競合分析はどうやる?VRIO分析とSWOT分析の違いも解説

競合 分析 やり方

競合分析は、単に「ライバルが何をしているか」を知ることではありません。
本当に必要なのは、「自社がどこで勝てるのか」「どの領域を守るべきか」を見極め、経営やマーケティングの意思決定に活かそうとする視点です。

特に中小企業にとっては、限られたリソースをどこに集中させるかが成果を大きく左右します。

本記事では、競合分析の基本知識からよく使われるフレームワーク、具体的な手順、マーケティングへの落とし込み方までを体系的に解説します。

この記事の要約
・競合分析は「情報収集」ではなく「戦略設計」のためのプロセス。
・分析の質を高めるには、フレームワークを目的別に使い分けることが重要。
・分析結果をマーケティングやPR施策に繋げることが成果を生む鍵。

競合分析とは?目的と基本概念

競合分析とは?目的と基本概念_インフォグラフィック

「競合分析」とは、競合企業の戦略、強み、弱み、市場での立ち位置を把握し、自社の意思決定に活かすための分析プロセスです。

競合分析を行うことで、市場の構造や顧客の選択理由が明確になり、自社の戦略の方向性が見えてきます。
直接競合だけでなく、間接競合や代替競合までを整理することで、より現実的な戦略設計が可能になるでしょう。

競合分析は単なるマーケティング施策ではなく、経営判断の土台となる重要なプロセスなのです。

なぜ「競合分析」が重要なのか

市場環境の変化が激しい現代において、以前の成功が今も通用するとは限りません。

その中で競合分析は、「現在の自社の立ち位置」を明確にし、客観的に把握するための重要な手段となります。競合の動きを理解することで、自社の強みや弱みが浮き彫りになり、差別化の方向性を見出すことができるのです。
他社との差別化ができることで、終わりなき価格競争を避けることにもつながります。

競合の戦略を理解した上で、自社が取るべきポジションを明確にすることが、持続的な成長につながります。

競合分析に使えるフレームワーク

競合分析を効果的に行うためには、情報を整理し、意思決定につなげる「フレームワーク」の活用が欠かせません。
ただし、すべてのフレームワークを使えばよいわけではなく、目的に応じて選択することが重要です。

ここでは、競合分析で特に活用される代表的なフレームワークを解説します。

3C分析

競合分析 やり方 3C分析_インフォグラフィック

「3C分析」とは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点で市場を分析するフレームワークです。

競合分析においては、競合がどの顧客にどのような価値を提供しているかを整理することで、自社のポジショニングを明確にできます。
たとえば、競合が価格を重視している場合、自社は品質やサポートで差別化する余地が見えてきます。

3C分析は、市場全体の構造を俯瞰し、自社の戦略を設計するための基本的なフレームワークと言えるでしょう。

SWOT分析

競合分析 やり方 SWOT_インフォグラフィック

「SWOT分析」とは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの視点から、自社を取り巻く状況を整理するフレームワークです。

競合分析においては、競合企業の強みと弱みを明確にすることで、戦略の方向性が見えてきます。
たとえば、競合の強みがブランド力である場合、自社はニッチな市場に特化する戦略が見えてくるでしょう。

ポーターの5フォース分析

競合 分析 やり方_インフォグラフィック

「5フォース分析」とは、業界全体の競争構造を理解するためのフレームワークです。
既存競合の強さ、新規参入の脅威、代替品の存在、買い手の交渉力、売り手の交渉力という5つの要素から、業界の競争環境を分析します。

この分析により、業界がどれほど利益を生みやすいか、参入障壁がどの程度高いかを把握できます。

競合分析を「企業単位」ではなく「業界構造」の視点で捉えることができる点が、5フォース分析の大きな特徴です。

ポジショニングマップ

競合 分析 やり方_インフォグラフィック 

「ポジショニングマップ」とは、価格や品質などの2軸を用いて、競合と自社の位置関係をマップに可視化する手法です。
競合が集中している領域と空白地帯を把握することで、自社が狙うべきポジションが明確になります。

