自社分析とは?目的・手法・フレームワークを徹底解説

自社 分析

自社分析は、「自分たちがどこで、何を武器に戦っていくのか」を明確にするための重要なプロセスです。

競争が激化し、市場の変化が速い現代において、過去の成功体験や「昔からやってきたから」という理由だけで意思決定を続けることは、大きなリスクになりかねません。

実際、多くの企業では自社の強みや課題が曖昧なままになっています。様々な施策を打っているものの、それらが本当に自社の価値向上につながっているのか不安を抱えるマーケティング担当者も多いでしょう。

だからこそ今、色々な角度から改めて自社を見つめ直す「自社分析」が求められています。

本記事では、自社分析の基本的な考え方から、代表的なフレームワーク、実践ステップ、そして分析を成果につなげるためのコツまでを解説します。

この記事でわかること
・自社分析の目的と、今あらためて重要視される理由
・3C分析・SWOT分析・クロスSWOT分析の違いと使い分け
・マーケティング戦略に活かすための具体的な進め方

はじめに:なぜ今「自社分析」が重要なのか

自社分析が重要な最大の理由は、事業環境の変化がこれまで以上に激しくなっているからです。

新しい競合の参入、顧客ニーズの多様化、テクノロジーの進化などにより、数年前に通用していた戦略が急に通用しなくなることも珍しくありません。

こうした環境下で企業が生き残り、成長していくためには、自社の強みや弱みを客観的に把握し、どこで勝負すべきかを明確にする必要があります。

また、人材、顧客基盤、ブランド、業務プロセスなど、これまでに積み上げてきた資産やノウハウを正しく理解し活かすためにも、自社分析は欠かせません。

自社分析は単なる整理ではなく、将来の戦略を描くための土台と言えるでしょう。

自社分析の目的と活用シーン

自社分析の目的と活用シーン_インフグラフィック

自社分析の目的

「自社分析」とは、自社の内部環境と外部環境を整理し、自社の強み・弱み・立ち位置を明確にするための分析です。
その目的は、単なる現状把握ではなく、今後の意思決定や戦略立案に活かすことにあります。

特にマーケティングにおいては、「なぜ自社の商品・サービスが選ばれるのか」「どの価値を訴求すべきか」を言語化することが重要です。

自社分析の活用シーン

自社分析は、特定のタイミングだけで行うものではなく、さまざまなシーンで活用できます。
代表的な活用シーンは以下の4つです。

・新規事業の立案
新しい事業を検討する際には、市場の魅力だけでなく、自社が本当に勝てる領域かどうかを見極める必要があります。
自社の強みやリソースを踏まえた上で判断することで、無理のない事業設計が可能になります。

・業績不振時の見直し
売上や成果が伸び悩んでいる場合、施策単位での改善だけでは根本的な解決につながらないこともあります。自社分析を通じて、戦略そのものを見直すきっかけになります。

・マーケティング戦略の立案・再設計
誰に、どんな価値を、どう伝えるのかという軸を定めるためにも、自社の立ち位置を明確にすることが重要です。

・パートナー選定や資本提携前の事前分析
他社と組む前に、自社の強みや補完すべき弱みを把握しておくことで、より効果的な協業が実現しやすくなります。

自社分析でやること・方法

次に、自社分析の定義と目的を整理した上で、自社分析においてやることを3つ紹介します。

①競合他社と比較する

自社分析でやること・方法 競合他社と比較する_インフグラフィック

自社分析は、自社単体だけを見ても十分ではありません。競合他社と比較することで初めて、自社の相対的な強みや弱みが浮かび上がります。

たとえば、自社では当たり前だと思っているサービス品質が、実は競合と比べて高い評価を得ている場合もありますし、逆に強みだと思っていた点が、他社ではすでに標準化されていることもあります。比較の視点を持つことで、戦略の精度が高まります。

②お客様の声を聞く

自社分析でやること・方法 お客様の声を聞く_インフグラフィック

社内の視点だけで自社分析を行うと、どうしても主観的になりがちです。そのため、顧客アンケートやレビュー、営業現場の声など、外部からの評価を積極的に取り入れることが重要です。

