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広報担当者採用における失敗談——スタートアップ編

新年度に向けて企業規模問わず採用活動に本腰を入れていくシーズンになって来ました。シリーズA〜IPO前のスタートアップ企業では、広報の専任担当者を新たに置くことが多いと思います。シェイプウィンが広報組織の構築支援をする中で最近特に多いのが、『広報の採用』です。

採用広報ではなく、広報担当者の採用です。

創業期・シード期は、社長や創業者が広報を兼任しているケースが多いです。最初はプレスリリースくらいだった広報PRの仕事も幅や量が増えてきたため、専任の広報担当者を採用する必要が出てくるという流れです。このトレンドは、スタートアップだけでなく、中小企業でも起きています。

広報経験者を採用しようと思っても、スタートアップにとっては正直無理です。

まず、日本の広報人口は、エンジニアや営業に比べれば圧倒的に少ないです。推定5000人? 中小企業であれば、会社に広報担当者が1人、多くて2人です。これが現実的な比率です。

また、大手中堅企業で広報をしていた人が今のキャリアや給料を捨ててわざわざスタートアップに来る可能性は極めて低いです。意識が高いか訳ありかのどちらかです。

今回の記事は、広報を採用したいスタートアップの経営者に向けて、シェイプウィンが百数社とみてきた広報採用の失敗談からどのような人を採用すればよいのか、そのヒントになる内容を紹介します。

なぜ、広報担当者を採用しないといけないのか?

広報を採用しなければいけないということはありません。創業期では、開発や営業の方が比重が高いというのが本音ではないでしょうか。広報は後回しです。

広報担当者をスタートアップのアーリー期から入れることが主流になりつつあるのは、シリアルアントレプレナー(連続起業家)であり、CAMPFIREのCEOでもある家入一真さんのツイートがきっかけの一つではないかと思います。


後回しにされがちだが、例え社員が数人しかいなくとも広報・PRは早めに入れたほうが良いと投資先には言い続けてる。PRはもとより、社内広報・採用広報も含めて、小さなうちこそむしろ重要。そして社長はストリーテラーであり続けろ

参考:家入一真「社員数人でも広報・PRは入れろ」ツイートに込めた思いとは

広報担当者を採用することも大事ですが、広報=Public Relationsの考え方をもって経営・採用・営業・開発を行うことの方が重要なのです。広報は、その各人・各組織のハブとなって社内外に発信していくという仕事です。まずは、広報担当者がいなくても社長がやるべき仕事なのです。

次のステップとして、広報を採用する必要性が出てくれば、採用は不可欠です。早くから入れた方が広報担当者もしくみを作りやすいというのは事実です。

それでは、広報担当者を採用する上で、どんな失敗があったのか、見ていきたいと思います。

失敗談1:PR会社出身者を採用したからメディアに強くなる?

パソコンを持った女性

PR会社からサービスやプロダクトを提供する事業会社へ転職して広報になるという人は実に多いです。

なぜ、PR会社出身のPRコンサルタントを広報担当者として採用したのか、スタートアップ企業の経営者に聞くと返ってくる答えは一つです。

「メディアに強いから」

PR会社は広報PRのプロフェッショナルであり、PRコンサルタント出身者は、メディアとの人脈も豊富で会社やプロダクトをメディアに売り込むには最適の人材です。

大手企業の広報組織では、メディアに売り込む人、対外的に発信する社外広報、社内リレーションを構築する社内広報など様々な業務が細分化されているので、メディアプロモートをする広報担当として採用されれば、PR会社出身者は最適な人材です。

しかし、スタートアップは別です。

PR経験者にありがちな「PRはこういうネタでないとメディアは取り上げてくれない」という保守的な考えと経営者の理想が合致せず、せっかく採用した広報担当者が退職していくというケースを何度か見ました。

PR会社出身者は、企業広報の経験。つまり、社内調整など社内のハブとなって仕事をした経験はないということを覚えておいてください。

失敗談2:大手の広報経験者を採用したら組織が分裂?

