を求めるユーザーに役立つコンテンツを提供できます。(例:「How to eat sushi properly」)
・地域特化キーワード
特定の地域に関連したキーワードです。地域ターゲティングを行う場合に効果的です(例:「Japanese restaurants in Chicago」)。
次に、以下の点に留意しながら、コンテンツに使用するキーワードを選定します。
・検索ボリュームと競合のバランス
人気があるキーワードほど競争が激しくなります。
たとえば、「Japanese food」は検索数が多いですが、多くのサイトがこのキーワードで上位表示を狙っています。一方、「Japanese restaurants in Chicago」は検索数は少ないものの、競争も少なく上位表示が狙いやすいです。
・購買意図の強いキーワード
検索ユーザーの中には「情報収集だけ」の人と「今すぐ購入したい」人がいます。
たとえば、「製造業とは」と検索する人より「高品質な日本の電子部品メーカー」と検索する人の方が取引先を探している可能性が高いです。購入や契約に近い意図を持つキーワードを特定しましょう。
・地域特有の言い回しや専門用語
同じ概念でも地域によって表現が異なります。
たとえば、日本では「お問い合わせ」という表現が一般的ですが、北米では「contact us」「get in touch」「reach out to us」など様々な表現があります。
コンテンツ作成後も定期的にキーワードの効果を測定し、パフォーマンスが高いキーワードを特定して、コンテンツの改善に活かしましょう。
関連記事:SEOキーワード選定の正しいやり方と10のステップ!AIの活用方法や無料ツールも紹介
④コンテンツの作成
抽出したキーワードをもとに、現地の文化や価値観にもとづいたコンテンツを以下のステップで作成します。
⑴構成を考える
読者が知りたい情報を明確にし、情報を整理します。
⑵北米市場向けに最適化する
現地の事例や統計データなどを盛り込み、競合よりも詳しく、役立つ情報を提供しましょう。北米では特に、比較情報や選択肢を提示することが効果的です。
⑶SEO要素を組み込む
タイトルや見出しに、抽出したキーワードを適切に組み込みます。
この段階では、読者の共感を得ることができるコンテンツ作成のために、現地の市場や文化的な文脈を理解した現地ライターやエディターと連携しながら進めることが重要です。
シェイプウィンでは、日本語が話せる北米ネイティブのPRスペシャリストが多数在籍しており、これまで200社以上の日本企業・グローバル企業のPR支援をしてきました。
現地市場を熟知したプロフェッショナルが、単なる翻訳ではなく、北米ユーザーに共感されるコンテンツを作成しています。
⑤被リンクの獲得
完成したコンテンツに対して、被リンク(バックリンク)の獲得を狙います。
被リンク獲得は、海外SEO対策において非常に重要な要素です。質の高い外部サイトからの被リンクは、検索エンジンにサイトの信頼性と権威性を示す強力な指標となります。
北米市場での効果的な被リンク獲得戦略としては、以下のアプローチが有効です。
・ゲスト投稿(寄稿記事)の活用
・高品質なコンテンツの作成
・SNS(LinkedIn、Reddit、Quora)を通じたコンテンツ拡散
・業界ディレクトリへの登録
・プレスリリース配信など、PR活動との連携
なお、低品質なリンクやスパムリンク、被リンクの売買にはくれぐれも注意が必要です。Googleは、リンク売買や人為的なリンク操作を厳しく禁止しています。検出された場合、厳しいペナルティが課される恐れもあるので、ガイドラインに沿った正当な方法で被リンクの獲得を目指しましょう。
関連記事:海外被リンク獲得の決定版! 5つの方法とSEO効果を徹底解説
⑥効果測定と改善
最後に、継続的な効果測定と改善のサイクルを回します。
効果測定では、SEMrushやAhrefs、Google Analyticsなどのツールを使用し、以下の指標に着目しましょう。
主な測定指標
・オーガニック検索トラフィック:地域別・デバイス別のトラフィックの推移
・キーワードランキング :ターゲットとするキーワードの検索順位やその変動
・エンゲージメント指標 :ユーザーの直帰率、滞在時間、ページ閲覧数など
・コンバージョン率 :最終的に問い合わせや資料請求などの行動につながった割合
これらをもとに、成功しているページと停滞しているページの分析、A/Bテストによる最適化、アルゴリズム更新に合わせた調整などを通じて改善を行います。
北米市場のSEOトレンドは変化が早いため、最新の動向をキャッチアップし、データドリブンな意思決定と柔軟な戦略調整を心がけましょう。
SEO対策のコストとリスク

費用対効果の高いSEO戦略を構築するためには、初期費用や運用コストを正しく見積もり、自社運用と外注のメリット・デメリットを理解することが重要です。
