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ソーシャルメディア再考。もう一度「Whyから始めよ!」

人

ブログを嚆矢としたソーシャルメディアの誕生から15年余り。私自身、ソーシャルメディアの利用歴は13年になります。

国内では、2010年のtwitter、2011年のFacebookの伸展で一般にも認知されてから7年ほど、今日ではすでに私たちの生活やコミュニケーションに不可欠のプラットフォーム(ツール)となっています。

企業も、そうした人々とコミュニケーションをとるため、ほとんどがソーシャルメディアの公式ページを開設しています。

しかしながら、私がソーシャルメディアの開設当初にお手伝いしたページもその後は更新が滞っている、あるいはまったく更新されていない、グループでも数年前のまま止まって放置状態のものが数多くあります。

開設するのは簡単ですが、持続的に運営することは難しいものです。

Whyから始めること

はてな・男女

TEDでも知られているサイモン・シネックの著書『Whyから始めよ!』(2012年:日本経済新聞社刊)が、数年前に話題となりました。

人は、どうしてもWhatやHowに気持ちが先行しがちですが、Whyこそ重要だという視点から語られた主張です。

これはシネックだけではなく、少し前に紹介したドラッカーの『マーケターの罪と罰』を読めばわかりますが、ドラッカーは常に「なぜ」を問いかけています

「初心忘るべからず」ということわざがあります。初心とは、物事に慣れてくると慢心しあるいは基本を疎かにしてしまいがちであるが、はじめたときの新鮮で謙虚な気持ちを忘れてはいけない、というような戒めの意味で使われます。

しかし、初心時、それを始めたのには理由や動機もあったはずですが、それが当たり前の状態になると、日常生活の中では「なぜそれをするのか」が意識されずに忘却の彼方となってしまうものです。

したがって、Whyからはじめるということは、あらためてその初心に戻るまた考える貴重な機会ともなるのです。

実は、私が広告代理店の傭兵マーケターをしていた時代にある体験があります。それは8社による競合プレゼンで、内容は継続して行っているB to B向けのプロモーションを見直すための戦略立案でした。

オリエンテーションを受け、他社はおおよそどのようなプレゼンをしてくるかは予想がつきました。そこで、私はなぜ、あらためて戦略立案する必要があるのか、その意義と価値から問いかけるようなプランニングを行いました。

クライアントからは、いままでそうしたことを考えてこなかったので、むしろ新鮮だったとの言葉をいただいたことがあります。今日、特別なツールでもなくあるいは意識されないほど日常生活の一部となり、あらゆる情報やコミュニケーション欠かせないソーシャルメディア。

なぜそれを使っているのか、あらためて自身に問いかけてみてはいかがでしょうか。とくに企業や組織で、PR目的で運用(活用)している人は、再度その利用している意義と価値を考える機会になれば嬉しく思います。

ソーシャルメディアは、いまや特別なツールとしてではなく、意識されないほど日常生活の一部となり、あらゆる情報やコミュニケーションのやり取りをするうえで欠かせない存在です。

5つのなぜ

ペン

私はこれまでに、個人での利用や企業や組織の運営などを通じ、様々な気づきや実感を多く得てきました。

今回は、そうしたなかで考えた「5つのなぜ」について語ることで、皆さまになにかの気づきやヒントを提供できればと思います。

(1)なぜ、ソーシャルメディアなのか

いくらソーシャルメディアが日常的なメディアだといっても、一部の例外を除いてはメイン(企業サイト=本店)とはなりえません。あくまでもサブ(支店)なのです。

したがって、メインサイトとサブとの乖離がないか確認しましょう。ソーシャルメディアはほとんどが無料で開設できます。

自社の広告や宣伝、PRなどの情報だけでコンテンツが埋め尽くされているところもあります。また、すぐに自社サイトへ誘導することばかり考えたコンテンツだと、オーディエンスから疎まれてしまうことでしょう。

(2)なぜ、コンセプトやビジョンを伝えるのか

ありがちなことは、ソーシャルメディアの公式ページを開設する際、企業名や製品名を使うことです。

すでに認知度のある大企業やブランド力のある製品やサービスならそれはありでしょう。しかし、そうした一部を除いた大多数は企業名のページではほとんど意味がありません。とくにベンチャーやB to B企業であればなおさらです。

公式ページの名称は自分たちの企業、製品やサービスのコンセプトやビジョン掲げることを私は推奨しています。

また、公式ページを開設してすぐにそのページに「いいね!」を求めてはいけません。開設したばかりだと、コンテンツがほとんどなくどのようなページになるのかもわからないと「いいね!」もしようがありません。

