“Withコロナ”という「ニューノーマル」(新常態)によせて

Date: 2020.07.16
Category: 広報/PR全般
Written by: 梅下 武彦

気がつけば、2020年もあっという間に半分が経過しました。正月休みが明けて、新しい年の日常生活がはじまったとき、その後に世界的な規模で私たちの生活すべてが根底から覆ってしまうと、いったいだれが想像しえたでしょうか。

今回の新型コロナウイルス(COVID-19)の報道があったのは確か12月下旬で、中国湖北省武漢が発生源で、印象としては呼吸困難を引き起こすSARS(重症急性呼吸器症候群)と同じような印象でした。

1月の中旬、日本国内で新型コロナウイルス感染者の報道がありました。感染者は中国人男性でしたが、それでも当初は「対岸の火事」というようなものでした。

2月にはいり、豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号内での感染が連日メディアでも大きく報道され、いきなり「隣の火事」になります。

その後の数ヶ月、恐ろしいほどの勢いと早さで全世界へと感染症が広がり、世界を覆い尽くしています。この新型コロナウイルス感染症拡大(パンデミック)の災禍を免れた産業や業種はなく、ビジネスから文化・芸術、スポーツやエンターテイメント分野などを問わずにすべての分野におよんでいます。

しかも、クラスターでない限り、いつ・どこで・どのようにウイルスに感染するのか、重篤化しやすく致死率も高く、さらにはその感染経路が不明なことが多いために不安をより増大させています。

私たちは働きかただけではなく、家族や自宅での過ごしかたをはじめ、さまざまな時間の過ごし方を問われていることに、だれも異論を挟まないにちがいありません。

“Withコロナ”という「ニューノーマル」(新たな日常)

withコロナの看板

AFP通信が発表している新型コロナウイルス感染症の状況によれば、6月30日現在、世界196の国・地域で感染者数は約1,000万人以上、死亡者数は約50万人を越えています。

私たちは、これまでにもいくつかの感染症を経験してきました。最近だけでも、エイズウイルスエボラ出血熱SARS(重症急性呼吸器症候群)MERS(中東呼吸器症候群)など、人間は致死率の高い感染症ウイルスに襲われてきました。

ほかにも、食糧として重要な動物による狂牛病鳥インフルエンザ豚インフルエンザなどもあります。

4月8日に非常事態宣言が発令され、5月25日にいったんは解除されました。しかし、その後にふたたび感染者数が増加しています。これは日本だけではなく、ニュースなどでも、外出禁止令を徐々に解除した国ではどこでも同様な状態です。

いつ、感染者数の増大にふたたび転じても不思議ではないのです。

私たちのこれからの数年間は、日常生活においてつねに次の3つの行動基準を厳守することが求められています。どこの施設や店舗でも、下記の3つを要請する案内が張り出されているのをだれでもが目にします。

(1)もはや生活必需品となったマスク

マスクを着けることがなかった欧米ですら、外出時にマスクを装着しています。ECなどでは、公共交通機関を利用する場合にはマスクが義務づけられています。日本でも、マスクを二重に着けている人、マスクに加えてフェイスシールド(ガード)までも着けているほどです。

現在では、あらゆる業種がマスク製造に乗り出しています。今後マスクは、コーディネイトするファッションアイテム(ブランド)になります。

素材、色と柄、機能、デザインなどが多様になり、使い捨て不織布マスクではなく(それでも残りますが)、洗濯して繰り返し使えるマスクが主流になるでしょう。とくに環境意識の高いEUでは、廃棄物が増えることをさけるためにもそうしたマスクが求められるでしょう。

(2)どこの店舗や施設でも店内に常備している消毒液

どこの店舗や施設に入るときも、店頭には手を消毒するための液体が常備されています。店によっては、入店時に店員が入り口で消毒をうながすことがあるほどです。また、個人でもウエットティッシュ、消毒液などを携帯し、家庭でも常備する状況です。

