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私の広報PRプレスリリース修行・経験談

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PRに不可欠なプレスリリース。現在ではいくつものプレスリリース配信代行企業があり、豊富なサービスを競っています。また、プレスリリースの書き方を指南してくれるセミナーやノウハウ本なども充実し、さらには多彩なソーシャルメディアを活用して情報を届けることができるなど、とても羨ましい環境となっています。
今回、私のプレスリリースについての経験談や考え方を語ることで、みなさまになにがしかの気づきやヒントになれば嬉しく思います。

「日経プレスリリース」で修行した経験

日経プレスリリース
日経プレスリリース

ベンチャーやスタートアップは無名であり、大きな企業のような広告・宣伝費の余裕がありません。私自身、それまでにもマーケティング戦略、企画書の書き方などすべて独学です。未経験のプレスリリースや広報についても、同じように独習しました。その教材として利用していたのが、「日経プレスリリース」でした。

2000年当時、企業の発表・公表するリリースを全文掲載しているのは同メディアしかありませんでした。もちろん、同メディアが掲載するのは主に大手企業だけで、認知度のない企業、ベンチャーやスタートアップ企業などのリリース掲載は現在でもほとんどありません。それに比べ、今日では便利なプレスリリースネット配信代行サービスがあり、依頼するときにはどこの企業を選択すべきなのか悩んでしまうほど数多く存在しています。

プレスリリースというのは、メディア業界(主に新聞、雑誌、テレビなど)の担当記者や編集者が情報を求めて閲覧する内容です。それら情報を元に、各種メディアが記事にして消費者に届けることになります。したがって、プレスリリースの文章はメディア向けに書かれています。業界向けであるので、どうしても文章は硬いですし、事実だけを客観的に書くようにするので無味乾燥な文体になります。

しかし、武道、書道などでもそうですが、基本の型から入るのは定石です。まず、始めに正しい型を身につけ、それを繰り返し練習することから第一歩がはじまります。私は、自分が関連するビジネス分野(IT、サービスなど)のプレスリリースを毎日チェックし、とにかく自分のプレスリリース作成時に役立ちそうな内容は片っ端からクリッピングしていきました。

プレスリリースのタイトル、日付、企業名、リードと続き、その後に小見出しを含めた本文内容を書きます。

文末には、問い合わせへの連絡先(Eメールアドレス、電話番号、担当者名など)というのが一般的な定型のスタイルです。

さらに、これに必要書類(製品やサービスのスペック、画像データなど)を添付してメディアへ送ります。

「Venture Now」との出会い

人の出会い

今とはなっては、どこで知ったのか覚えていないのですが、それは多分、なにかの情報を検索していて偶然発見したのだと思います。それが「Venture Now」というウェブメディアでした。同メディアは、2000年5月に開設して主としてインターネットベンチャービジネスに特化したニュースサイトです。しかも、北は北海道から南は沖縄までまんべんなくカバーし、IT分野だけに限らずそうした情報を独自の視点で提供していました。

今日では、「ベンチャータイムス」、「The BRIDGE」、「ベンチャー通信On Line」、「entrepedia」、「ネットベンチャーニュース」等々、ベンチャー系情報に関する専門メディアに限っても競い合っているほど、なんともありがたいメディア環境です。

しかし、2000年代前半当時は「Veture Now」しかありませんでした。私は代表の方に連絡をとって直接お目にかかり、いろいろとお話ししました。また、同メディアは掲載する前には、必ず電話による簡単なインタビューを実施し、直接担当者から話しを聞くことも特長でした。同メディアも上記の「日経プレスリリース」と同様、もちろん業界関係者が閲覧していたメディアです。

特にベンチャーキャピタル、大企業の新規事業担当者は小まめにチェックしていて、そうした人たちに情報を届けるには最適なメディアでした。ですから、同メディアに掲載されると決まってベンチャーキャピタルから電話がかかってきました。

その後、私は2つのベンチャー企業を渡り歩くことになるのですが、そこでも同メディアには随分とお世話になり、リリース時には必ず掲載をしてくださったのでいまでも感謝しています。しかし、今日では上記でも述べたように、ベンチャー系メディアも百花繚乱の様相を呈しており、そうしたメディア環境の変化もあってか、残念ながら現在ではこのメディアは存在していません。

今日のプレスリリースのあり方とは

ニュースメディア

ソーシャルメディア(特にFacebook、twitter、LINEなど)が多く存在し、既存メディアに頼らなくても自社の情報を一般消費者に直接届けることが可能な社会です。そうしたメディア環境であっても、プレスリリースは基本で必要です。ソーシャルメディアだけでは、つながっている人たちにしか届きませんし、そうした人たちがシェアしてくれてもやはり限界があります。