逆の立場でそうした案内をもらったことがある人は、きっと実感があるだろうと思います。

(3)なぜ、リスニング(傾聴)しなければならないのか

自社の製品やサービス情報、特典などを含め、とにかく情報発信ばかり偏っている場合は要注意です。

ソーシャルメディアを始める場合、とにかくコンテンツをなにか発信しなければ、という意識に囚われがちですが、まずはオーディエンスの言葉や反応に耳を傾けることが先決です。

また、リスニングができている場合、もう一歩先の「アクティブ・リスニング」へと進めましょう。これは、オーディエンスの話しを上手に聞き出すあるいは話を促すという、より積極的なコミュニケーション発想です。

聞き上手という言葉がありますが、そうした人は相づちや問いかけが上手で、話をしている人から巧みに様々な情報や意見を引き出します。

(4)なぜ、顔が見えることが大切なのか

業務上の必要から、ソーシャルメディアのアカウントを開設したケースでは多く見られます。

競合やまわりがソーシャルメディアを利用しているし、我が社もと開設し、担当者も業務命令で当てられている場合、あくまでもコミュニケーションのためにコンテンツを提供しているという意識より、とにかく運用しています的な姿勢となっていませんか。

そうしたサイトでは、情報などがアップされていても書かれている内容(文章)などから、オーディエンスは匂いをかぎ取ります。

【書評】『ウソはバレる〜「定説」が通用しない時代の新しいマーケティング』でも書きましたが、オーディエンスを侮ってはいけません。

(5)なぜ、コミュニティ運営者(リーダー)に徹するのか

これは、運営担当者にもっとも求められる心構え(姿勢)です。

私がソーシャルメディア(当時はそうした言葉ではなく、CGM/UGCと呼んでいました)を始めたころ、そうしたものの使い方や運用方法などのノウハウを教えてくれる本はありませんでした。

さすがに今は一時ほどのように、ソーシャルメディアに関する本が雨後の竹のごとく刊行され、書店のビジネス書コーナーを占領することはなくなりました。そうした類書のほとんどは、使い方あるいは運用のノウハウを指南する本です。

しかし、ソーシャルメディア自体は常にアップデートしており、例えばfacebookやマイクロソフトに買収されてしまったLinkedInにしても、何度もユーザーインターフェイス(UI)を変更するなどの微調整を繰り返しています。

古い本の中には、UIが大きく変わってしまい、有用性を失っているような本もあります。

自社メディア運営しているという意識ではなく「ある特定のコミュニティの運営者(リーダー)」だという心構え(姿勢)が一番大切なのです。

そうはいっても、企業として運営していることは十分に承知している、ソーシャルメディア運用の要諦は、つまり「頭は自社にあっても、心だけはオーディエンスに置くこと」だということができるでしょう。

「スキル」そして「マインド」

会議

コミュニケーションには、「マインド」と「スキル」の両輪が必要です。

「情けは人の為ならず」という箴言がありますが、それに倣えば「コミュニケーションは人の為ならず」ということです。

これはプレゼンについてもいえることですが、そのスキルばかりに目を奪われてしまいがちです。 プレゼンは巧みなスライド(パワポ)の説明ではないのです。スピーチ力こそが重要で、むしろスライドなどなくてもできるのが本来のあり方です。これについても、機会があれば語ってみたいと思います。

つまり、マインドをもっていなければ意味がありません。それは、国会の答弁や企業の記者会見を見れば容易に理解できるでしょう。

いかに巧みな説明(文章)であっても、それを小学生のように下を向いて棒読みしていては、人が心を動かされることは決してないのです。

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梅下 武彦
コミュニケーションアーキテクト(Marketing Special Agent)兼ブロガー。マーケティングコミュニケーション領域のアドバイザーとして活動をする一方、主にスタートアップ支援を行いつつSocialmediactivisとして活動中。広告代理店の“傭兵マーケッター”として、さまざまなマーケティングコミュニケーション業務を手がける。21世紀、検索エンジン、電子書籍、3D仮想世界など、ベンチャーやスタートアップのマーケティング責任者を歴任。特に、BtoCビジネスの企画業務全般(事業開発、マーケティング、広告・宣伝、広報、プロモーション等)に携わる。この間、02年ブログ、004年のSNS、05年のWeb2.0、06年の3D仮想空間など、ネットビジネス大きな変化の中で、常にさまざまなベンチャー企業のマーケティングコミュニケーションに携わってきた。