お客様がどこに価値を感じているのか、逆にどこに不満を持っているのかを把握することで、より実態に即した分析が可能になります。

③従業員にヒアリングを行う

自社分析でやること・方法 従業員にヒアリングを行う_インフグラフィック

現場で働く従業員は、自社の課題や強みを肌感覚で理解しています。
部門を横断したヒアリングを行うことで、経営層や管理部門だけでは見えにくい視点を得ることができるでしょう。

自社分析に使える代表的なフレームワーク

では、ヒアリングを通じて得た情報をどのように整理していけば良いのでしょうか。ここでは、自社分析に有効な3つのフレームワークを紹介します。

3C分析:「自社」の視点を掘り下げる

自社分析に使える代表的なフレームワーク 3C分析:「自社」の視点を掘り下げる_インフグラフィック

3C分析は、「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの視点から市場環境を整理するフレームワークです。
その中でも自社分析では、「Company」をどれだけ深く掘り下げられるかが重要になります。

具体的には、自社のリソース、ケイパビリティ、ブランド力、組織体制、技術力などを洗い出します。これによって、自社がどの領域で競争優位を築けるのか、逆にどこが弱点なのかが明確になるのです。

3C分析は全体像を把握するのに適しており、自社分析の入り口として有効です。

SWOT分析:自社の強み・弱みを体系的に整理

自社分析に使える代表的なフレームワーク SWOT分析:自社の強み・弱みを体系的に整理_インフグラフィック

SWOT分析は、自社の内部環境と外部環境を4つの要素に分けて整理するフレームワークです。

・強み(Strength)
・弱み(Weakness)
・機会(Opportunity)
・脅威(Threat)

強みと弱みは内部環境、機会と脅威は外部環境にあたり、これらを整理することで、自社を取り巻く状況を俯瞰的に把握できます。

SWOT分析はシンプルで使いやすく、多くの企業で活用されています。

クロスSWOT分析:戦略に落とし込む応用手法

自社分析に使える代表的なフレームワーク クロスSWOT分析:戦略に落とし込む応用手法_インフグラフィック

クロスSWOT分析とは、内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を掛け合わせて、具体的な戦略の方向性を考える分析手法です。
SWOT分析で現状を整理したあと、「では自社はどう動くべきか」を考えるために用いられます。

たとえば、強みと機会を組み合わせる場合は、市場の追い風を活かしながら、自社の強みを前面に出して成長を狙う戦略が考えられます。一方で、弱みと機会を組み合わせる場合は、課題をどう補いながらチャンスを取りにいくかが重要になります。

このようにクロスSWOT分析は、自社にとって現実的な戦い方を見極めるための手法と言えるでしょう。

自社分析の5つのステップ

自社分析の5つのステップ_インフグラフィック

自社分析は、フレームワークを知っているだけでは成果につながりません。ここでは、実務で使いやすい5つのステップに分けて、具体的な進め方を解説します。

ステップ1:社内情報の収集・整理

最初に行うべきは、社内に点在している情報を集め、整理することです。

売上データや顧客属性、人材構成、商品・サービスの特徴、過去の施策結果など、判断材料となる情報をできるだけ網羅的に洗い出します。

この段階で重要なのは、主観ではなく「事実」と「数字」をベースにすることです。

「強みだと思う」「弱い気がする」といった印象論だけで進めてしまうと、その後の分析がブレやすくなります。まずは客観的な情報を揃え、現状を可視化することが、分析の精度を高める土台になります。

ステップ2:分析フレームで構造化

次に、収集した情報を3C分析やSWOT分析といったフレームワークに当てはめて整理します。
フレームワークを使う目的は、情報をきれいに並べることではなく、視点の抜け漏れを防ぐことにあります。

枠に沿って書き出すことで、これまで曖昧だった自社の特徴や課題が言語化され、次の戦略検討につながります。

ステップ3:クロスSWOT分析で戦略仮説を作成

フレームワークで整理した内容をもとにクロスSWOT分析を行い、戦略の仮説を立てます。

ここでは「正解を出す」ことよりも、「どういう選択肢が考えられるか」を洗い出すことが重要です。
強みと機会を組み合わせるのか、弱みをどう補うのか、あるいは守りに入るべきかなど、複数の方向性を検討します。