2つのグループに分かれた人々

これもスタートアップの経営者が、飲み会などオフレコな場で語る失敗談の中に多いものです。

大手企業の広報担当者、特に社外広報というのは基準(レギュレーション)を担保し、事故が起こらないように社外発信するのが仕事です。つまり、基本は『守り』の広報なのです。事業部が勝手な社外発信やマスコミ対応をしていると、他の事業部や会社全体の信用を失墜する可能性もあり、広報が会社を守るのは重要な役目です。

スタートアップ企業に重要なのは『守り』より『攻め』の姿勢です。

営業担当者や経営者が考えていることは、社会に対してのアピールです。メディアにでたい、出るためにはどうすればよいか、作った製品は最大限宣伝したい、といったニーズがあるのです。信用低下やレギュレーションを気にしすぎるあまり、社内の警察となって社内をただそうとする行動が社内の反感を買うという結果に繋がるのです。

すべての人が『守り』の姿勢ではありませんが、スタートアップ企業に入ってどのような広報活動をしたいのか、面接でしっかり確かめる必要があると思います。

スタートアップ企業の広報に向いている人材とは

これからお話しすることは、シェイプウィンのクライアントや周辺企業における成功事例に基づく1つの意見です。広報採用における答えは、企業ごとに異なると思いますので、参考程度にご覧ください。

スタートアップ企業の広報担当者に向いている人材とは…

『広報未経験の人』です。

意外かも知れないですが、メディアの人脈や広報の型は、スタートアップには必要ありません。広報は社内外のステークホルダー(利害関係者)との関係を構築する仕事です。ステークホルダーは会社によって様々ですし、スタートアップでは構築段階なのです。無の状態から自社にフィットした広報機能を創り上げていく方がスタートアップの広報として成功する可能性が高いのです。

オフィスでの仕事風景

どんな人を広報として採用すべきか

『社内リレーション』に強い人です。

スタートアップが広報を採用する際に失敗しがちな共通点として、メディアとのコネクションの強さや広報としての経験年数を基準に採用していることが挙げられます。

経営者、営業、開発、人事などなど、社内の誰とでもコミュニケーションをする必要があります。そして、広報は広報業務が仕事ではない社内の人を巻き込んで広報を進めていく必要があります。そのためには、社内とのカルチャー(文化)にフィットした人を選ぶ方がよいです。

また、未経験を採用する際には、『経営理念』『ビジョン』に共感する人が絶対条件です。UXデザイン会社として成長する『GoodPach(グッドパッチ)』の記事でも「最初の広報担当は「WHY」がマッチする人を選べ──Goodpatch流の広報戦略」と提唱されています。

PRの手段で社内の意見がぶつかり合うことはよくあることです。しかし、ビジョンが一致していれば、手段は違えど最終的にわかり合え、結果として強固な社内連携ができるのです。そのような企業をいくつも見てきました。

シェイプウィンでは裏メニューとして、広報担当者の育成や広報担当者採用の支援もやっています。広報をやってみたい人をどうやったら採用できるかというノウハウをお伝えすることも可能ですが、その前に、どういう人が広報だったら社内が円滑に回るか、ハブとなって社内外の人を巻き込んでいけるか広報担当者のペルソナを作って行くことが大事になってくると思います。

広報の採用について質問などお待ちしております。

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神村 優介
徳山工業高等専門学校卒業。在学中にNHK高専ロボコン出場経験を生かしたロボット教育ビジネス「MAKE21」を始める。2005年にこのビジネスで経済産業省後援のドリームゲートビジネスプランコンテストの中国地区大会で最優秀賞を取得。その後、株式会社セガトイズに入社し、玩具の企画開発マーケティングを担当。お風呂で使える家庭用プラネタリウム「ホームスターアクア」をプロデュースし、年間15万個出荷の大ヒットを記録。独立後、広報PRを中心にマーケティング企画支援を行うシェイプウィン株式会社を24歳で設立。これまでにChatWorkやスマレジ、TEMONAなどスタートアップの広報PRやマーケティングを支援。