SNS施策をどれだけ打っても、「成果は出てるの?」と聞かれたときにうまく答えられない。そんなジレンマを感じていませんか?
そのような場面で鍵となるのがSNSレポートです。SNSレポートは、数字をまとめるだけではなく、現状を正しく把握し、次のアクションを導き出すための思考の土台となります。
本記事では、SNSの分析に必要な基本指標から、レポート作成に役立つ無料ツール、そして伝わる分析のポイントを紹介します。
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SNSレポートはなぜ重要なのか?

SNS運用において「レポートを作成する時間がもったいない」と感じる担当者も少なくありません。しかし、SNSレポートは単なる結果報告ではなく、戦略の軸を定め、次の一手を導くための重要なツールです。
ここでは、SNSレポートがなぜ重要なのかを、3つの視点から解説します。
社内の理解が促進される
SNSレポートは、マーケティング部門だけでなく、経営層や関連部署への情報共有の手段としても機能します。
SNSは社内で重要性が理解されづらい領域ですが、レポートを通じて運用状況や成果を可視化することで、活動の意義や貢献を伝えやすくなります。
特に、数値による成果や傾向を示すことで、予算やリソースの獲得にもつながります。
成果を可視化し、改善点を発見できる
SNSは運用者の“感覚”で運用されがちですが、レポートを作成することで、どの投稿が効果的だったか、どの曜日や時間帯に反応が良いかといった事実を把握できます。
これにより、今後の投稿方針やコンテンツの方向性を具体的に改善していくことが可能です。また、KPIの推移を見ることで、成果の因果関係や改善余地も発見できます。
刺さるコンテンツを発掘できる
SNSレポートは、ユーザーに“刺さる”コンテンツのヒントを見つけるためにも有効です。エンゲージメント率や完視聴率といった分析指標を用いれば、どんなトーンや構成が共感を呼びやすいか、どの投稿がフォロワーを増やしたのかを振り返ることができます。
この分析は、日々の投稿を“なんとなく”で終わらせない、再現性あるコンテンツ作成への第一歩となります。
SNSレポートに含めるべき基本項目

SNSレポートの目的は、運用状況を可視化して改善し、フォロワーの増加に繋げることです。そのためには、目的に紐づいた指標を選び、定点観測することが重要です。
ここでは、企業アカウント運用で最低限押さえておきたい主要指標を紹介します。
フォロワー転換率
アカウント運用において最も基本となる目標の一つが「フォロワーを増やすこと」です。フォロワーが増えるほど、投稿が届く潜在的なユーザー数が広がります。そこで注目すべきなのが「フォロワー転換率」です。
「フォロワー転換率」とは、投稿からプロフィールに遷移したユーザーのうち、実際にフォローに至った割合を示します。計算式は「フォロワー転換率=フォロー数/プロフィールアクセス数」で、理想値は6〜8%程度とされています。
投稿ごとのフォロワー転換率を確認することで、「どの投稿が新規フォロワーの獲得に繋がっているか」が明確になります。ただインプレッションやエンゲージメントを見るだけでは見えない、ファン獲得の鍵となる指標です。
投稿数
投稿数は基本的な数値指標ですが、運用状況の把握や変化の分析には欠かせません。
週次・月次で投稿数をカウントすることで、成果との相関を測ることができます。
投稿頻度が下がるとリーチやエンゲージメントが減る傾向があるため、定点的に追うことで投稿ペースの見直しにも活かせます。
フォロワー属性
フォロワーの年齢層、性別、地域、使用デバイスなどの属性は、コンテンツの最適化に直結する情報です。
たとえば、20代女性が多いアカウントであれば、彼女たちが興味を持ちそうなトピックやビジュアルを意識することで、エンゲージメントの向上が見込めます。
属性分析を継続的に行うことで、ターゲットとのズレも早期に発見できます。
エンゲージメント率
「エンゲージメント率」とは、「いいね」「コメント」「保存」などの反応を、フォロワー数やリーチ数で割った値です。SNSの成長段階やフォロワー数によって最適な目標値は異なりますが、一般的には3%前後を基準とし、アカウントの規模に応じてKPIを柔軟に見直す必要があります。
フォロワー数が増えるほどエンゲージメント率は下がる傾向があるため、「3%に届いていない=失敗」とは限りません。自社アカウントにとって妥当な基準を設けることが重要です。
リーチ率
「リーチ率」とは、フォロワーまたは非フォロワーのうち、投稿に触れた人の割合を示す指標です。
Instagramでは「フォロワーのリーチ」「フォロワー外のリーチ」を分けて分析できるため、どれだけ新規ユーザーにリーチできているかを測ることができます。
新規リーチの比率が高ければ、新規獲得の導線として機能していると評価できますし、逆に低ければ既存フォロワーに頼りきりの運用になっている可能性があります。
成果に紐づくKPI
SNSは単なる投稿の場ではなく、Webサイトへの流入やコンバージョン(CV)といった事業成果への貢献が求められます。
GoogleアナリティクスやURLパラメータを活用し、「SNS経由で何人がサイトに訪れたか」「目標とする成果に結びついたか」をレポートに反映させましょう。
SNS単体で完結しない指標を含めることで、他部署との連携や社内評価の向上にもつながります。
完視聴率
動画投稿においては「完視聴率」が重要な分析軸となります。
再生数や平均視聴時間だけでは見えない「どのくらいのユーザーが最後まで見てくれたか」という指標は、動画の構成や“中弛み”の有無を測るうえで有効です。
Instagramのリールでは完視聴率が見られないため、同一の動画をYouTube Shortsにアップし、そちらでの視聴完了データを参考にするというテクニックもあります。最低50回程度の再生があれば、大まかな傾向を把握できます。
SNSレポートに役立つ無料ツール紹介
SNSレポートの質を高めるには、正確で効率的なデータ収集が欠かせません。
ここでは、主要SNSごとに無料ツールを紹介します。分析業務の自動化や可視化に役立つので、ぜひ活用しましょう。

