コアターゲットとは?マーケティング担当者必須の基礎知識

コア ターゲット

商品やサービスが思うように伸びないとき、サービス内容や広告の改善にばかり目を向けていないでしょうか。しかし、「誰を満足させるための事業なのか」が曖昧なまま進めていることに、失敗の原因が隠れていることも多くあります。

商品は必ず、特定の困りごとや不満を抱えた人のために生まれています。その中心にいる存在こそがコアターゲットです。

本記事では、コアターゲットの定義から他のターゲットとの違い、見つけ方、成功・失敗事例までを整理し、経営者・マーケティング担当者が打つべき施策を解説します。

この記事の要約
・コアターゲットとは、商品やサービスに最も強く価値を感じてくれる中核顧客のこと。
・コアターゲットを定義することで、PR・マーケティング・商品設計の軸が一本化される。
・設定だけで終わらせず、実行まで含めた総合設計が成果を左右する。

はじめに:マーケティング戦略がうまくいかない理由

「誰を満足させるための事業なのか」が定まっておらず、コアターゲットが満足していない商品やサービスが長期的にうまくいくことはありません。

長期的に顧客に満足してもらうには、コアターゲットを設定してからマーケティング戦略を設計することが非常に重要です。そして、コアターゲットは「設定して終わり」ではなく、継続的に向き合い、コミュニケーションを取り続ける人物です。

そのためにも、まずはコアターゲットとは何かを正しく理解しましょう。

コアターゲットとは

コアターゲットとは_インフォグラフィック

コアターゲットは、商品開発・PR・マーケティングすべての起点となる概念です。ここが曖昧なままでは、施策を積み重ねても成果は分散しやすくなります。

まずは、その定義から押さえましょう。

マーケティングにおけるコアターゲットの定義

「コアターゲット」とは、自社の商品・サービスを最も必要としており、価値を強く感じてくれる中心的な顧客層です。

その特徴として、購買や利用、新情報への反応が最も早く、継続利用や口コミにもつながりやすい点が挙げられます。

コアターゲットを把握する上では、年齢や性別といった属性だけでなく、「なぜそれを選ぶのか」「どんな不満を解消したいのか」という心理面も捉えることが重要です。

なぜコアターゲットを設定すべきか

コアターゲットを設定する最大の理由は、PR・マーケティング戦略の軸がブレなくなる点にあります。
誰に向けて発信しているのかが明確になることで、メッセージ、媒体選定、クリエイティブ面の判断での迷いが少なくなります。

もちろん「全員に届けたい」という理想も重要ですが、結果的に誰の心にも刺さらない状態になりがちです。

まずは最も強く響く相手を定めることが、結果的に周辺層への広がりを生みます。

コアターゲットと他のターゲット用語との違い

コアターゲットと他のターゲット用語との違い_インフォグラフィック

ターゲットに関する用語は多く、混同したまま使われがちです。この整理ができていないと、戦略設計そのものが曖昧になります。

用語比較の早見表

まずは、重要な4つのターゲットを整理しましょう。

用語概要
コアターゲット(≒メインターゲット・プライマリーターゲット)商品・サービスを最も必要とし、強く反応する中核顧客
セカンダリーターゲット(サブターゲット)コアほどではないが、関心や購入可能性が高い層
戦略ターゲット(コミュニケーションターゲット・プロモーションターゲット)将来的な成長を見据えて狙う市場・顧客層
ボリュームターゲット(マスターゲット)数量・規模的に大きな売上が期待できる層

メインターゲットとの違い

メインターゲットは、市場全体を捉えるために比較的広く設定されることが多い概念です。
一方、コアターゲットはその中でも「特に反応が強い中核」にあたります。

メインターゲットを考慮しつつコアターゲットを起点にすると、メッセージの解像度がさらに高まります。

戦略ターゲットとの違い

戦略ターゲットは、企業が最も多額のマーケティング予算を投下するターゲットであり、将来的に大きな成長が見込まれる対象です。

ここが小さすぎると、事業拡大が頭打ちになります。USJがかつて「ハリウッド映画好き」に絞りすぎたことで集客に限界が生じたように、戦略ターゲットは目的達成に十分な広さが必要です。

コアターゲットは深さ、戦略ターゲットは新しさや広さを担う存在だと整理すると理解しやすいでしょう。

戦略ターゲットは頻繁に変更する必要はありませんが、以下のようなタイミングでは再検討するべきです。

・事業拡大や新商品・サービス展開の時
・市場・競合環境の変化時
・既存顧客の反応が鈍くなってきた時

コアターゲットの見つけ方

コアターゲットの見つけ方_インフォグラフィック

マーケティングにおいて、コアターゲットが存在しないことはありません。
もしコアターゲットが分からないのであれば、それは存在していないのではなく、言語化できていないのです。

物やサービスは必ず、困っている人や解決すべき事象があって生まれています。たとえばコートであれば、寒さに困っている人や、他の服に着心地が悪いと感じている人が起点です。
その人物像を具体的に掘り下げることが、コアターゲット特定の第一歩になります。