また、STP分析と併用することで、ターゲットに対して自社がどのような価値を提供できるかを具体化できます。

ポジショニングマップは、競合との差別化を視覚的に理解できる点で、マーケティング戦略の設計に非常に有効です。

VRIO分析

競合 分析 やり方_インフォグラフィック

「VRIO分析」は、自社の経営資源が競争優位につながるかを評価するフレームワークです。価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Inimitability)、組織(Organization)の4つの視点から分析します。

SWOT分析が「現在の強み・弱み」にフォーカスしているのに対し、VRIO分析は「持続的な競争優位性」まで考慮している点が特徴です。

競合分析においては、競合だけでなく自社の資源を改めて把握するために活用される手法です。

フレームワークを選ぶポイント

フレームワークは目的に応じて選択することが重要です。

市場参入の判断には5フォース分析、差別化戦略にはポジショニングマップ、競争優位の評価にはVRIO分析など、役割は異なります。

複数のフレームワークを組み合わせることで、分析の精度は大きく向上します。
競合分析を成功させるためには、「どのフレームワークを使うか」ではなく、「何を明らかにしたいか」を起点に考えることが重要です。

競合分析のやり方とステップ

競合 分析 やり方_インフォグラフィック

競合分析は、体系的なプロセスに沿って進めることで、経営やマーケティングの戦略を練る際に活用しやすくなります。

ここでは、実務で活用できる具体的なステップを解説します。

ステップ1:競合をリストアップ

まずは、競合の範囲を定義し、競合を洗い出します。

直接競合だけを見ていると、顧客が比較している間接競合・代替競合を見落としてしまう可能性があるため、「直接/間接/代替」に分けて分析対象の土台を固めましょう。

競合は以下のような方法で見つけることができます。

・検索結果(サービスサイト、LPなど):主要キーワードで上位10〜20社を抽出
・広告出稿:検索上部の広告表示やリターゲティング有無の確認
・SNS:公式アカウント、ハッシュタグ、投稿頻度、エンゲージメントの把握
・口コミ・レビュー:Googleビジネスプロフィール、ECレビュー、BtoB導入事例コメントの確認
・業界メディア・比較サイト:業界カテゴリ内における主要プレイヤーの把握
・IR・プレスリリース:事業戦略や重点投資領域など中長期方針の確認

企業名のリストアップだけで終わらせず、分類(直接/間接/代替)と、なぜ競合に入れたかの一言までセットにするとわかりやすいでしょう。

ステップ2:市場調査

次に、市場調査を行います。

市場調査には一次調査と二次調査があります。
「一次調査」とは顧客インタビューやアンケートなど直接得られる情報を指し、「二次調査」とは業界データや統計情報などの既存の資料に基づいて行われます。
両者を組み合わせることで、市場の実態を立体的に理解できるでしょう。

具体的には、以下のような調査方法があります。

市場調査は、競合分析を単なる企業比較ではなく、市場構造の理解へと昇華させるための重要なステップです。

ステップ3:競合の情報収集

競合の価格、サービス内容、顧客層、強み・弱みなどの情報を収集し、整理していきます。
ここでは定量情報だけでなく、ブランドイメージやコミュニケーション戦略といった定性情報も重要です。

たとえば、Webサイトや広告コピーからは、競合がどういった価値を訴求しているかを読み取ることができます。

このステップは単なるデータ集めではなく、「競合の戦略を読み解く」作業であることを踏まえて行うことが重要です。

ステップ4:分析フレームワークを使って整理する

収集した情報を、上で紹介したようなフレームワークに落とし込みます。

実務では、以下のようなフレームワークの使い方が一般的です。

・SWOT:競合の強み・弱みを可視化し、差別化できるポイントを探す
・5フォース:業界の参入障壁・価格競争の起こりやすさを把握する
・ポジショニングマップ:2軸を用いて「空白地帯」を見つけ、差別化の方向性を定める
・VRIO:自社の強みが「持続的な優位性」かを見極める
・4P/4C:施策(プロダクト・価格・販路・プロモ-ション)に落とし込む

