オウンドメディアが集客や採用に効果があると聞いて、導入を検討している企業も多いのではないでしょうか? しかし、どのように運用すればオウンドメディアを成功させることができるのかわからない、コツコツと記事をあげているのに成果がなかなか出ないと悩んでいる担当者が多いのも事実です。
そこで、この記事ではオウンドメディアを成功に導く3つのポイント、6つの成功事例を詳しく紹介していきます。初めてオウンドメディアに挑戦する企業、またはすでに取り組み始めたけれども成果が出ていない企業へ、成功のヒントになれば幸いです。
オウンドメディアの成功とは
オウンドメディアの成功は一概に決めることは難しく、企業ごと、目標ごとに大きく異なるものです。ある企業がオウンドメディアを開設する目的が「製品の知名度向上」であれば、その製品についての認知度が一定レベル以上に広がった時点を成功とみなすでしょう。
その場合は、製品のページビューが一定数以上、SNSでの言及数が増加、あるいは製品に関する検索ボリュームの増加等が指標になり得ます。もし採用活動の支援が目的であれば、オウンドメディアを見た応募者が増えたり、求職者からの問い合わせが増えたりした時点で、その目的は達成され、成功と判断できます。
したがって、オウンドメディアの成功とは、個々の企業が抱えている事業や採用の課題を解決できているか否かで判断するものと言えます。
オウンドメディアを成功に導く3つのポイント
オウンドメディアを成功に導くための要素は多く存在しますが、その中でも特に重要な3つのポイントを具体例を交えて紹介します。
目的とKPIを定義
オウンドメディアの運用を開始する前に、何を目指しているのか、その目的を明確に定義することが重要です。
例えば、製品の知名度向上、新規顧客の獲得、既存顧客との関係強化など、その目的は多岐にわたります。次に、それらの目的達成のための具体的な数値目標、すなわちKPIを設定します。KPIは、「半年で訪問者数を現状の2倍にする」や「1年で新規リード100件を獲得する」など、目的に対して明確な数値目標を設定します。
KPIの設定により、運用を始めた後でも目的からブレることなく活動を進めることができます。
目的に沿った運用
次に、設定した目的に対してその達成に向けた戦略的な取り組みを実施します。目的が製品の知名度向上であれば、製品の特長や使用例を紹介する記事を作成し、それをもとにSEO対策を実施して検索エンジンからの訪問者を増やすといった取り組みが考えられます。
社員の今日のお昼ご飯や、天気の話など、設定した目的とかけ離れた投稿をしても効果があるどころかマイナスになってしまいます。
その他にも、社内のエキスパートが書く技術的な内容を解説するブログ記事や、顧客の声をまとめた事例集など、目的によって適したコンテンツは変わります。
継続的な運用と改善
オウンドメディアの運用は、一度設定した戦略を実行したからといって終わりではありません。設定したKPIを定期的にチェックし、その結果に基づいて戦略を見直し、改善を行うことが重要です。特定の記事が思った以上に反響があった場合、その記事のテーマや形式を取り入れた新たなコンテンツを計画するなど、柔軟に対応することが求められます。
また、逆に反響が薄かったコンテンツについては、その原因を分析し、改善策を考えることが必要です。このように、継続的に運用を見直し、改善を行うことでオウンドメディアは成長し続けます。
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【BtoB編】オウンドメディアの成功事例
日本能率協会の成功事例
日本能率協会は、展示会ポータルサイトのブランディングとリーチ拡大を目的に、効果的なSEO対策と高品質なコンテンツ作成に取り組んだことで注目すべき成功を収めました。
主に”業界名+展示会”というミドルキーワードを用いてSEO戦略を進行し、展示会カテゴリ別のまとめページを作成。これにより、新規セッション率は13%増、トラフィックは342%増と、大規模なユーザー集客を達成しました。