また、スーパーの店員がレジカゴの取っ手を消毒や、駅員が改札口そばの自動販売機やロッカーなどを消毒スプレーで拭いている状況を目にすると、今回の新型コロナ感染症をいかに恐れているかがわかります。

(3)そしてソーシャルディスタンシング(常に他者との間隔を一定に保つこと)

スーパーやコンビニかぎらずファーストフードなどで列に並ぶとき、あるいは飲食店などで食事をするときにも、他者との間隔を保つために席を空けて座るようになっています。そうしたこともあり、これまでテイクアウトには見向きもしなかったような飲食店でも、持ち帰り用のメニューやランチ時の弁当だけではなく、全メニューがテイクアウトできる店もなかにはあるほどです。

それまで、利用したことがない店のメニューを手軽に楽しむことができる一方、デリバリー専門業種にとっては脅威になります。

私たちの新しい生活は、上記の3点を遵守することが求められる「新たな日常」あるいは「新常態」となります。

つまり、すべてがコロナウイルス感染リスクにさらされながら、自衛した生活行動とならざるをえないということです。それは、私たちの日常行動だけではなく、政治・経済をふくめたあらゆるものが「ニューノーマル」と言われる時代に入ります。

おそらく、現在の状況から判断して数年(2〜3年)は続くでしょう。仮に、治療薬やワクチンが開発されても、安心はできません。なぜなら、感染拡大の終息はあってもウイルスを根絶することは不可能だからです。

これはインフルエンザの流行で学級閉鎖などが毎年発生していることを考えただけでも、容易にわかることです。インフルエンザのワクチンや治療薬はあっても、けっしてウイルスそのものがなくなることはありません。また、鳥インフルエンザや豚インフルエンザも、私たちが忘れたころにその発生をニュースで知ることになります。

IPS細胞研究者の山中伸弥教授は、これからはこの新型コロナウイルスと共存して生活しなければならないという言葉は、否定のしようのない現実です。

ウイルス後の「後」は、残念ながら“After”でも“Post”でもなく“With”しかありえないのです。

スマートワークとスマートマネジメント

テレワークの風景

今後の働き方では本社機能の縮小がすすむでしょう。すでに米国だけではなく、日本でも社員が集まるオフィスを廃止または解約しているニュースをいくつか目にしている人も多いでしょう。

テレワークと一口にいっても、いろいろな形態があります。

在宅勤務、いろいろな出先でのリモートワーク、シェアオフィス、コワーキングスペース、サテライトオフィスなどです。そうした業務の円滑な推進方法が、これからも模索されながらも増えて発展していくでしょう。

なかでも、在宅勤務では幼い子どもがいる人たちは仕事に集中しにくい、またオンとオフの切り替えが難しいことなどがあります。そうした事態を勘案し、自宅から近いシェアオフィス、コワーキングスペースを借りる場合、定期代の代わりに企業負担でそうした働きやすい場(環境)を用意するようになります。そうした空間は大手であれば、自前でもつくることができるでしょうし、それが当たり前になります。

就業形態も多様化し、例えば在宅勤務、シェアオフィス、コワーキングスペース、サテライトオフィスなど、一定の距離範囲内に住んでいる人たちはそうしたオフィス空間を拠点にするようになります。またそれに対応し、テレワーク就業規則も整えられるでしょう。

こうした働き方の大転換は、これはICT企業だけではなく、大手企業もふくめて一層推進されるでしょう。面接や採用もオンラインで行われ、東京の企業に就職希望していても地元や好きな地域や環境で仕事ができるようになり、通勤電車で時間をかけて通う必要性がなくなりますし、海外の優秀な人材を採用することも可能となります。

管理職の人たちも、そうした環境の激変に長けた人が求められます。旧来の部下を管理(コントロール)することではなく、試行錯誤をしながらでもやりくり(マネジメント)するスマートマネジメントできる人だけが必要とされるでしょう。

企業の経営戦略では、今回のような事態に備えて内部留保を強化しようという方向にシフトするでしょう。そうしたこととあわせて、賃金の上昇もみこめませんので、副業(複業)もすすむでしょう。さらにはプロボノ(自分のスキルを活かした社会貢献活動)に励む人も歓迎されるでしょう。