この段階では完璧な戦略を作ろうとせず、たたき台を作る感覚で進めることで、チーム内の意見も引き出しやすくなるでしょう。

ステップ4:アクションプランに落とし込む

戦略仮説が見えてきたら、それを具体的なアクションプランに落とし込みます。
「誰が」「いつまでに」「何をするのか」を明確にし、分析を実行できるような状態にしましょう。

マーケティング施策であれば、メッセージ設計やチャネル選定、スケジュールまで落とし込むことが重要です。

自社分析の価値は、行動につながって初めて発揮されます。抽象的な戦略で止めず、実務レベルまで具体化することを意識しましょう。

ステップ5:部門共有・フィードバック

最後に、分析結果とアクションプランを関係部門と共有します。
自社分析は一部の担当者だけで完結させるものではなく、組織全体で共通認識を持つことが重要です。

社内で共有することで、新たな視点や現場ならではの意見が加わり、分析の精度が高まります。

また、市場環境や社内状況は常に変化するため、一度実施して終わりではなく、定期的にアップデートしていくことも欠かせません。

社内共有の手段となる「社内広報・社内マーケティング」の方法は、こちらの記事をご覧ください。
社内マーケティングとは?実践ステップや成功事例を紹介

自社分析のコツ

自社分析のコツ_インフグラフィック

自社分析は重要だと分かっていても、手が止まってしまうケースが少なくありません。ここでは実務でつまずきやすいポイントと、それを乗り越えるためのコツを紹介します。

AIを活用する

自社分析が進まない最大の理由は、「何から手を付ければいいか分からない」という漠然とした悩みでしょう。

そのような場合、AIを活用するのも有効な方法です。
自社サイトや顧客アンケート、レビューなどをAIに読み込ませ、SWOT分析のたたき案を作成することで、思いもよらなかった視点に気づけることがあります。

もちろんAIの結果をそのまま使うのではなく、あくまで補助的なツールとして活用することが前提です。しかし、ゼロから考える負担を減らし、分析を前に進めるきっかけとしては非常に有効でしょう。

AIを広報活動全般に活用する方法については、こちらの記事で解説しています。
無料で使えるAI文章作成ツールおすすめ11選|導入前に知るべき注意点と活用法

フレームワークに当てはめてアクション

自社分析で重要なのは、フレームワークで整理した内容を「具体的な戦略」に変換することです。

特にクロスSWOT分析では、自社の状況と戦略の方針を明確にすることで、マーケティングやPRのメッセージ設計に落とし込みやすくなります。

以下は、クロスSWOTを実務に活かす際の考え方を整理したものです。

戦略タイプ特徴メッセージの方向性キーワード例
SO(積極攻勢)強み × 機会王道・トレンド感「今こそ〜」「No.1」「業界初」「決定版」「〜の新常識」
WO(弱点補強)弱み × 機会共感・解決策「〜で諦めていた方へ」「実は〜なんです」「ついに実現」「手軽に」
ST(差別化)強み × 脅威信頼・安心感「変わらない品質」「選ばれ続ける理由」「プロ仕様」「リスクなし」
WT(防衛・撤退)弱み × 脅威絞り込み・特化「〜専用」「〜な人だけ」「あえて〜機能をなくしました」

たとえばスマレジでは、営業が顧客先に売り込みに行くのが一般的だった中で、営業人数に限りがあるという弱みがありました。
そこでオフィスにショールームを設け、顧客に来てもらう仕組みを構築することで、すべての商品を効率よく試せる体制を実現しています。

このように、弱みを前提に戦略を組み立てることで、結果的に強みへと転換することが可能になります。

また、価格の安さを売りにしている企業であれば、単に「安い」と訴求するのではなく、品質や信頼性を強調することで、「価格はほどほどだが安心して選べる」という印象を持たせる戦略も考えられます。