さらに、深い洞察力とジャーナリズムを備えたライターによる展示会レポート作成を行い、質の高いコンテンツを提供。これによりSEOに対応し、検索エンジンランキングの上位化を成功させました。
これらの取り組みはデジタルマーケティングの面では滞在時間や回遊率の向上、被リンクの獲得を実現しました。また、ビジネス面でも、出展者からの好評を通じてブースの拡張や新規出展者の獲得に繋がったと言えます。
この事例は、SEO対策と高品質なコンテンツ作成がオウンドメディアの成功に不可欠であることを証明するものと言えるでしょう。
Hubspotのオウンドメディア事例
ボストンに本拠地を置くソフトウェア企業Hubspotは、インバウンドマーケティングの提唱者として世界的に認知されています。Hubspotのオウンドメディア戦略は、高品質な記事を配信し、マーケターのニーズに応えることで長期的な関係を構築するというものです。
Hubspotのオウンドメディアは、その非常に質の高いコンテンツと有益な情報により、マーケターに価値を提供しています。彼らの”フリーミアムモデル“は特に注目に値します。これは、サービスの基本機能を無料で提供し、より高度な機能を有料で展開するビジネスモデルです。
Hubspotの検索トラフィック向上のための戦略は、常にユーザーが何を求めているのかを理解し、顧客の課題に対して解決策を提供することに重点を置いています。これは商談の録画音声の聴取や既存顧客からのフィードバックの収集といった方法で行われています。
また、”HubSpot ナレッジベース“は、ソフトウェアの操作方法やマーケティングに関するノウハウが掲載されており、テンプレートやチェックシートなどのダウンロードコンテンツも充実しています。これにより、彼らは顧客の課題に対して具体的で直接的な解決策を提供することができています。
Hubspotのオウンドメディア事例は、高品質なコンテンツを提供し、顧客のニーズと課題解決に焦点を当てることで成功を収めています。
【BtoC編】オウンドメディアの成功事例
ベネッセのオウンドメディア事例
ベネッセのオウンドメディア、『ベネッセ 教育情報サイト』は、教育業界における成功事例として引用できます。このサイトでは、幼児から高校生までの子どもたちやその保護者を対象に、教育分野の調査結果やノウハウを発信しています。
サイト上では、夏休みの自由研究テーマ診断など、ユーザーの悩みを解決するためのコンテンツが提供されています。この機能は、100以上の自由研究のテーマの中からユーザーに合ったテーマを提案し、さらに必要日数を1日、3日、1週間から選択できるという点で好評を博しました。これが先日発表されたAIによる自由研究提案の元となっているのは間違い無いでしょう。この機能の追加により、夏休み期間中にサイトのアクセス数が過去最高を記録し、現在でも高い人気を保っています。
また、中高生向けのスマホやSNSのリテラシー教育コンテンツも展開しています。ここではスマホ画面の操作体験を通じてスマホやSNSのリテラシーを身につけることが可能で、パスワードの設定方法やセキュリティ感覚、コミュニケーションマナーなどを学ぶことができます。
これらのコンテンツによって、ベネッセは自社が長年にわたって蓄積してきた教育分野のノウハウを活かしつつ、時代の課題に対する解決策を提供し、ユーザーとの信頼関係を築いています。これは、オウンドメディアの成功事例として参考になるでしょう。
北欧、暮らしの道具展
「北欧、暮らしの道具店」は、株式会社クラシコムが運営するECサイトとオウンドメディアを一体化した成功例です。サイトでは、インテリア雑貨やオリジナル商品の取り扱いを行い、商品ページでは商品の特徴や使い方が詳細に説明されています。
さらに、バイヤーのインタビューや製品のレビュー、スタッフの愛用商品紹介など、生活に対する愛着を伝えるミニコラムを掲載しています。
サイト内は「お買いもの」と「読みもの」の2つの主要なカテゴリーに分けられており、新商品の案内や収納術、スタッフのコラムなど多彩なコンテンツを提供しています。こうしたコンテンツはユーザーに対してセールス色を強く出さず、よりお役立ち情報や暖かみを伝えています。