Instagramのレポート作成に役立つ代表的な無料ツールが「Social Insight」と「SINIS」です。
・Social Insight:投稿ごとのインサイトを自動で収集・可視化できるダッシュボード形式の分析ツール。フォロワー属性やエンゲージメント推移の確認も可能です。
・SINIS:Facebook社のAPIと連携し、リールやストーリーズの指標も自動で取得可能。CSVダウンロード機能もあり、報告書作成に便利です。
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X(旧Twitter)

Xのレポート作成には、公式ツールに加え、拡張機能のある外部ツールが便利です。
・Xアナリティクス:投稿ごとのインプレッション数、エンゲージメント率、フォロワー増減を確認できる純正ツール。
・SINIS for X:タイムライン全体のパフォーマンスを定量的に把握できる機能が特徴。
・SocialDog:予約投稿やフォロワー管理機能に加えて、ダッシュボード型のレポート出力が可能。
Youtube

YouTubeでは「YouTubeアナリティクス」が公式で提供されています。加えて、より詳細に分析したい場合は「vidIQ」も併用すると良いでしょう。
・YouTubeアナリティクス:視聴者の視聴時間、完視聴率、流入元などを確認可能。
・vidIQ:キーワード別の競合比較や、人気動画のトレンド調査が可能で、コンテンツ企画の支援にもなります。
TikTok

TikTokではインサイト機能を使って、再生数や完視聴率、アクション数などの基本指標を確認することができます。
たとえば、フル視聴率や継続率のデータから離脱ポイントを特定し、どの動画がどこでユーザーの関心を失っているかを検証することで、自社アカウントの「勝ちパターン」を見つけることができます。
さらに、TikTokのオススメ表示においては、「合計再生時間」「アクション数」「フル視聴率」の3指標が鍵となります。
動画制作の企画段階から指標設計を意識し、数値をもとにしたPDCAをまわすことが、安定的な成果へとつながる近道です。
まとめ:分析レポートでなんとなくの運用を脱却

本記事では、SNSレポートの役割や基本指標、成果に直結するKPI、分析に役立つツールなどを網羅的に紹介してきました。
しかし、本来SNSレポートは作ることが目的ではありません。重要なのは、そのデータをもとにSNS施策、ひいてはPR施策をどう改善していくかという視点を持つことです。
そのためには、SNSの分析データを正しく解釈し、SEOやPR、ブランディング、インフルエンサー施策など他の施策と連携させる設計力が必要です。とはいえ、日々の業務に追われる中で、そこまで手が回らないというのが現状かもしれません。
シェイプウィンでは、SNS分析をはじめ、SEO対策、PR設計、コンテンツ制作などを通じて、企業の持つ“伝える力”を最大化する支援を行っています。
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