クロスSWOT分析は、自社に合った見せ方を考えるための実践的な指針となります。

クロスSWOT分析を企業に当てはめた例

では、代表的な企業を例に、実際にクロスSWOT分析をしてみます。自社の強み・弱みに置き換えて、応用してみてください。

ユニクロ

自社分析 ユニクロ 例

まずは、ユニクロの例をみてみましょう。

ユニクロStrength(強み)Weakness(弱み)
Opportunity(機会)SO戦略
SPAモデルと技術素材を武器に、グローバル市場での展開を加速
WO戦略
デザイン性への課題をコラボや限定企画で補い、新規層を獲得
Threat(脅威)ST戦略
品質・機能性を前面に出し、価格競争を回避
WT戦略
不採算店舗や地域の見直しにより経営効率を高める

ユニクロは、企画から販売までを一貫して管理できるSPAモデルや、機能性素材を活かした商品開発力といった大きな強みがある一方、トレンドやデザイン面では評価が分かれやすく、弱みと捉えられることもあります。

そこでクロスSWOT分析を見ると、ユニクロが単に弱みを放置するのではなく、コラボ商品や限定企画といった形でこの点を補完していることが見えてきます。また、強みと機会を掛け合わせた海外展開の加速は、実際の事業戦略とも一致しています。

ユニクロの事例は、強みを軸にしながら、弱みを戦略的にコントロールするSWOT分析の典型例と言えるでしょう。

トヨタ自動車

自社分析 トヨタ自動車 例
https://toyota.jp/index.html

続いて、トヨタ自動車の分析も見ていきます。

トヨタ自動車Strength(強み)Weakness(弱み)
Opportunity(機会)SO戦略
環境技術とブランド力を活かし、EV・次世代モビリティを推進
WO戦略
新技術分野での開発スピードを外部連携で補完
Threat(脅威)ST戦略
品質・安全性を軸に、激化する競争環境でも信頼を維持
WT戦略
為替・供給リスクを考慮し、生産体制を分散・最適化

トヨタ自動車は、高い技術力や品質・安全性に対する信頼、環境対応技術といった明確な強みがあります。一方で、事業規模の大きさゆえに、為替変動やサプライチェーンの複雑さといった課題も抱えています。

クロスSWOTの視点で見ると、トヨタは環境技術やブランド力を活かし、EVや次世代モビリティといった成長分野に挑戦するSO戦略を描いていることが分かります。
同時に、競争激化や外部リスクに備え、品質や信頼性を軸にしたST戦略や、生産体制の分散によるWT戦略も重要になります。

トヨタのSWOT分析は、「攻め」と「守り」を両立させる戦略設計の好例と言えるでしょう。

自社分析で陥りがちな失敗と対策

自社分析でよくある失敗の一つが、誰ターゲットにするかを明確にしないまま分析を進めてしまうことです。

たとえば、料理の提供が早いレストランは、忙しい人からは強みと評価されますが、ゆっくり過ごしたい人には弱みとなります。ペルソナを意識しないと、SWOT分析の軸がぶれてしまいます。

また、データ不足や思い込み、分析者の主観も落とし穴です。
定量データと定性情報をバランスよく使い、第三者の視点を取り入れることで、より精度の高い分析が可能になります。

まとめ:まずは自社を「見える化」することから始めよう

PR会社

自社分析は、自社の強みや課題を整理し、将来の戦略を描くために欠かせない取り組みです。

3C分析やSWOT分析、クロスSWOT分析といったフレームワークを活用することで、漠然としていた自社の立ち位置を「見える化」することができます。

一方で、分析だけを続けていても成果にはつながらず、実践的なアクションプランに落とし込んで実行する必要があります。日々の業務に追われる中で、それらのすべてを自社だけで実現することは難しいでしょう。
戦略設計から実行、改善までを一貫して行うためには、専門的な視点や外部のサポートが必要になる場面もあります。

シェイプウィンでは、自社分析を活用しながら、SNS、マーケティング、SEO、PRまでを横断的に支援しています。分析結果を「使える戦略」に落とし込み、実行まで伴走できる点が強みです。
まずは現状の整理からでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。