同サイトは会員登録の導線も設けていますが、会員登録をせずとも購入可能で、登録することでポイントが付与されたり、住所の再入力が省かれたりするなどの利点があります。さらに、Facebook、Twitter、Instagram、LINEなどの主要SNSを活用してオウンドメディアの更新情報を発信し、特にInstagramでは美しい写真の提供を行い、50万人を超えるユーザーがフォローしています。
このように、「北欧、暮らしの道具店」は、商品の紹介と生活の楽しみを提供することで一般的なキーワードだけではなく指名検索も増やすなど、オウンドメディアとしての地位を確立しています。
【採用編】オウンドメディア事例
「メルカリ」のオウンドメディア事例
フリマアプリ「メルカリ」の運営元である株式会社メルカリが運営するオウンドメディア「メルカン」は、採用戦略とオウンドメディアの成功事例として注目に値します。
「メルカン」はメルカリの社風や職場の雰囲気、働く仲間を知ることができるメディアで、主に社員によるブログ形式の記事や対談、インタビュー、社内イベントの様子などを発信しています。メルカリでの採用を検討している人々に対し、具体的な仕事内容や職場の雰囲気を伝えることで、メルカリへの興味を増やすことが目指されています。
また、「メルカン」は特定の部署が運営するのではなく、さまざまな部署の社員や経営陣が関与する形で運営されています。その結果、メディア自体がメルカリの独自のカルチャーを体現し、オウンドメディアの枠を超える存在に成長しています。
さらに、「メルカン」は自社の魅力を伝えるだけではなく、採用におけるミスマッチ防止にも一役買っています。会社の経営方針や仕事内容、職場の雰囲気を具体的に伝えることにより、応募者との認識のズレを最小限に抑えることができるのです。
このように、「メルカン」はオウンドメディアを採用戦略にうまく活用した例として、他の企業にも参考になるでしょう。
LINEのオウンドメディア事例
日本で広く利用されているチャットツール企業LINEは、その多岐にわたる事業展開と共にオウンドメディア「OnLINE」を運営しています。
「OnLINE」の主な目的は求人採用であり、そのコンテンツの一つとして、「LINEでは、こうしてます。」というキャッチフレーズで社風や業務内容を具体的に伝えています。これには入社前の段階で企業の雰囲気を理解し、入社後のミスマッチを防ぐ狙いがあります。
「OnLINE」では「OnLINE」は、毎月1記事程度のアップデートと比較的低頻度ではありますが、内容の質に重点を置いているのが特徴です。具体的な事例、社員や戦略担当者のインタビュー、入社式の様子など他社が提供できない独自の情報を提供しています。これにより、他のオウンドメディアにはない、訪問者にとって役立つオリジナルな内容が読者に提供されています。
また、「OnLINE」は求職者や転職希望者に向けたコンテンツ作りが行われており、そのゴールはLINEへの入社後の離職リスク軽減にあります。これらの戦略は、コンテンツの質を重視するオウンドメディア展開における参考事例となり得ます。
成功するオウンドメディアのまとめ
オウンドメディアの成功は、目的の明確化、適切なターゲット設定、そして高品質なコンテンツの提供によって成り立ちます。
オウンドメディアは、企業が自身のブランドや価値を伝えるための重要なプラットフォームであると同時に、特定の目標や問題解決に役立つツールであることがわかります。
それぞれの企業が目指す目的は異なるかもしれませんが、その目的に対して独自性と価値を提供する内容を作り上げることが求められます。また、コンテンツの更新頻度は重要ですが、それ以上に「コンテンツの質」が大切であるということが強調されます。
成功するオウンドメディアは、目的とターゲットに対して的確なコンテンツを提供し、そのブランドを鮮やかに描くことができるものです。これらを踏まえた上で、自社のオウンドメディア戦略を立てることが重要となります。
シェイプウィンでは、オウンドメディアの作成やSEO対策など企業のマーケティング・PRを専門性のあるメンバーが支援します。興味のあるご担当者様は、お気軽にご相談ください。