フレームワークを使うことで情報が構造化され、戦略の方向性が見えやすくなります。ただし、フレームワークを使うこと自体が目的にならないよう注意しましょう。

△ポジショニングマップにまとめた例

ステップ5:自社との比較と戦略仮説の立案

最後に、自社と競合を比較し、自社が優位に立てる領域を見つけます。その上で、「どの市場を狙うか」「どの価値を訴求するか」といった戦略の仮説を立てます。

競合分析は、この仮説を導き出すためのプロセスであり、最終的には意思決定につなげることが求められます。

以下のような表に整理することで、比較しやすくなるでしょう。

自社競合A競合B
プロダクト
マーケットシェア
ターゲット
強み

マーケティング目線で見る指標・KPI

競合 分析 やり方 

競合分析の目的は、分析すること自体ではなく、実際のマーケティング施策に反映させることです。
そのためには、競合との差を感覚ではなく数字で捉え、自社がどこに投資し、どこを改善すべきか判断できる状態まで持っていくことが重要です。

ここでは、競合分析の結果を事業の成果に結びつけるために、押さえておきたい指標とKPIを解説します。

SoV

「SoV(シェアオブボイス)」とは、競合と比較した情報発信量を示す指標です。

広告やSNS、検索結果などにおける露出の量を測定することで、自社の認知度を相対的に把握することができます。

SoVが高い企業は市場での存在感が強い傾向にあるため、競合分析にSoVを取り入れることで、ブランド力の差を定量的に理解できるでしょう。

認知度

認知度は、ブランドの浸透度を測る重要な指標です。

調査データや検索ボリュームを活用することで競合との差を把握でき、この差は、施策の成果が出るスピードや、広告・PRの効果の出やすさに直結します。

競合より認知度が低い状態では成果が出にくいマーケティング施策もあるため、認知度を把握することは、マーケティング施策の順序を誤らないためにも重要です。

SEO

SEO分析は、競合がどの検索ニーズを押さえているかを把握し、自社が勝てる余地を見つけるための重要な施策です。

特に、検索需要はあるものの競合コンテンツの質が低いキーワードは、中小企業にとっても大きなチャンスになるでしょう。

SEOの競合分析は、コンテンツ戦略の設計に直結する重要なプロセスです。

SNS

SNSのフォロワー数やエンゲージメント率は、競合の影響力やブランドへの共感度を測る指標となります。

競合がどのような内容を、どの頻度で発信し、どの投稿が反応を得ているかを分析することで、市場で響いているメッセージの傾向が見えてきます。
競合分析を通じてこの傾向を把握することで、自社のSNS戦略のヒントも得られるでしょう。

SNS分析についてはこちらで詳しく解説しています。
SNS分析活用テクニック:プラットフォーム別の分析方法も解説

UGC

UGC(ユーザー生成コンテンツ)は、顧客の評価や不満といった声を把握できる貴重な情報源です。

企業が発信するメッセージとは異なり、UGCには顧客が比較検討時に重視している判断軸がそのまま表れます。

競合分析にUGCを取り入れることで、机上の戦略ではなく、実際の顧客の視点に基づいた差別化ポイントを見つけることができます。

よくあるミスと注意点

競合 分析 やり方_インフォグラフィック

競合分析は、やり方を誤ると「それっぽい資料」を作っただけで終わってしまいます。
ここでは、実務で特に多い失敗例を整理し、分析を戦略につなげるために注意すべきポイントを解説します。

調査対象が偏る/数字に偏重する

競合分析では、目立つ数社だけを見たり、数値データだけを重視しすぎたりするケースが少なくありません。しかし、それでは市場全体の構造や、顧客が実際に比較している選択肢を見落とす可能性があります。

数字は重要ですが、それだけでは「なぜその差が生まれているのか」は見えてきません。自社の分析のみでは主観が入ってしまう場合は、外部の視点を取り入れることも検討しましょう。客観的な視点も加わることで、分析の質と実行力を高めることができます。

確証バイアスがかかっている

分析においては、自身の仮説を裏付ける情報に目が行ってしまいがちです。
競合分析では、「自社はここが強いはずだ」という前提を疑い、不利な情報や想定外の事実にも目を向ける姿勢が欠かせません。

確証バイアスを意識的に排除することで、より現実的で実行可能な戦略を導き出すことができます。

分析しただけになっている

競合分析は、分析だけでは単なる情報整理に過ぎず、経営やマーケティングにおいて価値を発揮することができません。

分析結果をマーケティング施策やPR戦略に反映し、検証と改善のPDCAサイクルを回しましょう。

競合分析は、それ自体が「目的」ではなく、次の戦略を決めるための「手段」だと捉えることが重要です。

競合分析に役立つツール無料版も紹介!