海外SEOにかかるコストの目安
企業の規模や目標によって大きく異なりますが、一般的な目安は以下のようになります。
初期費用としては、サイト分析、キーワードリサーチ、競合分析、初期コンテンツ作成などの項目が含まれ、本格的なSEO対策を始める場合、100〜300万円程度が一般的です。
月額運用費は、主に以下のような内訳になります。
・コンテンツ作成(現地市場に精通したネイティブによる執筆・編集、SEO最適化、画像作成など) :10万円〜/記事
・技術的対応(サイト構造の最適化やモニタリングなど):10〜30万円
・被リンク獲得施策 :10〜50万円
・分析・効果測定・改善提案 :5〜15万円
これらを合計すると、本格的な海外SEO対策の運用コストは月額30〜100万円程度となることが多いです。コスト削減を目的に低品質なサービスを選ぶことは避け、長期的な視点で適切な投資を検討しましょう。
自社運用と外注のメリット・デメリット
海外SEO対策を進める上で、自社運用と外部専門家への外注のどちらが適しているのでしょうか。
自社運用 | 外注 | |
メリット | ・自社ビジネスへの深い理解を活かせる・社内ノウハウが蓄積される | ・専門的な知識と経験を活用できる・現地市場への深い理解と文化的文脈の把握・最新のSEOトレンドやアルゴリズム変更への迅速な対応・専門ツールやリソースの活用 |
デメリット | ・専門知識やツールの不足・現地市場の文化理解が難しい・リソース不足により品質が低下するリスク・最新トレンドへの対応が遅れがち | ・コストが高くなる傾向がある・悪質な企業に依頼すると企業ダメージを受ける |
特に文化理解と専門スキルの面では、外注の利点が大きいと言えます。
また、自社と外部専門家のハイブリッドアプローチが効果的な場合もあります。自社のリソースを踏まえて最適なバランスを見つけるためにも、まずは一度専門家に相談するのが良いでしょう。
関連記事:SEO外注すべき?SEO施策でよくある失敗と事前に知っておきたい注意点
よくある質問

最後に、海外SEO対策を検討する際に多くの企業が共通して抱く疑問についてお答えします。
SEOでやってはいけないことは何ですか?
特に避けるべき「ブラックハットSEO」と呼ばれる以下の手法があります。
・隠しテキストや隠しリンク:ユーザーに見えない形でキーワードやリンクを埋め込む手法
・キーワードスタッフィング:不自然な形で同じキーワードを過剰に詰め込む行為
・低品質な被リンクの大量購入:関連性の低いサイトからの被リンクを購入する行為
・コンテンツスクレイピング :他サイトのコンテンツをコピーする行為
・クローキング:検索エンジンボットとユーザーに対して異なるコンテンツを表示する手法
これらは短期的に効果を出すことがあっても、検索エンジンからペナルティを受けるリスクが高いです。特に北米市場ではリスク管理の意識が高く、ブラックハット手法が発覚した場合はビジネス上の信頼も損なわれます。
質の高いコンテンツと自然な被リンク獲得を中心とした「ホワイトハットSEO」に注力しましょう。
アメリカのSEOは他国とどう違いますか?
基本的にはGoogleのアルゴリズムに基づく点で他の国々と共通していますが、いくつかの重要な違いがあります。
・競争の激しさ:北米市場は世界で最も競争が激しいSEO市場の一つなので、より高品質で専門的なコンテンツが求められます。
・モバイル最適化の重要性:モバイル検索の割合が非常に高く、モバイル対応のサイト設計が不可欠です。
・音声検索の普及:Siri、Google Assistant、Alexaなどの音声検索の利用率が高く、自然言語の検索に最適化する必要があります。
・E-A-T要素の重視:サイトの専門性、権威性、信頼性(E-A-T)が極めて重視されます。
日本企業が北米市場でSEOを成功させるには、こうした違いを理解し、現地のユーザー行動に合わせた戦略を立てることが重要です。
まとめ:単なる翻訳ではなく、文化的背景と検索意図を理解した戦略的なアプローチが不可欠
海外SEO対策においては、単なる翻訳ではなく、文化的背景と検索意図を理解した戦略的なアプローチが不可欠です。
効果的なキーワード選定、現地ユーザーの検索行動に合わせたコンテンツ作成、適切な技術的対応という3つの柱が成功への鍵となります。しかし、言語や文化の違い、技術面の課題、最新トレンドへの対応など、すべて自社で解決するのは負担が大きいでしょう。
シェイプウィンでは、北米市場を熟知した専門家チームが、日本企業の海外SEO対策をサポートしています。キーワードリサーチからコンテンツ作成、技術的な最適化まで、包括的なSEOソリューションを提供し、企業の北米市場での存在感向上をサポートしています。
無料相談も行っておりますので、まずはお気軽にお問合せください。