一方、リリースが大手メディアなどに取り上げられれば、それらの情報閲覧者に一斉に情報を届けることができます。また、そうしたメディアでもソーシャルメディアを活用していますので、それらのメディア上でもシェアされ、さらにはGoogleニュースやYahooニュース、加えてスマホ向けのニュース専門アプリ(スマートニュース、グノシーなど)でも配信となれば、リーチする人々の数、拡散率が格段に違ってきます。

ここで留意する点が2つあります。

プレスリリースの文章はできるだけ絞り込むこと

1つは、プレスリリースの文章を書くときは伝えたい内容はあれもこれもと詰め込みすぎず、できるだけ絞り込むことです。また、どうせ配信するのだから、できればついでにこの情報も書いておこうというのは避けなければなりません。情報が多すぎると、読んだメディアの人たちは記事にする焦点が定まらないので困惑してしまいます。

煩わしさと配信料を惜しまず、むしろ別の情報として配信すべきです。
関連記事:メディアに刺さるニュースバリュー:ニュースバリューの高め方を解説

ソーシャルメディアとメディア向けでは全く異なる

2つめは、メディア向けに書く文章とソーシャルメディアに掲載するときのそれはまったく異なるということです。以前、あるセミナーの懇親会で「いいね!」がなかなか増えないというある企業の相談を受け、Facebook公式ページを拝見するとプレスリリースの文章をそのまま掲載していました。

リードが書いてあり、それをクリックすることで企業サイトで全文が読めるようにしてありました。これは以下の2つの点で致命的です。

第一に、先述したように、プレスリリースの文は記者やライターなど業界人向けの書き方や内容にもかかわらず、それをそのまま一般消費者にも読んで欲しい(あるいは読ませたい)と勘違いしていることです。

第二に、ソーシャルメディアに対する意識が旧来のメディアと同じです。オーディエンスとのつながり(コミュニティ)に自ら積極的に入っていき、ひとり一人と傾聴や対話をリアルな人間関係と同じように繰り返すことから始めなければなりませんが、それができていないからです。

要するに、従来型のメディアでの姿勢や態度をそのままソーシャルメディアで業務として実施しているだけなのです。では、どうすればよいのでしょうか。

それには、活用しているソーシャルメディア特性(男性・女性、年齢層、ライフスタイルなど)を考慮し、そうしたオーディエンスに読んでもらえるような文体で書く、場合によってはカジュアルな口語体で語りかけるようにすることです。

さらにいえば、プレスリリース内容を身近な生活のトピック、季節や社会の旬のテーマや話題と絡めて書くような創意工夫も必要です。これは実に煩雑で手間暇がかかることです。担当者には文章力が求められます。

そういう視点に立てば、今日の人たちの方がソーシャルメディアに関してはむしろ有利ともいえます。なぜならば、すでにソーシャルメディア上で日常的にコミュニケーションする術を身につけているからです。

リリース配信各社では、無料あるいは有料によるメディア向けの正式なリリース文章作成のノウハウを教えてくれるサービスを提供していますので、それらを利用することもできます。また、書店に出向けばプレスリリース文章の書き方を伝授してくれる本もいくつも見つかります。

プレスリリース文章は、そうした配信代行会社に丸投げするのではなく、できれば自分で書くことをおすすめします。

さらに、ソーシャルメディア上にその情報を掲載する場合、はじめて内容を読む第三者(信頼でき、読んで欲しい層の人が理想的)に確認してもらい、伝えたい内容がきちんと届けられるか(興味や関心を喚起するか、魅力的だと感じるかなど)否かチェックすることができればなおよいでしょう。

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梅下 武彦
コミュニケーションアーキテクト(Marketing Special Agent)兼ブロガー。マーケティングコミュニケーション領域のアドバイザーとして活動をする一方、主にスタートアップ支援を行いつつSocialmediactivisとして活動中。広告代理店の“傭兵マーケッター”として、さまざまなマーケティングコミュニケーション業務を手がける。21世紀、検索エンジン、電子書籍、3D仮想世界など、ベンチャーやスタートアップのマーケティング責任者を歴任。特に、BtoCビジネスの企画業務全般(事業開発、マーケティング、広告・宣伝、広報、プロモーション等)に携わる。この間、02年ブログ、004年のSNS、05年のWeb2.0、06年の3D仮想空間など、ネットビジネス大きな変化の中で、常にさまざまなベンチャー企業のマーケティングコミュニケーションに携わってきた。