ここでは、コアターゲットを特定するステップを解説していきます。

ステップ1:提供価値の明確化

まず取り組むべきは、自社の商品・サービスが「何を提供しているのか」を整理することです。

このときに注意するのは、機能や特徴を並べることが目的ではないという点です。
重要なのは、「何ができるか」ではなく、「なぜそれが必要とされているのか」を言語化することにあります。

コアターゲット探しは、商品視点ではなく「課題を抱える人視点」に立ち戻ることから始まります。

ステップ2:既存顧客の深掘り

次に行うのが、すでに商品やサービスを購入・利用している既存顧客の分析です。

ここで重要なのは、年齢・性別・職業といったデモグラ情報だけでなく、「なぜ選ばれたのか」「どんな場面で使われているのか」「何に価値を感じているのか」といった行動や意識までを把握することです。

購買理由や利用シーン、比較検討の背景を見ていくと、顧客同士の共通点が浮かび上がってきます。この共通項こそが、コアターゲットを見つけるヒントになります。

ステップ3:コアターゲットの選定

提供価値と既存顧客の共通点が整理できたら、次は「誰をコアに据えるのか」を明確にします。

ここで重要なのは、最も価値を強く感じ、継続的に支持してくれる層を中心に置くことです。

たとえば「手ブレしないカメラ」の場合、コアターゲットは映像制作者です。この明確な核があるからこそ、その周囲の「家庭で子どもを撮影したい親」といった層へ展開が可能になります。
ブランドのコアが定まっていない状態で周辺層を狙うと、価値がぼやけてしまいます。

以下の視点で検討すると、より戦略的にコアを絞り込めます。

・ペネトレーション:ブランドの浸透率を高められる層はどこか
・ロイヤリティ:SOR(カテゴリー内での自ブランドシェア)を伸ばせる層はどこか
・コンサプション:1回あたりの消費量を増やせる層はどこか
・システム:併用商品や関連商品を広げられる層はどこか
・パーチェースサイクル:購入頻度を上げられる層はどこか
・ブランド・スイッチ:競合から乗り換える可能性がある層はどこか

すべてを同時に狙う必要はありません。自社の状況に合った観点から、最もインパクトのある層を見極めます。

ステップ4:接触チャネルの把握

コアターゲットが定まったら、その人たちがどこで情報を得て、どのような接点で意思決定をしているのかを把握します。どれだけ優れたメッセージでも、接触するチャネルを誤れば届きません。

SNS、検索、口コミ、オフラインの接点など、情報収集から購買までの流れを整理することで、どこに力をかけるべきかが明確になります。
適切なチャネルの使用は、PRやマーケティングの成功を大きく左右する要素です。

ステップ5:セグメント化と優先順位づけ

最後に行うのが、複数の顧客セグメントの中から「今、最も注力すべき層」を決める作業です。ここで重要なのは、すべてのセグメントを同時に追いかけないことです。

社内リソースには限りがあるからこそ、売上・成長・ブランド形成に最もインパクトを与える層をコアターゲットとして定義し、そこに集中する判断が求められます。

この優先順位づけができて初めて、コアターゲットは机上の概念ではなく、実行可能な戦略に落とし込むことが可能になります。

コアターゲット設定で失敗しない3つの方法

コアターゲット設定で失敗しない3つの方法_インフォグラフィック

コアターゲット設定の精度は、戦略の成果を大きく左右します。
ここでは、企業が陥りやすい失敗ポイントを踏まえ、それを回避するポイントを解説します。

①ターゲットを広げすぎない

コアターゲット設定で最も多い失敗は、「市場を取りこぼしたくない」という不安から、ターゲットを広げすぎてしまうことです。

ですが、「全員に届けたい」という姿勢は、結果的に誰の心にも深く刺さらない状態を生みます。まずは一点に集中し、強く支持される存在になることが重要です。その結果として、周辺層への自然な拡張が可能になります。

②デモグラ属性だけで定義しない

年齢や性別、職業といったデモグラ属性(デモグラフィック属性)だけでコアターゲットを定義すると、表面的な理解に留まりがちです。

実際の購買行動を左右するのは、「どんな価値を重視しているか」「何に不満を感じているか」といった心理・行動面です。ここを捉えないままでは、メッセージは形骸化してしまいます。

③チャネルや接触体験を無視しない

ターゲット像が明確でも、その人たちが接触するチャネルを理解していなければ意味がありません。

コアターゲットがどこで情報を得て、どのような流れで商品に出会うのかまで含めて設計することで、初めて実行力のある戦略になります。

コアターゲット設定の失敗事例

ここからは、コアターゲット設定の成功事例と失敗事例を紹介していきます。まずは、2つの失敗事例をみていきましょう。

Gap:ロゴ刷新の失敗

コアターゲット 失敗事例 GAP ロゴ
https://www.gap.co.jp/

Gapは長年親しまれてきたロゴを突然刷新しましたが、「誰に向けた変更なのか」が不明確なまま進められたことで、既存顧客から強い反発を招きました。その結果、新ロゴは発表からわずか1週間で撤回され、旧ロゴへ戻す事態となりました。