競合分析は、必ずしも高額なツールを導入しなければできないわけではありません。
最初は無料ツールや無料プランを活用し、競合分析を始めてみましょう。

ツール名主な用途・分析領域分析できる内容向いているケース
SimilarWeb(シミラーウェブ)Web集客・競合サイトの推定トラフィック量・流入チャネルの内訳(検索/SNS/広告など)・ユーザー属性・地域分布・競合がどの集客チャネルに注力しているかを把握したい場合・Webマーケ全体の戦略の差を俯瞰したい場合
AhrefsSEMRushSEO被リンク数、被リンク元・獲得キーワードと検索順位・ドメインパワー・キーワード重複率・SEOで競合に勝てる領域を見つけたい場合・コンテンツ戦略やキーワード設計を精緻化したい場合
GoogleキーワードプランナーSEO・広告・キーワード検索ボリューム・関連キーワード・広告出稿状況・競合性・競合が狙っている検索ニーズを把握したい場合・SEOとSEMを横断して戦略を考えたい場合
SNS分析ツール(例:Social InsightSNS・フォロワー数・増減推移・投稿頻度・エンゲージメント率・投稿内容の傾向・競合のSNS影響力や発信傾向を把握したい場合・自社SNS運用の改善点を見つけたい場合

また、競合企業のホームページ閲覧やIR資料プレスリリースの調査も非常に有効です。

これらの公開情報からは、競合がどの事業領域に注力しているのか、新商品や新サービスをどの方向で展開しようとしているのか、さらには戦略的な提携や投資の動きまで読み取ることができます。

特にBtoB業界においては、企業が公式に発信している情報がそのまま戦略の表明であるケースも多く、表面的な数値データよりも信頼性の高い一次情報源となるでしょう。

競合分析においては、ツールによる定量データと併せて、こうした情報を丁寧に読み解くことで、競合の「本音」や中長期的な狙いを把握しやすくなります。

よくある質問

競合 分析 やり方 よくある質問

ここでは、シェイプウィンがマーケティング支援を行う中で、競合分析に関して特に多く寄せられる質問に実務目線で回答します。

おすすめの競合分析ツールは何ですか?

競合分析ツールには、Web集客、SEO、SNS、広告など、それぞれ得意分野があり、目的によって使うべきツールは異なります。そのため、1つのツールですべてを完結させようとするのではなく、「何を知りたいのか」に応じて使い分けることが重要です。

「Web全体の集客状況を把握したいのか」「検索流入やSEOの強さを見たいのか」「SNSでの影響力や反応を比較したいのか」といった目的を先に明確にすると良いかと思います。

まとめ:インナーマーケティングは広報・PRの基盤

PR会社

競合分析は、企業の成長戦略を支える重要なプロセスです。

しかし、フレームワークを使って分析するだけでは、実際の成果にはつながりません。市場、競合、自社を横断的に理解し、マーケティングやPR、SEO、SNS施策にまで落とし込むことで初めて、競合分析は価値を持つのです。

一方で、競合分析には多くの時間と専門知識が必要なため、すべてを自社だけで網羅することは簡単ではありません。特に中小企業にとっては、日々の業務と並行して高度な分析を行うことは大きな負担になるでしょう。

だからこそ、戦略から実行までを一貫して支援できるパートナーの存在が重要になります。

シェイプウィンでは、SNS、マーケティング、SEO、PRを総合的に支援し、競合分析を成果につなげるための実践的な支援を行っています。まずは自社の状況を整理するところから、お気軽にご相談ください。

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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。