そうした複業活動でえた知見や人、多様なネットワークの恩恵から、むしろ新たなビジネス(製品やサービス)チャンスの獲得や誕生も考えられます。

消費行動も、これまでのように消費を楽しむ生活から賢い堅実な消費をしつつ貯蓄に励むようになるでしょうから、前のように旺盛な消費生活に完全に戻ることはおそらくないでしょう

一方では、今回のテレワークなどあらゆることがデジタルテクノロジー(DX)へ転換されることによる課題も浮き彫りになりました。ある課題を解決することが、新たな別の課題が生むあるいは浮き彫りするのは避けがたい常です。例えば、情報漏洩やセキュリティ問題、DV(子どもの虐待を含む)、テレワーク鬱病、ピンチをチャンスにとはよくいわれている言葉ですが、そうした新たに発生する課題に直面する状況も続きます。

コミュニケーション戦略の大転換

ビデオ会議をする男性

景況環境に左右され景気が悪くなれば、最初にカットされるのはマーケティングコミュニケーション(広告、PS、PRなど)に関する予算です。調査でも、前年同月比で6割以上減少しています。一方では、今回の事態に大多数がさらに新しいコミュニケーション手法に取り組んでいく必要性を感じています。

ソーシャルメディアの登場は、マーケティングコミュニケーション戦略におけるPRに拡張性をもたらしました。今回のコロナショックは、PRの重要性をさらに一段高めることになるでしょう

なぜならば、今回のコロナショックは消費行動と心理(価値観)が大きく変化せざるをえないからです。「巣ごもり消費」という言葉がありますが、これはある断面だけを表しているだけで、その先には消費者のライフスタイルの変化によるビジネスドメインの転換や革新が待ち構えているのです(機会があれば、これについては別途記事にする予定)。

したがって、企業もそうした市場環境(社会)とのコミュニケーションが、製品やサービスの広告と同等あるいはそれ以上に、リスクマネジメントを軸にした企業姿勢(取り組み)ーーとくに国際社会共通の “SDGs”(エスディージーズ)の大きな17の目標ーーを重視したコミュニケーション戦略がますます消費者からも重要視されるからです。そういう視点では、PR業務や人材の一層のスキルアップが要求されるでしょう。

リモート取材(インタビュー)、オンライン記者発表会、オンラインイベント(ウェビナーやテレカンファレンスなど)と、これまでのPR業務以上に業務の効率化と迅速化、さらには円滑化が不可欠になります。計画立案に時間をかけ熟考しすぎるより、的確な状況判断力で試行錯誤しながらも創意工夫で柔軟な対応力のある人が求められます。

「働き方復古」の可能性はない

今回のコロナショックは、世界的規模でそれまでの人々の日常を奪ってしまいました。

コロナショック以前の生活に戻れる可能性はあるしょうか。もちろん、これまでのような働き方や生活を望んでいる人たちもいるでしょう。あるいはウイルス感染症の不安や恐怖がなくなり、穏やかな日常をすごせるように希求するのは当然です。

これからの私たちの生活、もっといえば経済活動全体が、コロナショック以前の生活に完全に戻ることはないことを認識しておかなければなりません。

もちろん、かつての働き方(職場)を望んでいる人たちもいるでしょう。コロナショックが終息したあと、もし「働き方復古」にでもなればこの事態の経験はなんの意味もなくなってしまうことだけは確かだと、おそらくだれでもが気づいていることではないでしょうか。

人は環境に慣れる生き物です。もしもふたたびコロナ感染症が拡大することがあるとしても、「ニューノーマル」に適応していればそうした事態にあわてることはなくなります。

ニューズウイーク日本版の「新型コロナは社会変革を促す「黒船」だとも言えるだろう。」という記事を目にしましたが、言い得て妙です。

私たちは、今回のコロナショックを奇貨とする覚悟を持つしか道はない、という考え方をすべきではないでしょうか。

 

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