この失敗の原因は、デザインの良し悪しではなく、コアターゲットとの関係性を軽視してしまった点にあるでしょう。

ロゴは単なる見た目ではなく、顧客がブランドに抱いてきた「安心感」や「愛着」の象徴です。その前提を十分に理解しないまま変更を行ったことで、ブランド価値の低下につながった例と言えるでしょう。

メルカリ:海外市場からの撤退

コアターゲット 失敗事例 メルカリ 海外
https://forbesjapan.com/articles/detail/24493

日本市場で成功を収めたメルカリは、そのビジネスモデルを英国市場にも展開しました。しかし、現地ユーザーの生活習慣や価値観、競合環境と十分に噛み合わず、約3年で撤退に至っています。

この失敗の原因は、「日本で成立していたコアターゲット」を海外市場にそのまま流用してしまった点にあります。日本では、スマートフォンに慣れ、CtoC取引が新鮮だった層がコアターゲットとなり、一気に市場を拡大しました。
一方、イギリスを含む欧州では、個人間での売買や物々交換が長く文化として根付いており、フリーマーケットや教会のバザーなどが日常的に行われています。

メルカリの事例は、国や市場が変われば、同じサービスであってもコアターゲットの再定義が重要であることを示しています。

コアターゲット設定の成功事例

コアターゲットを明確に定義し、その理解を軸に商品設計やコミュニケーションを組み立てた企業は、強いブランドポジションを確立しています。

ここでは、業種や市場が異なる4つの成功事例を通じて、コアターゲット設定がどのように成果につながったのかを見ていきます。

ラウンドワン

コアターゲット 成功事例 ラウンドワン 海外
https://www.round1usa.com/

日本では若年層の娯楽施設として認知されているラウンドワンですが、アメリカ市場では全く異なるコアターゲットに着目しました。

それは、「安全に遊べる場所が少ない郊外の家族」です。特に、誕生日会にお金をかける文化に目を向け、子どもたちが安心して遊べる空間と、保護者が信頼できる施設運営を組み合わせたプランを強化しました。

その結果、単なるゲームセンターではなく「家族向けの安全な娯楽施設」として支持を獲得しました。

無印良品 (MUJI)

コアターゲット 成功事例 無印良品
https://www.muji.com/jp/ja/store

無印良品は、「シンプルで無駄のないライフスタイルを好む人」という価値観ベースのコアターゲットを明確に設定しています。
過度な装飾や機能を省き、必要十分な品質とデザインに絞った商品展開を一貫して続けることで、ブランド全体の世界観を構築してきました。

このターゲット設定があるからこそ、商品カテゴリーが広がってもブレのないブランドイメージを維持できています。ターゲティングの明確化が、ブランディングの根幹を支えている好例です。

QBハウス(10分カット)

コアターゲット 成功事例 QBハウス(10分カット) 
https://www.qbhouse.co.jp/

QBハウスは、「忙しくて時間はないが、身だしなみは整えたいビジネスマン」を明確なコアターゲットとして設定しました。

その上で、ヘアカット工程の徹底的な標準化、滞在時間の最短化、低価格という価値を磨き上げています。すべての施策が「時間価値」に集中しているため、競合との差別化が明確になり、ニッチ市場で圧倒的なポジションを確立しました。

コアターゲットの課題理解が、そのまま事業設計につながった事例です。

シーブリーズ(SEABREEZE)

コアターゲット 成功事例 シーブリーズ(SEABREEZE)
https://brand.finetoday.com/jp/seabreeze/

シーブリーズは、従来の「若年男性向け制汗ケア」というイメージから脱却し、「汗やにおいを気にする女子高校生」を新たなコアターゲットとして再定義しました。

商品デザインや広告表現、SNS施策を「青春・部活・恋愛」といった文脈に最適化したことで、若年女性層からの支持を獲得しています。このターゲット再設定が、ブランドの再成長の起点となりました。

コアターゲットを見直すことが、ブランドの再定義と復活につながった好例です。

まとめ:コアターゲットを定義して選ばれ続けるブランドに

PR会社

コアターゲットの設定は、商品やサービスを選び続けてもらうための前提条件です。

しかし、コアターゲットを定義すること自体がゴールではありません。実際には、定義したターゲット理解を起点に、SNS、SEO、PR、マーケティング施策を一貫して運用し続けることが重要です。日々の業務に追われる中で、これらすべてを自社だけで実施することは容易ではないでしょう。

だからこそ、戦略設計から実行、改善までを横断的に支援できるパートナーの存在が重要になります。

PRとマーケティングの両軸を持つシェイプウィンでは、単なる施策の実行ではなく、企業の状況に合わせた全体的な戦略設計を支援しています。
まずは無料相談から、お気軽にお問い合わせください。

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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。